水の安全を守れ、汚染浄化の救世主「PFAS対策関連」有望株総ざらい <株探トップ特集>

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コラム

―自然界で分解されにくい人工の化学物質、除去・分解・不使用技術で企業の取り組み広がる―

 きょうの東京株式市場で日経平均株価は一時2600円を超える急落となり、5万1000円台を割り込む場面があった。全体相場は依然として中東情勢に振り回される展開が続いている。一方、地合い悪のなかでも個別では対米投融資をはじめ政策期待のある銘柄を中心に物色意欲はまだついえていないものの、短期で値動きが激しく投資熟練者でなければなかなか手を出しづらいのが現状だ。こうした難しい相場環境下ではあるが、ここは少し視点を変えて、目新しいテーマに着目してみたい。来月からスタートする新規制に絡んだものだ。環境・健康面での懸念払拭が急がれる「PFAS対策」関連株を取りあげた。

●来月から定期検査が義務化

 4月からPFAS(有機フッ素化合物)の一種である「PFOS」「PFOA」の定期検査が義務化される。水道法の省令改正によって、水道事業者に対して水質検査の実施と基準を順守する義務が課される。水道法では「水質基準」を定めており、これを補完する項目として水質管理上留意すべき「水質管理目標設定項目」、水道水中での検出実態が明らかでない「要検討項目」が設けられている。これまでPFOS・PFOAは「水質管理目標設定項目」に位置づけられていたが、今回これを「水質基準」へと格上げした格好だ。

 PFASとは、フッ素と炭素を人工的に結合させた化学物質の総称で、前述のPFOS・PFOAを含め1万種類以上あるとされる。水や油をはじき、熱に強い性質があるため、フライパンの焦げ付き防止加工や食品包装材、アウトドア用品から半導体材料、自動車部品、農薬、消火剤まで幅広い分野で使われている。ただ、近年では自然界で分解されにくいという環境面の影響、そして人体に取り込まれてしまった場合に有害であるという健康面の影響がクローズアップされ、使用を減らす機運が高まっている。世界保健機関(WHO)が2022年に暫定ガイドライン値を示し、欧米を中心に規制強化が進むなど世界的な潮流となりつつある。国内では22~23年ごろから東京・多摩地域や沖縄県の地下水で高濃度のPFASが検出されたことをきっかけに問題化。国が全国調査に乗り出す事態となった経緯がある。

●関連企業さまざま、感応度高い中小型3銘柄など

 まずは、いま現に存在しているPFASを取り除くことが必要となろう。クラレ <3405> [東証P]は2月、米国子会社で飲料用途向け再生炭生産設備を増設すると発表した。同国で高まるPFAS処理ニーズを捉える狙いがある。投資金額は約1億ドルで、28年から稼働を始める予定だ。三菱ケミカルグループ <4188> [東証P]は傘下でPFAS除去装置を手掛けており、直近で栃木県下野市の配水場に導入されたことを明らかにした。ノリタケ <5331> [東証P]は昨年にファインバブルを用いた除去装置を開発。液体からPFASを99%以上除去することができるという。オルガノ <6368> [東証P]はPFASを吸着して除去するイオン交換樹脂を手掛けている。

 分解技術も見逃せない。クボタ <6326> [東証P]は1月、PFASの一種である「PFNA」を99.999%超の高効率で分解する実証試験に成功したと発表。同社が廃棄物処理向けに開発・提供している溶融分離技術を用いており、今後PFASを含む廃棄物を安定的に分解・資源化することが見込まれるという。PFNAだけでなく、PFOS・PFOAの分解能力についても確認していく方針だ。昨年にはウシオ電機 <6925> [東証P]も分解技術を発表した。同社がこれまで培ってきた真空紫外線技術を応用し、PFOS・PFOAを分解して無害化する技術を開発したという。

 社会的な関心の高まりとともに分析需要も増すかもしれない。この分野では島津製作所 <7701> [東証P]、三浦工業 <6005> [東証P]が関連サービスを提供している。応用地質 <9755> [東証P]は地下水汚染への対策支援で実績がある。このほか、以下3銘柄を個別にピックアップした。過去、PFAS関連のニュースが報じられた際に株価を動意づかせたことのある感応度の高い銘柄であり、マークしておく必要がある。

 室町ケミカル <4885> [東証S]は創業100年を超える老舗の医薬品原薬メーカー。液体処理に関する製品にも強みを持ち、そのなかで「PFAS除去用イオン交換樹脂」を手掛けていることで知られる。奥村組 <1833> [東証P]が実施する浄化事業に参画するなど、今後増加するニーズを取り込むべく取り組みを加速させている。

 環境管理センター <4657> [東証S]は土壌汚染などの環境調査や分析、コンサルタントを総合的に展開する。環境省によるPFOS・PFOAの全国調査業務を受託した実績を持つ点はポイントとなる。加えて、昨年には同じく環境省の実証事業で「土壌中のPFOS・PFOA濃度を低減させる技術」を提案し、選定された実績もある。

 リベルタ <4935> [東証S]はトイレタリーや美容商品、機能衣料といった商品の企画・販売を手掛ける。そのなかでPFOS・PFOAの除去が可能な浄水器を取り扱っており、関連銘柄として位置づけられている。同社は最近、注力する機能衣料の事業拡大に向けて新株予約権の発行を発表しており、株価の動きには注意したい。

●直近材料を発表したFDKに注目

 ここまでは既に環境中に存在する物質をどのように処理するかという話だったが、そもそも利用場面が減ればそれに越したことはない。将来的な使用低減に向けて代替技術を開発する動きも広がっている。

 FDK <6955> [東証S]は19日、PFASを使用しないニッケル水素電池を開発したと発表した。二次電池の性能や寿命を安定させる重要材料として広く使われてきたPFAS を新規材料に置き換え、新たな製法を適用することで従来品と同等の電池特性を維持したという。来月から量産出荷を始めるとしており、今後の需要獲得に期待がかかる。

 また、住友ベークライト <4203> [東証P]は1月、PFASフリーの高機能絶縁難燃シートを開発したと発表した。電動車や産業用高電圧電源装置での活用を見込む。このほか、PFASを使わないものでは東レ <3402> [東証P]が衣料向け素材「DEWEIGHT(デューエイト)」、日本ゼオン <4205> [東証P]がリチウムイオン電池の正極用バインダーを手掛け、セントラル硝子 <4044> [東証P]が半導体材料の開発に取り組む。レゾナック・ホールディングス <4004> [東証P]はPFAS規制に対応した電子材料向けコーティング剤を展開する。

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