【杉村富生の短期相場観測】 ─日経平均株価、NYダウは先の高値奪回を狙う!

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市況

「日経平均株価、NYダウは先の高値奪回を狙う!」

●外部環境は不透明だが買い気は旺盛!

 インデックス(日経平均株価、TOPIXなど)的には高値保ち合いの展開となろう。需給面ではETF(上場投資信託)の分配金捻出の売り(7月8日~10日に1.2兆円)が出る。アメリカ系ファンドは独立記念日(7月4日)を過ぎると、サマーバカンスに入るケースが多い。外部環境では日米関税交渉の不調が気掛かり材料である。

 国内的には7月20日投開票の参院選が懸念材料だ。定数は248議席だが、改選は124、それに東京選挙区の補選1を加えた125議席を争う。与党(自民党、公明党)は非改選が75議席ある。計算上は50議席以上を獲得すれば過半数を超える。簡単なようだが、現状は厳しい、と思う。石破政権には逆風が吹いている。

 政治の混迷に加え、日米関税交渉は出口がみえない。トランプ政権に相手にされていないようだ。イギリスに続いて、ベトナムとの交渉が決着した。交渉一番手だったのに、日本はどこに行ってしまったのか。国際情勢は「やったもん勝ち」の状態だ。強い者が勝つ世界である。それに、日米関税交渉は対等ではない。それを認識する必要がある。

 もちろん、テクニカル的には調整をほしがっている。日経平均株価は6月30日に4万0852円のザラバ高値をつけた。4月7日の瞬間安値(3万0792円)比1万60円幅、32.7%の急騰劇だ。当然、利食い売りは増える。それに、外部環境の不透明さがある。だからこそ、ここは総論を語らず、各論(銘柄)勝負だ、と主張している。

 実際、個別物色機運は極めて旺盛である。具体的には第4次産業革命を背景に、存在感を強めている東京電力ホールディングス <9501> [東証P]、 半導体関連のJX金属 <5016> [東証P]、レアメタル関連のアルコニックス <3036> [東証P]、西友を買収し飛躍を期すトライアルホールディングス <141A> [東証G]に注目できる。

●外国人は13週連続の買い越し!

 さらに、下水道整備に絡む栗本鐵工所 <5602> [東証P]、三菱重工業 <7011> [東証P]が筆頭株主の放電精密加工研究所 <6469> [東証S]、業績急浮上のバイオテクノロジー企業のVeritas In Silico <130A> [東証G] 、アクティビストが狙うアニコム ホールディングス <8715> [東証P]などに妙味あり、と判断する。

 全般相場については当面、「高値保ち合い」と指摘しているが、8~9月にはNYダウと同様、日経平均株価は史上最高値を奪回するだろう。第4次産業革命の追い風に加え、企業の経営改革を評価する動きが起こるはずだ。なにしろ、国際マネーは日本市場のスケール面での出遅れ(時価総額ベースでの割安感)に着目している。

 ちなみに、アメリカ市場のマグニフィセント・セブン(時価総額上位7社→素晴らしき7社)の時価総額は2589兆円だ。これに対し、日本市場の7人のサムライ(東京市場の時価総額上位7社)の時価総額は152兆円にすぎない。何と、17分の1である。ちょっと、悲しすぎないか。

 日本市場のトップはトヨタ自動車 <7203> [東証P]の39.2兆円だが、アメリカ市場トップのエヌビディアの555.8兆円の14分の1、テスラの146.9兆円の4分の1にすぎない。収益力、生産力、財務内容ではテスラを圧倒しているというのに。この修正が行われるだろう。

 改めて述べるまでもない。エヌビディアは半導体関連株だ。それは別格としてもブロードコムの時価総額は187兆円ある。一方、東京エレクトロン <8035> [東証P]は12.8兆円、アドバンテスト <6857> [東証P]は8.2兆円、ルネサスエレクトロニクス <6723> [東証P]は3.5兆円だ。これではみんな狙われる可能性がある。

 なお、全般相場は繰り返しになるが、調整一巡後、日経平均株価が昨年7月の史上最高値4万2426円を奪回するシナリオを描いている。NYダウは昨年12月の史上最高値4万5073ドルを早い段階に上回るだろう。外国人は4月第1週~6月第4週に13週連続の買い越し(現物株)となっている。この間の買い越し額は実に、4兆4009億円に達する。

2025年7月4日 記

株探ニュース

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