【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ 関税交渉切り札で急浮上が期待される造船株!
投稿:
「関税交渉切り札で急浮上が期待される造船株!」 ●先高予見させる希望の灯り 日米関税交渉は厳しいものになる――市場関係者の見方はほぼ一致しているが、その中身については詳細がまったく分からない。そのため、市場はただただ悲観的に関連株を見ており、特に影響が甚大なのがトヨタ自動車 <7203> [東証P]をはじめとする自動車と周辺銘柄だ。だが、その自動車株も急落した4月初めの底値からはほとんどが上昇し、急落前の高値には及ばないものの高水準で保ち合っている。こういえる状況であり、上放れのきっかけを待っているところとみてよい。 なにしろ、経営状況が非常に厳しい日産自動車 <7201> [東証P]でさえ、4月7日の安値からずっと上昇続きなのだ。だからといって、さすがに同社株を勧める勇気はないが、日本から見ると無理難題ともいえる米国による関税引き上げで、株価が下がらないのは「希望の灯り」そのもの。同社株だけでなく、他社株の先高を予見させる希望に見える。 このような状況を踏まえ、日本政府はトランプ政権と必死の交渉を続けているわけだが、ただ「ともかく関税を引き下げて下さい。お願いします」とすがるだけでは聞き入れてもらえない。そこで、日本としては米国側が食いつきそうな代償を差し出さねばならない。その候補として考えられるのが以下の5つだ。 (1)米国産農産物の輸入拡大 (2)米国製自動車に対する「非関税障壁」の見直し (3)レアアースなどの重要鉱物の加工・製錬の技術支援 (4)半導体工作機械の製造協力 (5)造船業への投資と技術支援 ●米軍が求める商船の軍事転用化、日本造船業に商機の風 以上のうち、投資の観点から見て銘柄を選びやすく、パフォーマンスが上がりやすいのは(5)の「米造船業への投資と技術支援」になる。なぜ、いま 造船なのか。4月下旬に来日したジョン・フェラン米海軍長官は、日本に対して商業船舶を軍事転用可能な仕様で建造するほか、日本企業に米西海岸の造船業へ投資するよう要請した。衰えた米国の造船業単独では大規模な転用の推進は困難というのだ。かといって、造船世界一とはいえ間違っても中国に協力を求めるわけにはいかない。しかも、その中国は米国に先駆けて商業用船舶の軍事転用を進めているというのだから、日米ともにうかうかしていられないのはもちろんだ。ゆえに、この案件は早急に進めるべきものとなるため、関連株の反応も早い。こう見てよい。 まず注目したいのが、中堅造船の名村造船所 <7014> [東証S]だ。傘下に佐世保重工業や函館どつくを擁し、造船だけでなく修理にも強い。日本の造船所での米軍艦の修理拡充を求める米国の要望にも十分応えられる。 船舶には当然各種の計器が装備されている。艦船には魚群探知器は不要だろうが、魚群探知器の世界的メーカー古野電気 <6814> [東証P]の電子機器類は艦船にも欠かせぬ装備品。電子海図システムや無線機器にも強いため、造船関連株として見逃せない銘柄になる。そんな同社との関係が緊密で、船舶データ活用サービスで連携しているのが寺崎電気産業 <6637> [東証S]だ。船舶用配電制御システムに強い点に注目だ。ほかに防衛用通信機器類では、東京計器 <7721> [東証P]がある。商船用機器から出発しているため、商船の軍事転用化にも強いと見るのが自然だ。 船舶は大型のエンジンを搭載している。舶用ディーゼル機関の専業メーカーが、ジャパンエンジンコーポレーション <6016> [東証S]だ。神戸発動機と三菱重工の舶用エンジン部門が統合して誕生した企業だけに技術力、信頼度ともに高く、米海軍も文句なしだろう。そして、エンジンでは周辺部品も不可欠。それに強いのはダイハツインフィニアース <6023> [東証S]。株価の値動きは重いが、次第高なら見込める。エンジンでは阪神内燃機工業 <6018> [東証S]もある。ただ、株価は目先高いため、一休みするのを待って投資したい。 そして、最後は新明和工業 <7224> [東証P]になる。ダンプなど特装車のトップメーカーだが、同時に防衛省向け救命飛行艇に強いのだから、これまた米海軍支援に欠かせない。 なお、海軍長官の話では、トランプ氏と顔を合わせると、決まって「船だよ、船、船!」と繰り返すとのこと。だから「造船株!」になる。 2025年5月30日 記 株探ニュース