今週の【早わかり株式市況】反発、関税発動延期と半導体高で堅調な地合い
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■今週の相場ポイント 1.日経平均は2週ぶり反発、一時3万8000円台回復 2.前週末に米国がEUへ50%関税表明、警戒感高まる 3.一転して対EU関税は延期に、週明け日本株は上昇 4.日鉄のUSS買収に動き、トランプ氏承認意向で 5.エヌビディア好決算、値がさ半導体関連株に買い ■週間 市場概況 今週の東京株式市場で日経平均株価は前週末比804円(2.2%)高の3万9765円と、2週ぶりに上昇した。 今週は概ね堅調な地合いだった。米国の対EU関税を巡り一時的に警戒感が高まったものの、発動時期が延期されたことでリスク回避ムードが後退。米エヌビディアの好決算が追い風に働き、日経平均は一時3万8000円台を回復した。 26日(月)の東京株式市場は上昇。トランプ米大統領が欧州に対して50%の関税を課すと表明したことを受け、前週末の欧州株市場は軒並み下落した。関税合戦に発展するとの懸念から米国株市場も売りに押されたものの、その後にトランプ氏が関税発動の延期に言及し、過度なリスク回避ムードが後退。週明けの東京市場は買い優勢でスタートした。個別では日本製鉄 <5401> [東証P]が急動意し注目を浴びた。トランプ氏が自身のSNSで、日本製鉄による米USスチール の買収計画を承認する意向を示したことが手掛かりとなった。27日(火)も上昇。前日の米株市場が休場で手掛かり材料難だったが、個別株の物色意欲は根強く全体相場を支えた。28日(水)はわずかに反落。米国による対EU関税延期をポジティブ視するムードが続いたものの、次第に上値の重さが意識された。日経平均は朝高後に値を消す展開で、大引けは前日比1円安とマイナス圏で着地した。29日(木)は大幅高。この日、日本時間早朝に開示された米エヌビディア の決算内容は概ね好調で、同社株は時間外で上昇。この流れを受け、東京市場ではアドバンテスト <6857> [東証P]など値がさの半導体関連株が買われ全体を大きく押し上げた。30日(金)は反落。トランプ関税を巡る訴訟の先行き不透明感が意識された。前日に大幅高となった反動もあったとみられる。 ■来週のポイント 来週も米関税政策を巡る話題が市場を左右することになりそうだ。一時期に比べて市場の反応も落ち着いてきており過度な警戒は不要と思われるが、逐次状況は確認しておきたい。 重要イベントとしては、国内では2日朝に発表される1-3月期法人企業統計調査、6日朝に発表される4月全世帯家計調査と4月景気動向指数が注目される。海外では2日に発表される米国5月ISM製造業景気指数、4日に発表される米国5月のADP雇用統計とISM非製造業景気指数、5日に発表される米国4月貿易収支、6日に発表される米国5月雇用統計、7日に発表される中国5月貿易収支に注視が必要だろう。 ■日々の動き(5月26日~5月30日) 【↑】 5月26日(月)―― 続伸、EUへの関税発動延期で買い優勢 日経平均 37531.53( +371.06) 売買高14億3556万株 売買代金 3兆4503億円 【↑】 5月27日(火)―― 3日続伸、為替の円安で終盤にかけ買い優勢 日経平均 37724.11( +192.58) 売買高13億3109万株 売買代金 3兆3198億円 【↓】 5月28日(水)―― 4日ぶり小反落、朝高も買い続かず値を消す 日経平均 37722.40( -1.71) 売買高18億418万株 売買代金 4兆2870億円 【↑】 5月29日(木)―― 急反発、エヌビディア効果と円安で買い優勢 日経平均 38432.98( +710.58) 売買高18億6979万株 売買代金 4兆7521億円 【↓】 5月30日(金)―― 反落、トランプ関税の不透明感と円高を嫌気 日経平均 37965.10( -467.88) 売買高27億1183万株 売買代金 6兆5106億円 ■セクター・トレンド (1)全33業種中、31業種が値上がり (2)上昇率トップはMS&AD <8725> など保険。金融株はSBI <8473> など証券、日本取引所 <8697> などその他金融なども大きく上昇した (3)輸出株はトヨタ <7203> など自動車、三菱重 <7011> など機械、ソニーG <6758> など電機が高い (4)三井倉HD <9302> など倉庫・運輸、OLC <4661> などサービス、NTT <9432> など情報通信といった内需株は堅調 (5)フジクラ <5803> など非鉄、信越化 <4063> など化学、菱製鋼 <5632> など鉄鋼といった素材株も買われた (6)値下がりはHOYA <7741> など精密機器、三和HD <5929> など金属製品の2業種のみ ■【投資テーマ】週間ベスト5 (株探PC版におけるアクセス数) 1(4) 量子コンピューター 2(5) 防衛 ── 関税デメリットから外れたグローバルテーマで再脚光 3(3) 仮想通貨 4(7) 半導体 5(1) 親子上場 ※カッコは前週の順位 株探ニュース