【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ フィジカルAIで勝機をつかむ日本企業は?!

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コラム

「フィジカルAIで勝機をつかむ日本企業は?!」

●エヌビディアCEOが指し示すAIの新たなステージ

 クリスマスまではまだ2カ月近くもあり、お願いごとをするには早すぎるのは分かっている。それに私は大人だし……。しかし、サンタにお願いしたいことがある。

 どんな願いかというと、エヌビディアのジェンスン・フアンCEO(最高経営責任者)の講演会を日本で開催してほしいのだ。私が最近驚いたのは、トランプ米大統領が高市首相をべた褒めしてくれたことや、中国の習近平国家主席に大いに気を使っていたことではない。10月28日、米ワシントンで開催された同社のフアンCEOの講演会に多くの経営者やAI(人工知能)技術者、投資家などが集まったということだ。それも数百人ではなく、数千人という規模だ。

 それだけ米国の経営者やAI技術者、投資家たちは、同社をけん引するフアンCEOのスピーチを聞きたがっているのだ。AI半導体に関する将来の展望や同社株が今後も上がるかどうかを判断するために、という人もいたに違いない。それも興味深いのだが、私が最も感心したのは、米国の人々のAI半導体に対する関心の強さ、というより熱さになる。それがなければ、わざわざ講演会に出向いたりなどしない。

 では、ファンCEOはどんな話を行ったのか。メディアなどですでに明らかになっており、ご存じの方も多いと思われるため、ポイントだけを箇条書きにしておくと、

 (1)われわれは今、好循環に達し、転換点にいる。極めて素晴らしいことだ。しかし、バブルではない。
 (2)AIモデルが十分に高度化し、顧客が対価を支払うことをいとわない段階に達している。
 (3)フィンランドの通信大手ノキアへ出資を行う。
 (4)米エネルギー省向けに7台の新しいスーパーコンピューターを構築する。

 などになる。以上から、同社株や周辺銘柄への投資はどうすべきか。判断は難しいのだが、答えへと向かう手掛かりとなるのが、同社がフィジカルAIの開発を目指している点だ。

●フィジカルAI関連の上昇余地は大きい

 フィジカルAIとは、現実世界を認識し、その情報をもとに理解しつつ行動する機能を持ったAI技術のこと。画像処理半導体(GPU)の開発・製造で圧倒的首位に立つ企業だけに、現実世界への応用に最も近い位置にいると見てよい。そのため、エヌビディアはこの分野で世界のトップランナーとなるのはほぼ間違いないと見てよく、同社株はもちろん関連銘柄の上昇はまだ続く可能性が高い。

 となると、どんな銘柄へ投資すれば……となる。正直、エヌビディア関連株のリード役だったアドバンテスト <6857> [東証P]は、もう手が出しにくい水準となってしまった。しかし、エヌビディアにICバッケージを納入しているイビデン <4062> [東証P]なら、まだ手が届くのではないだろうか。ニデック <6594> [東証P]に代わり、新たに日経平均株価の算出銘柄に採用されたこともあり、株価はこのところやや荒い値動きながら、基調は上向きが続くと見る。

 同社株が上昇すると、似たような動きになる住友ベークライト <4203> [東証P]は水準的には低く、手掛けやすい。この会社は半導体封止材で世界首位だ。となると、つい紹介したくなるのが味の素 <2802> [東証P]だ。子会社が半導体用の絶縁材料を製造しており、同製品では世界シェアはほぼ100%だ。

 いずれもすでに取り上げたことがあるため、次は未紹介銘柄を。富士通 <6702> [東証P]になる。同社は10月3日、エヌビディアと戦略的協業契約を結んだと発表している。これはフィジカルAI 分野への展開を目指したものと理解してよく、富士通株の値動きをしっかりウォッチしたい。ただ、同社株は正直、動きが重い点はご承知おきいただきたい。

 そして、最後に安川電機 <6506> [東証P]を。フィジカルAI が現実世界に働きかける役割を持つものであるため、産業用ロボットの現場に大きなニーズがあるのは明らか。同社はこの点に着目し、エヌビディアとすでに提携したほか、富士通とも連携を深める方向にある。

2025年10月31日 記

株探ニュース

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