【杉村富生の短期相場観測】 ─セオリー通り、暴落日の赤札銘柄を狙う!
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「セオリー通り、暴落日の赤札銘柄を狙う!」 ●主軸株は「AIはずし」の標的に! 株式市場は“乱気流”突入なのか。日経平均株価は11月4日に、5万2636円の史上最高値を示現したあと、激しい上下動を繰り返している。18日は1620円安の4万8702円、20日は1286円高の4万9823円(ザラバ高値は5万0574円)、21日の日経225先物(12月限)の夜間取引の終値は1460円安の4万8460円といった状況である。 古来、「波高きは天底を暗示」という。これはチャート解析の基本だ。天井圏での大陰線、底値圏での大陽線の出現は相場の転機を示唆するといわれている。ボラティリティ(変動率)の高さは表面的には強弱感の対立だが、大陰線(崩れ足)は新たな売り手、大陽線(底練り離脱→上放れ)は新たな買い手の出現を意味する。 急騰相場では知識豊富な理性派が売り方に回る。映画「マネー・ショート」のモデルになったマイケル・バーリ氏はヘッジファンドを運営、売り屋として知られていた。エヌビディア、パランティア・テクノロジーズ を売りまくっていた人物だ。彼は最近、ファンドの登録を撤回し、運用を停止した、という。投資家に愛想を尽かされたのは間違いないだろう。 半面、燃え盛る炎の先を見据えているソフトバンクグループ <9984> [東証P]、相場巧者のヘッジファンドの一部はエヌビディアを高値ゾーンで売った。もちろん、AI(人工知能)フィーバーは第4次産業革命を背景とし、事業拡大を伴っている。1990年のバブル崩壊、1998~2000年のインターネットバブルとは根本的に違う。 AI分野はフィジカルAI(人工知能とロボティクスの融合)、量子コンピューター、データセンター、パワー半導体、 レアメタル、ハードディスクドライブ、サイバーセキュリティ、 半導体などの需要を取り込み、急成長が期待できる。安川電機 <6506> [東証P]の産業用ロボット「MOTOMAN NEXT(モートマンネクスト)」にはAIとエヌビディアのGPU(画像処理半導体)が搭載されている。 ●機関投資家はポートフォリオの調整中! ただし、この関連銘柄は短期間に大幅高を演じた。このため、再三指摘しているように、目先は調整が必要だ。特に、ソフトバンクグループ、東京エレクトロン <8035> [東証P]、アドバンテスト <6857> [東証P]、ディスコ <6146> [東証P]、キオクシアホールディングス <285A> [東証P] などは「AIはずし」の標的である。 フジクラ <5803> [東証P]、JX金属 <5016> [東証P]、助川電気工業 <7711> [東証S]、精工技研 <6834> [東証S]などもそうだ。ヘッジファンド、年金などの機関投資家は11~12月に決算期末を迎える。これを反映し、ポジション調整を進めている。利食いの玉を売却、含み損の玉を処分(合わせ切り)し、新年度に備える。 年末のいつものパターンだ。彼らはポートフォリオの組み替えを行ってすぐには動かない。この結果、ファンドマネージャーのクリスマス休暇入りと相まって、市場エネルギーは細る。当然、主軸株は手掛けづらい。繰り返しになるが、当面は小すくい戦法が有効だ。けたぐり、目くらまし、引き技が効果的である。横綱相撲は12月中旬以降になろう。 さて、こんな局面では造船(シップファイナンス)関連のいよぎんホールディングス <5830> [東証P]、今夏に社長が交代、積極経営に転じてきたSMN <6185> [東証S]、レアメタル関連のアルコニックス <3036> [東証P]、業績急浮上、思惑妙味のカヤック <3904> [東証G]などに注目できる。 フォースタートアップス <7089> [東証G]はスタートアップ企業向けの人材紹介、採用コンサルを行っている。2026年3月期の最終利益は72.8%増が見込まれている。1株利益は184.8円(前期は99.6円)となる。このほど、スパークス・グループ <8739> [東証P] と資本業務提携を行った。これが顧客層の深化につながり、事業拡大に弾みがつくことになろう。 なお、12月末には1対2の株式分割を行う。これによって、流動性が高まる。現在、時価総額は60億円ちょっと。2030年3月以降に適用されるグロース市場の上場維持基準(上場5年経過後から時価総額100億円以上)を満たしていない。時価のPER(株価収益率)は9.9倍と出遅れている。一連の施策をテコに、株高作戦(時価総額100億円)を目指している、と推測できる。この株価水準は投資妙味十分と判断する。 このほか、高島屋 <8233> [東証P]、乃村工芸社 <9716> [東証P]、セガサミーホールディングス <6460> [東証P]、横浜フィナンシャルグループ <7186> [東証P]、パルグループホールディングス <2726> [東証P]は逆行高だ。テーマ性に加え、好業績である。相場格言は「暴落日の赤札銘柄を狙え」と教えている。 2025年11月21日 記 株探ニュース
