【杉村富生の短期相場観測】 ─波乱相場に対応する高利回り3銘柄!

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コラム

「波乱相場に対応する高利回り3銘柄!」

●AI関連の主軸株は休養が必要!

 マーケットは猛烈な“嵐”に見舞われている。乱気流(高値波乱)に突入である。1日の値幅が極端に大きい。日経平均株価の高値、安値の差は11月4日が1139円、5日が2349円、6日が654円だった。ボラティリティ(変動率)の高さは強弱感の対立だが、この局面ではそんな単純なものではなさそうだ。短期的には「調整やむなし」と判断している。

 日経平均株価は4月7日の3万0792円(ザラバベース)を安値に、11月4日には5万2636円の史上最高値まで駆け上がった。実に、上昇幅は2万1844円、上昇率は70.9%に達する。特に、10月は外国人が第1週~第5週に現物株を3兆4411億円買い越したほか、高市早苗首相(サナエノミクス)に対する期待が大きかった、と思う。

 ただ、再三指摘しているように、買われたのはソフトバンクグループ <9984> [東証P]、アドバンテスト <6857> [東証P]、フジクラ <5803> [東証P]など、AI(人工知能)関連のごく一握りの銘柄群だ。海外ファンドが指数を買い煽ったのだろう。もちろん、内外の機関投資家、個人投資家が参加した。4月7日と逆の現象である。

 それだけに、「目先は利食い優先を」と主張、「現金比率を高めておけ」と警告してきた。もっとも、ブレーキを踏むのが早すぎた面はあるが……。相場の読みは難しい。古来、「“とき”を売買せよ」と言うが、肝心なのは仕掛けのタイミングを計ることだろう。それと、トレンドの確認だ。いわゆる、長期的な視点であろう。

もちろん、第4次産業革命は「ing」(現在進行形)である。日本再生第2幕相場は開演したばかりじゃないか。それに、日本再生第1幕相場(アベノミクス)が始まった2012年12月時点よりも外部環境は良好だ。企業の稼ぐ力は3倍近くになった。自社株買いが急増、増配が相次いでいる。M&A、TOBが増え、持ち合い解消が進んでいる。

●バンジージャンプ並みの乱高下!

 政府の税収は2倍になった。安倍政権は「ないないづくし」の状況下、デフレ脱却、円高阻止(結果として日本再生)を目指すしかなかったが、高市政権は少数与党のハンディを抱えているものの、思い切って成長戦略を打ち出せる。財政出動も可能だ。企業は資金的に余裕がある。とはいえ、投機筋は売り攻勢をかけてくるだろう。

 しかし、売り崩すのは難しい。エヌビディアなど巨大IT企業は日立製作所 <6501> [東証P]、富士通 <6702> [東証P]、安川電機 <6506> [東証P]などの実力を評価し、連携の動きを強めている。ソフトバンクグループ、テスラなどもそうだが、彼らはAIフィーバーの次のステージを見据えている。

 すなわち、フィジカルAI(人工知能とロボティクスの融合)である。生産現場、物流(自動運転)、医療など応用範囲は広い。テスラはロボット軍団の創設を提案している。中国はすでに、ロボット部隊を実戦配備している、という。ドローン、無人機などと同様のスタンド・オフ戦術だ。エヌビディアと安川電機の接近には理由がある。

 さて、ここでの投資作戦だが、基本的には「嵐のときは動くな」という。特に、急騰してきたハイテク系の主軸株は落ち着き待ちだ。値ぼれの押し目買いは命取りになる。まあ、「下げの途中で買うな」とか、「落ちる短剣はつかむな」という。先人の教えである。なにしろ、AI関連の主軸株はバンジージャンプだ。戻りを入れつつ下がる。

 狙い目の銘柄はないのか。筆者は配当取りを兼ねてエスプール <2471> [東証P]、nms ホールディングス <2162> [東証S]、国際計測器 <7722> [東証S]に注目している。エスプールの2025年11月期の配当予想は10円だ。配当利回りは3.6%と格段とよいわけではないが、今月物であり、期間収益の高さは魅力だろう。

 nms ホールディングスは26年3月期に20円(前期は14円)、国際計測器は26年3月期に35円(同30円)配当を行う。両社の配当利回りは4.7~4.9%と高い。波乱相場ではインカムゲインの存在が株価の下支えになる。業績面は不安がない。株式投資は「利回りに始まり、利回りに終わる」という。いまこそ、原点に立ち帰る姿勢が有効ではないか。

2025年11月7日 記

株探ニュース

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