株価指数先物 【週間展望】―いったん自律反発も、戻り待ちのショートが入りやすい

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先物

 今週の日経225先物は、一進一退の展開が見込まれる。先週はエヌビディアの決算に翻弄される形となり、決算(日本時間20日)前日の19日には持ち高調整の影響により4万8270円まで売られ、20日は決算結果を受けて5万0620円まで急伸した。その後、米国市場が不安定な値動きとなるなか、週末21日には4万8280円まで下げ幅を広げる場面もみられ、前日のリバウンド分を帳消しにした。その後4万8780円まで下げ幅を縮めて終えているが、週間の下落率は3.07%だった。

 21日の米国市場は、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ実施の観測が高まり、主要な株価指数が上昇している。ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が米連邦準備制度理事会(FRB)が近く再び利下げを行う余地があるとの見方を示したことが材料視された形だった。この発言を受けて、「フェドウオッチ」によると利下げ確率は前日の39.1%から70.9%に上昇している。ただし、ダラス連銀総裁とボストン連銀総裁が利下げに慎重な姿勢示していることもあり、楽観的な見方は強まりにくいだろう。

 先週の日経225先物は、チャート上では25日移動平均線に上値を抑えられる形状が続くなかで、ボリンジャーバンドの-1σとのレンジ内での推移が目立った。ただ、週末の下落で-1σを割り込み、-2σが射程に入った。21日取引終了後のナイトセッションで4万8030円まで売られる場面もみられ、-2σまで下げてきた。いったんは自律反発が期待される水準まで調整したことで、-2σ(4万8030円)と-1σ(4万9120円)によるレンジが意識されやすくなりそうだ。なお、祝日取引は12時時点では4万8680円~4万9130円辺りで推移している。

 先週は-1σと5万円処で推移する25日線とのレンジで荒い値動きが続いていたこともあり、需給不安は拭えないだろう。-1σを突破してきたとしても積極的なロングは期待しづらく、戻り待ち狙いのショートに向かわせやすくなりそうだ。先週末の乱高下でレバレッジ型ETFのヘッジ対応の動きが目立っていたことも神経質にさせるだろう。

 先週の大幅な下げに対する自律反発で-1σ突破が意識されそうだが、5万円の大台を狙ったロングに傾けるポジションは限られそうだ。そのため、-1σを挟んだ-2σと25日線辺りでの推移が見込まれ、オプション権利行使価格の4万8000円から5万円のレンジを想定する。週間形状では13週線が4万7550円辺りで推移しているため、同線が支持線として機能するとみられる。日足の-2σを割り込む局面では、13週線を支持線とした押し目狙いのロング対応となりそうだ。

 今週もエヌビディアの動向を睨んでの展開となりそうだが、トランプ米政権は21日、同社製の人工知能(AI)半導体を巡り、中国への輸出許可を検討していると報じられた。実現すれば米中の緊張緩和につながる可能性があるほか、半導体・AI関連株への資金流入につながるとみられ、日経平均型の反発が期待される。ただ、この報道を受けてエヌビディアは一時2%超上昇する場面もみられたが買いは続かず、0.9%安と続落で終えている。AI関連株への自律反発はあっても、再動意は期待しづらい。

 また、今週は27日がサンクスギビングデーで米国市場は休場となり、28日は短縮取引でブラックフライデーとなる。今後クリスマスムードも高まってくることで海外勢の商いは細り、積極的にロングポジションを積み上げる動きは期待しづらい。一方、先駆していた半導体・AI関連株に対する利益確定に伴う持ち高調整が引き続き意識されやすいだろう。

 10月の米消費者物価指数(CPI)の公表自体が見送られるほか、11月分の公表も当初予定の12月10日から18日にずれ込むため、12月のFOMCでの利下げ機運も高まりにくくさせそうだ。なお、10月分の米雇用統計の公表も取りやめており、11月分については12月16日に発表される予定だ。

 そのため、-1σ突破からは戻り待ち狙いのショートによるスキャルピング中心の商いになろう。現物株ではソフトバンクグループ <9984> [東証P]が先週、窓を空けての急落で支持線として意識されていた75日線を割り込み、-2σ水準まで売られている。バンドは下向きで推移しているため、早い段階で75日線を上回るようなリバウンドをみせないと、先物市場ではショートを仕掛けやすくさせそうである。

 21日の米VIX指数は23.43(20日は26.42)に低下した。週間(14日は19.83)では上昇している。先週は20日にエヌビディアの決算を受けて19.28と20.00を割り込む場面もみられたが、その後同社が下落に転じたことで、AI関連株に対する持ち高調整が強まり、28.27まで急伸する場面もあった。10月17日の急伸時につけた28.99に迫ったことでいったん低下した形であり、引き続き上へのトレンドが強まる可能性には警戒しておきたい。

 先週末のNT倍率は先物中心限月で14.77倍(20日は15.07倍)に低下した。週間(14日は15.00倍)でも下落している。指数インパクトの大きい値がさハイテク株の下げのインパクトが大きく、一方でディフェンシブやバリュー株への資金シフトによってNTショートの動きが強まった。エヌビディアの決算を手掛かりに20日には15.21倍に上昇する場面もあったが、25日線(15.22倍)に上値を抑えられ、21日には大きく低下し、+2σ(14.73倍)まで下げる動きになった。リバランスが入りやすいところだが、-1σ(14.97倍)辺りで戻りの鈍さがみられるようだ、-3σと75日線が位置する14.50倍辺りまでの下げは想定しておきたい。

 11月第2週(11月10日-14日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では3週ぶりの買い越しであり、買い越し額は3359億円(11月第1週は5877億円の売り越し)だった。なお、現物は5147億円の買い越し(同3559億円の売り越し)と2週ぶりの買い越し。先物は1787億円の売り越し(同2317億円の売り越し)と5週連続の売り越しだった。個人は現物と先物の合算で2866億円の売り越しと2週ぶりの売り越し。信託銀行は現物と先物の合算で2552億円の売り越しとなり、2週連続の売り越しだった。

 主要スケジュールでは、11月25日に米国9月小売売上高、米国9月生産者物価指数、米国11月コンファレンスボード消費者信頼感指数、26日に9月景気動向指数改定値、米国11月シカゴ購買部協会景気指数、米国10月新築住宅販売件数、米地区連銀経済報告(ベージュブック)、27日に中国1-10月工業企業利益、28日に10月完全失業率、11月東京都区部消費者物価指数、10月鉱工業生産、米国ブラックフライデーなどが予定されている。

――プレイバック・マーケット――

●SQ値
12月限 日経225 39434.85  TOPIX  2738.68
01月限 日経225 39343.19  TOPIX  2726.70
02月限 日経225 39432.64  TOPIX  2775.06
02月限 日経225 39432.64  TOPIX  2775.06
03月限 日経225 36483.79  TOPIX  2684.98
04月限 日経225 32737.29  TOPIX  2418.70
05月限 日経225 37572.13  TOPIX  2733.00
06月限 日経225 38172.67  TOPIX  2776.06
07月限 日経225 40004.61  TOPIX  2830.46
08月限 日経225 41368.58  TOPIX  3004.82
09月限 日経225 45016.28  TOPIX  3175.61
10月限 日経225 48779.14  TOPIX  3241.66
11月限 日経225 50323.66  TOPIX  3339.97

◆日経225先物(日足)
         始値   高値   安値   清算値  前日比
25/12 11月21日  49870  50230  48280  48780  -1140
25/12 11月20日  48750  50620  48670  49920  +1280
25/12 11月19日  48540  49150  48270  48640  +140
25/12 11月18日  50320  50510  48500  48500  -1770
25/12 11月17日  50220  50760  49690  50270  -60

◇TOPIX先物(日足)
         始値   高値   安値   清算値  前日比
25/12 11月21日  3308.0  3331.5  3252.5  3301.0  -11.5
25/12 11月20日  3256.5  3336.0  3250.5  3312.5  +63.5
25/12 11月19日  3239.5  3280.0  3229.5  3249.0  +11.0
25/12 11月18日  3345.5  3355.0  3238.0  3238.0 -104.5
25/12 11月17日  3346.5  3371.0  3328.5  3342.5  -11.0

●シカゴ日経平均 円建て
          清算値  前日大阪比
11月21日(12月限) 48785 +5
11月20日(12月限) 48455 -1465
11月19日(12月限) 49280 +640
11月18日(12月限) 48850 +350
11月17日(12月限) 49785 -485
 ※前日比は大阪取引所終値比

□裁定取引に係る現物ポジション裁定残(金額)
        売り   前週末比   買い      前週末比
11月14日    511億円  -200億円  2兆0311億円  +1647億円
11月07日    712億円  +691億円  1兆8664億円  -2818億円
10月24日     12億円  -499億円  2兆4549億円  +2932億円
10月17日    511億円  +489億円  2兆1617億円  -4271億円
10月10日     22億円 -2058億円  2兆5888億円  +3076億円
10月03日    2080億円  +538億円  2兆2812億円  -3067億円

□裁定取引に係る現物ポジション(株数)
        売り      前日比  買い       前日比
11月19日    2030万株   +1815万株  7億7786万株   +1417万株
11月18日    214万株   -878万株  7億6369万株   -4204万株
11月17日    1093万株    -65万株  8億0574万株   -1825万株
11月14日    1158万株   -1768万株  8億2399万株   -2341万株
11月13日    2926万株   +355万株  8億4741万株   -511万株
11月12日    2571万株   +908万株  8億5252万株   +7312万株
11月11日    1662万株    +32万株  7億7940万株   +453万株
11月10日    1630万株    +32万株  7億7487万株   +479万株
11月07日    1598万株   +1526万株  7億7008万株   -2206万株
11月06日     7万株   -618万株  7億9214万株   -1254万株
11月05日    690万株   +618万株  8億0469万株   -7343万株
11月04日     72万株    ±0万株  8億7812万株   -292万株
10月31日     72万株    ±0万株  8億8105万株   +2831万株
10月30日     72万株    +16万株  8億5273万株   -1223万株
10月29日     55万株    ±0万株  8億6497万株   -2788万株
10月28日     55万株    ±0万株  8億9286万株   -8064万株
10月27日     55万株    ±0万株  9億7350万株   -5999万株

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