【杉村富生の短期相場観測】 ─売買代金の上位銘柄を狙う!

投稿:

コラム

「売買代金の上位銘柄を狙う!」

●弱気のジンクスを気にする必要はない!

 株式市場はアノマリーの「波乱の11月」を通過し、師走相場に突入している。掉尾の一振が期待できる状況にある。日経平均株価は11月4日に、5万2636円の史上最高値(ザラバベース)をつけた後、同月19日には4万8235円の安値まで急落した。まさに、荒れる季節にふさわしい値動きだ。下落幅は4401円、下落率は8.4%となる。

 特に、乱高下をみせたのがソフトバンクグループ <9984> [東証P]だ。今年4月7日の5730円を安値に、10月29日には2万7695円の上場来高値まで駆け上がった(4.8倍)が、11月25日には1万5180円の安値をつけた。下落率は45.2%に達する。参戦中の投資家の皆さんはビックリされたことだろう。

 しかし、そこを安値に猛反騰に転じる。やはり上げ下げともにソフトバンクグループが主役である。12月4日は売買代金が6509億円を超え、1530円高の1万8200円と急騰した。高値は1万8370円があった。つれて、同日の日経平均株価は1163円高の5万1028円と大幅高だ。11月4日の最高値奪回、一段高が見込める展開になりつつある。

 この動きは2026年相場に対する夢と希望を膨らませる。マーケット関係者の一部には「辰巳天井、午尻下がり」などのジンクスを気にする人がいる。確かに、1988~1989年の干支(十干十二支)は辰巳(日経平均株価は1989年12月29日に3万8957円と当時の史上最高値をつけた)であり、午年の1990年はバブル崩壊の巡り合わせである。

 う~ん、2024~2025年は辰巳、2026年は午だ。気掛かりではある。しかし、再三指摘しているように、当局が「バブル潰し」に狂奔し、PER(株価収益率)が60倍、PBR(株価純資産倍率)が5倍超になっていた1980年代後半(完全にバブル)と現在とでは背景、状況が根本的に違う。なにしろ、当時の日経平均株価はNYダウの14倍だったのだ。これは単純比較だが……。

●国策は日米ともに株高を推進!

 日米両国ともに国策は、景気浮揚、成長戦略の推進、株高政策だ。高市政権はそれを明確に打ち出している。支持率が高いのは当然と思う。アメリカではFRB(米連邦準備制度理事会)が12月9~10日のFOMC(公開市場委員会)において、0.25%の利下げを実施するとみられている。すでに、QT(量的金融引き締め→国債売却)は停止された。超金融緩和路線に踏み切ろうとしている。

 さらに、バーゼル3のアメリカ独自の銀行に関する自己資本比率の上乗せ部分を緩和し、リスク許容度を高める。NYダウ、 NASDAQ指数ともに史上最高値圏にある。そんな状況下での超金融緩和路線だ。それに、1カ月以内にはパウエル議長(任期切れは2026年5月15日)に代わる次期FRB議長が決まる(トランプ米大統領は「おそらく来年初めに発表」と発言)。

 トランプ大統領の意向に沿ったハト派(金融緩和論者)になるのは予定のコースだ。アメリカ市場はジャブジャブの金余りが株高を支える。半面、日銀は18~19日の日銀金融政策決定会合での利上げの可能性がささやかれている。金融の正常化とともに、円安阻止(ベッセント米財務長官は「為替介入の前に、利上げが先」と主張)が狙いだろう。

 金融正常化、金利のある世界は悪い話ではない。三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]、三井住友フィナンシャルグループ <8316> [東証P]、いよぎんホールディングス <5830> [東証P]、しずおかフィナンシャルグループ <5831> [東証P]はポートフォリオに入れておく必要があろう。

 このほか、売買代金ランキング上位のソフトバンクグループ、キオクシアホールディングス <285A> [東証P] 、三菱重工業 <7011> [東証P]、ファナック <6954> [東証P]、安川電機 <6506> [東証P]はチェックしておきたい。ファナック、安川電機はロボット関連だ。フィジカルAI(人工知能とロボティクスの融合)の流れに乗る。

 個別銘柄ではシンデン・ハイテックス <3131> [東証S]に注目するほか、西友を買収し全国展開を加速させているトライアルホールディングス <141A> [東証G] が強い。JX金属 <5016> [東証P]は出直り態勢だ。ロココ <5868> [東証S]は薄商いだが、ジリジリと水準を切り上げている。

2025年12月5日 記


株探ニュース

オンラインで簡単。
まずは無料で口座開設

松井証券ならオンラインで申し込みが完結します。
署名・捺印・書類の郵送は不要です。