【杉村富生の短期相場観測】 ─国際マネーはド真ん中の銘柄を狙う!

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コラム

「国際マネーはド真ん中の銘柄を狙う!」

●10~11月相場は波乱の予測はハズレ?

 いや~、すごい相場である。いや、「だった」というべきか。しかし、筆者は正直、とまどっている。10~11月は例年、「荒れ模様の展開が予想される」とし、「この局面は利食いを優先し、現金比率を高めておこう」と主張してきた。とんでもない。この数週間、「利食っても利食っても上がる。どうなっているんですか」と投資家の皆さんに非難されている。

 申し訳ない。ただ、急騰しているのは一握りの銘柄、および日経平均株価だけだ。10月29日が象徴的である。この日、日経平均株価は1088円高の5万1307円と史上最高値(終値ベース)を更新した。これをみると、「全面高」と誰だって思う。だが、東証プライム市場の値上がり銘柄数はわずか200、値下がり銘柄数は1394だった。騰落数で逆に「全面安」である。

 東証株価指数(TOPIX)は7.63ポイント安だ。日経平均株価の動きとは明らかに違う。アドバンテスト <6857> [東証P]、ソフトバンクグループ <9984> [東証P]、レーザーテック <6920> [東証P]、フジクラ <5803> [東証P]、東京エレクトロン <8035> [東証P]などの数銘柄が指数を押し上げている。

 商いのできる主軸銘柄はトコトン買われた。しかし、人気薄の銘柄は見向きもされない。ベテラン営業員が「こんな相場は経験がない」と嘆くのは分かる。なにしろ、日経平均株価5万円台乗せの実感がない。さあ、どうする? 選択肢は2つだろう。割り切って元気な銘柄を攻める、ないしは徹底して様子を見る(お祭りには参加しない)、のいずれかだ。

 とはいえ、インデックス的には高市政権発足による日本再生第2幕の開演だ。ある意味、歴史的な大相場突入との見方ができる。第1幕では日経平均株価が2012年1月安値から6倍超になった。投資家としてはどうせ、「踊るアホウに、見るアホウ」ならばフィーバーの輪に飛び込んでみるのも一策ではないか。う~ん? ここからの参戦はリスクが高いのは確かだろうが……。

●集中物色は世界的な傾向!

 実は、特定の銘柄が集中して物色されているのはアメリカ市場も同じだ。エヌビディアの時価総額は先週5兆ドル台に乗せ、マイクロソフト、アップルは4兆ドル前後となっている。この3銘柄の時価総額は2000兆円近くに達する。東証プライム市場のほぼ倍のスケールである。

 国際マネーはド真ん中の銘柄をポートフォリオの“核”にしていないと、運用競争に勝てない。売ったら負ける。チキンレースに近い。要するに、一握りの銘柄が買われ続けるのには理由がある。それに、マグニフィセント・セブンの時価総額は3200兆円を超すが、7人のサムライ(東京市場の時価総額上位7社)はおよそ200兆円にすぎない。ケタが違う。

 要するに、日本企業は大企業といえども時価総額では小粒であり、ソフトバンクグループは39.6兆円、ソニーグループ <6758> [東証P]は26.6兆円、日立製作所 <6501> [東証P] は24.3兆円、アドバンテストは17.7兆円にとどまる。外資にとっては“小物”ということだ。ちなみに、ブラックロックの運用資産は1900兆円を超える。

 第4次産業革命の中心にいるのがオープンAIだ。世界的に脚光を浴びているのは同社、オラクル、ソフトバンクグループが推進するスターゲート計画(巨大データセンターなどAIインフラに4年間で約75兆円を投じる)である。エヌビディアはオープンAIに最大15兆円、ソフトバンクグループは同6兆円を出資する。マイクロソフトは27%を出資する最大の株主だ。

 その周辺をコアウィーブ、フジクラ、イビデン <4062> [東証P]、関電工 <1942> [東証P]、アドバンテスト、NEC <6701> [東証P]、きんでん <1944> [東証P]、ブロードコム、インテル、クアルコムなどが固める布陣だ。オープンAIは上場準備を始めた、という。

 9月下旬から10月初旬にかけて、エヌビディアのジェンスン・フアンCEO(最高経営責任者)、オープンAIのサム・アルトマンCEO、アップルのティム・クックCEOなど巨大IT企業のトップが相次いで来日した。また、同時期にブラックロック、KKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)の幹部が日本を訪れていたのだ。彼らの狙いは明白である。

 日本企業の潜在能力を評価し、提携話を持ちかけたほか、都心部の土地・建物の取得、企業買収が目的だ。相対的に割安な日本企業、一等地はみんなターゲットになろう。その流れがたまたま集中物色につながったのだ。いずれ、物色範囲は広がると思う。人気薄のグロース市場にも目が向くだろう。

2025年10月31日 記

株探ニュース

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