【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ 政策フリー関連に注目!酷暑の需要増が追い風に

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コラム

「政策フリー関連に注目!酷暑の需要増が追い風に」

●トランプ発言による下げは買い場を提供

 「日本はしぶとい。日本は米不足なのに、米国の米を輸入しない。日本は米国に自動車を大量に輸出しているのに、米国からは買わない。日本との関税協議は他国の後回しにする。対日関税は30%か35%に引き上げるつもりだ。」

とまあ、トランプ米大統領は相変わらず国内の支持層を意識した発言を繰り返している。日本としては「大統領、それ間違ってますよ」と指摘するのもバカバカしいような、作為のある発言なのだが、困るのは、株式市場がいちいちトランプ発言に反応すること。正直、株式市場には中立な見方をする人がいないのか、と言いたくなる。

 しかし、株式投資では市場の反応は絶対である。市場のコンセンサスは重視せざるを得ないのだが、実は市場の反応は短期的には多くが間違う。市場はこれまでもトランプ大統領のさまざまな発言に敏感に反応してきた。多くの場合、それはマイナスに働き、株価は下げてしまった。しかし、いまその時々を振り返ると、気掛かり材料で下げた時には正しい反応に見えたのに、現在のNYダウ、ナスダック、S&P500はもちろん、日経平均株価やTOPIXを見ると、いずれも当時よりも高い位置にある。トランプ発言への市場の反応は間違いだった、こう言ってよい。急落したところで不安に駆られたり、恐怖を覚えたりして持ち株を手放してしまった人は、誤った投資行動を取ったことになる。

 だから、ここで強調したいのは、トランプ大統領の発言は上昇中の株価を少し下げさせ、買いやすくしてくれている。こう認識するのがよい。なにしろ同大統領のこととなると、ほとんどのマスコミ、そして識者たちの間でプラスに評価する論調はほぼゼロだ。このほど決まった米国の減税策にしても、米議会予算局(CBO)が算出したという、今後約10年間でおよそ3.4兆ドル(約477兆円)の財政赤字になる、との見方ばかりが報じられている。

 では、減税策の中身はどうなのか。この点について報じるところはほぼなく、ただただ赤字拡大の懸念ばかりが強調されている。こうなると、当然投資する立場としては心配になって積極投資を控える。こうなるのだが、減税策の中身について触れることなく、財政負担の可能性だけがセンセーショナルに報じられるのは困ったものだ。

 「大きく美しい1つの法案」と名付けられた減税策が盛り込まれたこの法案は、トランプ大統領が1期目に実施した2017年の減税措置の恒久化を目指すもので、全てがまったく新しいものというわけではない。2017年に決まった減税措置は25年末に期限切れとなる予定だった。そこでトランプ大統領はその阻止と延長を目指していたのだが、それがようやく議会で承認されたことになり、大統領としては大満足のはずだ。具体的な内容は次のようになっている。

①チップや残業代、車のローン利息に対する課税免除や控除枠の設定
②高齢者向けの追加標準控除
③州・地方税(SALT)控除枠を年間4万ドル(所得制限あり)に引き上げ
④「トランプ口座」を創設、新生児一人あたり1000ドルを支出
⑤子ども税額控除(Child Tax Credit)を2200ドルに増額

 中身は新たな所得控除の創設などが柱になっており、米国民にとっては非常に素晴らしい内容といえるのではないだろうか。日本の減税、控除策抜きのチマチマとした国民生活支援策に比べると、比較にならないほど国民サイドに立ったものといえるのだ。そこには目を向けず、マイナス視点からのみの評価はいずれ覆るので、ここはトランプ政策、そして国内参院選挙の争点とも無関係な銘柄への投資を考えたい。つまり、何がどうなるのか読みづらい政治に左右されない、政策フリーの銘柄、ということになる。

●夏場の電力需要増でメリット享受の電力、設備関連などを

 そこで、まずは猛暑による 電力需要増が少なくとも2カ月以上は続くと見てよいため、北海道電力 <9509> [東証P]だ。北海道は近年どんどん夏の気温が上がり、多くの家でエアコンを使うようになっている。当然、電力消費は増加の一途を辿るため、投資しておきたい。ただ、正直、暑さは全国どこの地域でもあまり変わらなくなっているため、私の出身地である九州電力 <9508> [東証P]、さらには東京電力ホールディングス <9501> [東証P]でも構わないことになる。

 電力需要増となると電力設備関連株も上昇しやすく、関電工 <1942> [東証P] に着目だ。東京電力系の電気設備工事大手のため投資の安全度も高い。

 電力設備工事では、電線が不可欠となる。オーソドックスに住友電気工業 <5802> [東証P]がよい。データセンター向け需要の要素を絡めるならフジクラ <5803> [東証P]になる。

 めちゃくちゃな暑さが続いているため、線路の保守・点検などの作業にも万全を期す必要がある。それに強いのは東鉄工業 <1835> [東証P]。JR東日本 <9020> [東証P]向けだけでなく、私鉄のインフラ維持にも強く、株価は高値圏ながら極端な上昇ではないため、なお上昇の余地ありと見てよい。

 夏は男性もボディケアが不可欠になる。特に髪には気を配る必要があり、マンダム <4917> [東証P]に注目だ。有名な「ギャツビー」に「ルシード」ブランドも加わり、収益を支えるようになっているので、株価も好感高が見込める。

 最後に、フジ・メディア・ホールディングス <4676> [東証P]を。株主総会が終わり、株の争奪戦にも一区切りがついたと思われたが、旧村上ファンド系の投資会社レノによる買い増しが、2日明らかになった。しかし、翌日の株価は急失速、週末も軟調だった。旧村上ファンド系が投資したということは、簡単には売り逃げしないと見てよい。旧村上系はじっくり腰を据えて会社にあれこれと要求する傾向があることを考えると、現在の株価水準で満足するとは思えない。

2025年7月4日 記

株探ニュース

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