【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ 選別のカギは「値上がり期待&安定配当」、二重の安心感!!
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「選別のカギは『値上がり期待&安定配当』、二重の安心感!!」 ●AIブームの次に訪れる波に乗るものは? 高市首相が掲げた成長戦略の柱となる17分野が発表され、政府が今後重点的に「人」と「資金」を投じるセクターが明確になったことで、投資がしやすくなった。これは有り難い。素直に大喜びしたばかりなのに、株式市場はここにきて高値波乱の展開だ。 その背景にあるのは、米国市場のスター株の値動き。中でもエヌビディア、パランティア・テクノロジーズ の株価は天井を突き抜けたかのような勢いを見せ、東京市場でもその連想からAI(人工知能)関連銘柄が次々に買われてきた。だが、その背後にはすでに過熱感が充満しているのが実情だ。何しろパランティア株のPER(株価収益率)は400倍にも達しているのだ。それでもお構いなしにどんどん買いが入り続け、今も人気は衰えていない。正直、私はPERをあまり気にする方ではない。しかし、それでも100倍を超えると腰が引けてしまう。ところが、100倍どころか400倍なんて、もうどこかの「異星」での値動きとしか思うほかない。 だからといって、「もう限界」と言うのではない。さすがに目先は一服してもおかしくない――こう言いたいのだ。その後、再び立ち上がり、今度は1000倍に向かう。こんなことだってなくはない。しかし、ここでは一休みを想定し、AI以外の分野に目を向けてみたい。では、どんな分野か。それは……皆さんよくご存じの「自動車関連株」だ。 この分野は、第一に高市政権が円安誘導を意識した政策スタンスを取り始めている点、まずはこれが支援材料となる。為替が1ドル=150円を超える局面では、輸出企業の採算が大きく改善する。特にトヨタ自動車 <7203> [東証P]、ホンダ <7267> [東証P]、マツダ <7261> [東証P]、スズキ <7269> [東証P]など、自動車大手の業績には追い風となる。円安基調が続けば、これら企業の利益は想定を上回る可能性が高い。 第二に、日本の自動車産業が依然として世界トップクラスの競争力を維持している点だ。電動化や自動運転など、次世代分野での欧米勢との競争は厳しいものの、技術・信頼性・品質で日本車は世界中で高く評価されている。さらに、ハイブリッド車(HV)の優位性は依然として高く、急速なEV(電気自動車)化に慎重な国・地域(もちろん米国もその中に入る)ではむしろ日本勢が再び脚光を浴びつつある。 第三に、株価面での出遅れ感である。AI関連株や半導体株が年初来で大幅高を演じたのに対し、自動車株の多くはまだ上値余地を残している。業績は堅調で配当利回りも高く、財務体質も健全。値上がり期待と安定配当という“二重の安心感”を持つセクターになる。 つまり、AIブームの陰で静かに力を蓄える自動車関連株は、まさに次の波に乗る候補。市場がAI過熱の反動を迎えた時、資金は確実に実需と収益の裏づけを持つセクターへと流れ込む。自動車関連株はその受け皿として、極めて有望だ。 ●裾野の広い自動車関連、意外な分野に注目銘柄も そこで、具体的にはまずはトヨタ自動車だ。先日発表された2026年3月期の連結純利益見通しは、前期比39%減の2兆9300億円と減益予想ながら、従来予想(同44%減の2兆6600億円)から上方修正されていた。もうこれだけで株価は続伸してもおかしくない。 トヨタ自動車が当たり前過ぎるなら、SUBARU <7270> [東証P]でよい。この会社は11月4日に自己株式の取得状況を公表した。それによると8月8日から10月31日にかけて295億円分の購入を行ったとのこと。残り200億円ほどを年内に取得する予定とのことなので、結果的に株価は下がりにくく、堅調上昇が見込める。 トヨタ系部品メーカー株は総じて魅力的だが、アイシン <7259> [東証P]はその筆頭格。AT(オートマチックトランスミッション)で世界首位にあるだけに、いまはトヨタ車の増産により需要が増加し、10月31日発表の26年3月期第2四半期累計(4-9月)の連結最終利益は前年同期比8.7倍の698億1100万円に急拡大していた。株価は高値圏ながら続伸確率は高い。 自動車関連銘柄の投資で面白いのは、意外な分野に関連銘柄があること。日清紡ホールディングス <3105> [東証P]もそんな企業の一つ。ブレーキ摩擦材の世界大手で、高い技術力と実績で知られている。 最後に、大同特殊鋼 <5471> [東証P]を。これまで幾度も取り上げてきたが、自動車を製造するのに不可欠なのは鋼材。 特殊鋼の世界首位級メーカーだけに、いまは好需要が見込める状況ながら、10月30日に発表された26年3月期第2四半期累計(4-9月)決算は、連結売上収益が前年同期比0.4%増の2844億9900万円、営業利益は同1.1%増の184億6400万円と、かなり物足りないものだった。しかし、自動車生産が拡大中であることを考えると、今後の増益率は拡大すると見られるため、引き続き注目だ。 2025年11月7日 記 株探ニュース
