【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ 中国リスク背景に妙味増すレアアース関連!

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コラム

「中国リスク背景に妙味増すレアアース関連!」

●逆風強まる株式市場への対応は?

 正直に言えば、「米国政府は本当にいいかげんだなあ……」とならざるを得ない。米労働省は20日、9月の雇用統計(季節調整済み)を発表したが、ご存じの通り政府機関の閉鎖の影響により、実に1カ月半も遅れての発表となった。こんな雇用統計を誰が信じられるのか、というのが率直なところだ。しかし、正式発表である以上、市場はそれに基づいて動かざるを得ず、20日の米国市場はテック株を中心に下落し、その流れが東京市場にも波及した。

 念のため雇用統計の内容に触れておくと、非農業部門の就業者数は前月比11.9万人増。市場予想の5万人増を大きく上回り、米国の利下げ観測が遠のいたことで、市場は軽くショックを受けた形だ。この影響でドル円相場は1ドル=157円台半ばまで下落し、「さすがに下がり過ぎ」との声が出るほどで、株安の要因の一つとなっている。

 さらに中国が日本の水産物輸入を停止し、旅行、留学、航空機の運行にも制限を加えるなど、対日圧力を強めている。東京市場はまさに二重苦、三重苦に見舞われている最中であり、対応が非常に難しい局面だ。

 こうした状況では、「こういうこともあるさ」と腹をくくり、波乱が落ち着くのを待つのが賢明である。これまでもこうした姿勢が有効だったため、今回も基本的には同様の対応がお勧めである。

とはいえ、やはり気にせざるを得ないのはチャイナリスクだ。今後想定される最大のリスクは何か。私見では「 レアアースの対日輸出禁止」である。米国ですら中国にレアアースカードを切られては強く出られないのが実情であり、レアアースが中国にとって最強のカードとなっているのはご承知の通りだ。

●短期、長期での取り組み必要なレアアース資源

 とはいえ、レアアースは簡単に採掘できるものではなく、だからこそレア(希少)なのだが、日本としてもこのカードを握られ続けないためには、その確保に本腰を入れる必要がある。では、どうやって確保するのか。方法は3つある。

 (1) 国内外で自ら採掘する
 (2) 国内の「 都市鉱山」から採取する
 (3) 海外企業から購入する

 理想は国内外での自前採掘だが、それに要する時間もリスクも大きい。海外からの輸入も可能だが、世界シェアの9割を中国が握っている以上、結局のところ中国依存の構造は変わらない。現実的には、長期視点で国内外の採掘プロジェクトを進めつつ、当面は国内の「都市鉱山」での回収を本格化させることになろう。

 そこで、まず注目銘柄として取り上げたいのは松田産業 <7456> [東証P]だ。すでに株価は上げているが、同社は廃電子部品から貴金属を回収するリサイクル事業を展開し、金価格と株価が連動しやすいことで知られる。リチウムイオン電池の回収にも積極的で、レアアース関連のテーマ性も有するため、テーマ株としての上昇が見込める。

 アサカ理研 <5724> [東証S]も松田産業と類似の事業を展開しており、レアアース関連の主役級銘柄だ。ただし、最近株価が急騰したため、短期的には調整が入る可能性が高く、底打ち待ちで対応したい。

 AREホールディングス <5857> [東証P]も貴金属リサイクルが主力だが、電子部品のリサイクルを行う以上、レアアースも必然的に採取できる銘柄だ。17日に高値をつけて以降、利食いに押されて調整中であり、こちらも底打ち後の出動が妥当だ。

 そして、市場が長期的に大きな期待を寄せているのが日本近海のレアアース採掘、とりわけ来年初めにも着手が予定されている南鳥島近海での試掘だ。東亜建設工業 <1885> [東証P]は南鳥島EEZ(排他的経済水域)のレアアース資源開発に資する技術開発に取り組んでいるだけに、目を離せない。

 さらに、海底でも陸上でも、レアアース採掘に不可欠なのが採掘機器だ。その点で注目されるのが古河機械金属 <5715> [東証P]である。金鉱発見時にスコップやジーンズが売れたという話になぞらえれば、「レアアース採掘なら古河機械金属」という構図になる。

 以上、現実的な政策対応と投資妙味の両面から、レアアース関連への注目度は高まる一方であり、市場が波乱含みの今こそ丁寧に見ておきたい分野となる。

2025年11月21日 記

株探ニュース

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