高市政権・本気モードで躍動!「B面テーマで化ける5銘柄」大選抜 <株探トップ特集>

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コラム

―日本の強みを存分に発揮できる戦略分野、サナエノミクスで開花の時が迫る―

 週末14日の東京株式市場は波乱含みの展開となり、日経平均株価、TOPIXともに急反落。日経平均は一時1000円を超える大幅安に見舞われ、フシ目の5万円大台攻防を意識させる波乱含みの地合いとなった。ここにきて日米いずれも相場の牽引役となってきたAI関連や半導体関連株に利益確定売り圧力が強まっている。東京市場では日経平均寄与度の高いアドバンテスト <6857> [東証P]やソフトバンクグループ <9984> [東証P]などの下げが全体を押し下げ、特にソフトバンクGは中間期決算発表を契機に下げ足が加速する展開に陥ったことで、市場センチメントを冷やす背景となった。

●AI・半導体関連から資金シフトの動き

 もっともAIや半導体といった花形テーマについては、理想買いが行き過ぎた面もあり、目先はその反動が利食い急ぎの動きにつながっている部分もある。日経平均押し上げの原動力となったハイテク系値がさ株に対する疑心が芽生え、これまで強気一辺倒だった相場に影を落としてはいるものの、実際のところ投資マネーはしたたかであり、内需系の銘柄にしっかりと資金シフトする動きが観測される。14日の相場も日経平均が派手に下げてはいても、個別株で見れば下落している銘柄は全体の6割程度(プライム市場ベース)にとどまっており、リスク回避ムード一色ということでは決してない。銘柄ローテーションの一環と捉えれば弱気に染まる必要はなく、次に買われるべき銘柄を探す姿勢を貫くことで逆にチャンスを享受することが可能となる。

 では、AI・半導体関連以外でどこに照準を合わせるべきか。最強の選択肢は「マーケットフレンドリーな高市早苗政権が打ち出す国策にあり」と認識しておきたい。メディアによって差異はあるが、高市内閣の支持率は最新の世論調査で80%を超える記録的な高い水準にある。株式市場においても財政拡張路線に前向きな高市政権に対する期待は大きい。

●高市首相肝いりの「17の戦略分野」に刮目

 そうしたなか、政府が近くとりまとめる総合経済対策に市場の関心が向いている。資産運用立国の実現を加速するため、地域金融の活性化を通じた取り組みに注力、その戦略について来年夏までに策定する方針という。成長が期待される産業への設備投資を税制優遇で支援する構えだ。また、積極財政が世界の潮流であるとの見方を高市首相は示しており、危機管理投資と成長投資を推進することを公約に掲げ、経済安全保障上、重視すべき分野への官民連携による投資拡大に意欲をみせている。そして、その際に17の戦略分野を想定している。ここに視点を合わせたい。

 17の戦略分野では、「AI・半導体」「量子」「造船」「防衛」「サイバーセキュリティー」「核融合」「防災・国土強靱化」といったところが、これまでマーケットでも高市トレードの対象として脚光を浴びたお馴染みの有力テーマだが、やや食傷気味に関連株への物色が進んだ感も否めない。いわばこうしたA面テーマではなく、これ以外のB面テーマに手垢のついていない新鮮かつ意外な実力株が控えている。

●「創薬」「港湾」「マテリアル」など出世株宝庫に

 今回のトップ特集では、前述したもの以外で17の戦略分野に挙げられているテーマの中から各テーマ1銘柄ずつ有望株を厳選してエントリーした。テーマとしてはまず、「 創薬・先端医療」。最近では 再生医療分野のバイオベンチャーが改めて増勢にあり投資マネーが食指を動かすケースも目立つ。また、港湾をネットワークの一部として位置づけ物流拠点の機能強化を図る「港湾ロジスティクス」も港の多い島国である日本にとって重要な経済戦略として、今後メディアを賑わすことになりそうだ。そして、「マテリアル(重要鉱物)」。これは中国の レアアース輸出規制でにわかに話題性が高まった。日本の海洋資源は潤沢であり、開発・商業化の道筋が確保できれば、国際情勢や地政学リスクに振り回されることがなくなる。このほか「コンテンツ」はいわずもがなだが、アニメやゲームなどが日本の成長を担う要衝となっている。強烈なインバウンド需要が日本の有する強みを引き出した面もある。更に世界的な人口増加がもたらしている食料需要増大への対応や健康志向という側面から「フードテック」もグローバルに注目されるテーマとなっている。

●ここから要注目の高市関連“B面有望株”5選

【創薬・先端医療関連】 住友ファーマ <4506> [東証P]

 住友ファーマは中枢神経領域に優位性を持つ医薬品準大手で、iPS細胞関連など再生医療分野の研究開発でも先行している。また、海外売上高比率が8割近くに達するグローバル企業として海外投資家からの注目度も高い。住友化学 <4005> [東証P]が同社株式の過半を保有する筆頭株主となっている。業績面では、がん治療薬の「オルゴビクス」が北米で高水準の伸びを示すなど会社側計画を大幅に上回る好調な推移をみせており、26年3月期の営業利益は従来見通しの540億円から980億円(前期比3.4倍)に大幅増額修正された。これは18年3月期の営業利益881億7300万円を一気に100億円近く上回る過去最高更新となる見通しでありインパクトは大きい。抜群の好業績を背景に、ファンド筋の組み入れニーズが今後も波状的に反映される公算が大きい。

 株価は11月6日につけた年初来高値2286円を今週奪回し新値追い態勢にあるが、早晩2000円台後半から3000円大台をにらむ水準への浮上が期待できそうだ。天井も高い銘柄であり、2018年12月には4135円まで買われた経緯がある。時価予想PERなどを考慮すれば評価不足が歴然、中長期的にはこの4000円台活躍を目指す動きとなることが想定される。目先の押し目は強気に買い向かいたい。

【港湾ロジスティクス関連】 櫻島埠頭 <9353> [東証S]

 桜島埠は大阪港を拠点に港湾運送や倉庫事業などを展開する商業埠頭会社で、石炭・コークスなど輸入燃料の受け入れや保管、需要家納入を手掛けている。ばら積み・液体貨物の輸送に強みを有する。日本維新の会が掲げる「副首都構想」のシナリオが実現の方向に進んだ場合は、同社が有する含み資産拡大への期待も膨らむことになる。足もとの収益は好調を極め、25年4~9月期の営業利益は前年同期比倍増となる2億1100万円を達成、通期見通しについても従来予想の2億円から2億3000万円(前期比13%増)に上方修正したが、更なる上振れ余地が意識される状況にある。投資指標面からもPBRが0.5倍未満と会社解散価値の半値以下に放置されており、株価水準訂正への思惑は常に強い。

 時価総額50億円未満の小型株で足が速く、10月中旬に突発人気化し3850円の高値を形成した。その後は急速な調整を余儀なくされたものの、2000円台前半は絶好の買い場を提供している可能性が高い。一株純資産は前期実績ベースで約4600円と高水準だ。株価もPBR1倍への復帰を念頭に置いて、中勢4000円台半ばを目指す展開となっても違和感の伴わないファンダメンタルズを有している。

【マテリアル関連】 古河機械金属 <5715> [東証P]

 古河機金は古河グループの源流となる企業で、車載用クレーンや削岩機など土木・鉱山用機械を主力に、祖業である金属事業などを手掛ける。高い技術力を背景に2018年からレアアースを回収する機材の開発に取り組んでおり、国際間でレアアースの採鉱に向けた動きが政治的に意識されるなか、同社の存在は中期的に脚光を浴びる可能性がある。26年3月期業績は、産業機械部門でマテリアル機械や流体機械がいずれも好調で収益に貢献する一方、コスト低減効果も発現しており、営業利益段階で減益見通しに変わりないとはいえ、77億円から80億円予想に増額している。投資指標面ではPBRが0.8倍台と解散価値を下回るなか、有配企業で2%近い配当利回りを確保しており割安感がある。

 10月下旬以降は3000円大台近辺を軸とするもみ合いが続いていたが、直近になって急動意をみせた。レアアースなど海洋鉱物資源の確保という国策テーマを背景に上値の伸びしろは大きいと判断される。11月4日につけた年初来高値3370円をクリアしたが更に一段高で3500円台まで水準を切り上げたことで、1997年以来約28年ぶりの高値圏に浮上する形となった。実質的な青空圏突入で上げ足に弾みがつきそうだ。

【コンテンツ関連】 エスケイジャパン <7608> [東証S]

 SKジャパンはゲームセンターにあるクレーンゲーム用景品の企画販売などを主力展開するが、版権元から商品化許諾を受けたキャラクター商品の提供のほか、独自に開発したキャラクターにも傾注している。また、近年は同社が企画・開発・製造・販売を一気通貫で手掛けるカプセルトイ商品がインバウンド需要も取り込んで爆発的な人気となっており、つれて株式市場における存在感も高まった。業績はアミューズメント施設向け景品が好調で飛躍的成長局面に入っている。26年2月期の営業利益は従来予想の13億円から16億円(前期比30%増)に増額し、過去最高を大幅更新する見通しにある。株主還元にも積極的で、ここ数年来急ピッチの増配が続いている点も見逃せない。今期は配当も従前計画に上乗せし、前期実績から11円の大幅増配となる38円を実施する見通しだ。

 株価は今週13日に1419円の上場来高値を形成したあと高値圏で売り物をこなしているが、時価近辺は中長期上昇トレンドの踊り場に過ぎないと判断される。抜群の業績成長力に対してPERはわずか10倍前後で見直し余地は十分、株主還元姿勢も評価されインカムゲインへの魅力も大きい。戻り売り圧力のない最高値街道を走る展開で、中勢2000円台を目指す動きが期待できる。

【フードテック関連】 不二製油 <2607> [東証P]

 不二製油は植物油脂大手で、業務用チョコレートや大豆タンパクなど加工素材事業なども展開するが、チョコレート油脂では世界首位級の競争力を誇る。大豆由来の代替肉の分野でも業界内で先駆して取り組んでいる点はポイント。また、鰹節の風味を大豆タンパクと植物性油脂で再現したつゆの素など調味料分野でも実績を上げている。26年3月期業績はIFRS(国際会計基準)に移行となるため単純比較はできないが、製品価格の値上げ効果などが寄与して売上高は8000億円、最終利益は165億円を見込むなど好調が予想されているが、上振れる公算も大きい。なお、25年4~9月期の最終利益はチョコレート原料であるカカオ豆の価格乱高下による損失が前期と比べ減少したことが反映され、85億3900万円と前年同期比で4.3倍化した。

 株価は8月28日に3748円の年初来高値を形成後大幅な調整を強いられたが、3200円前後で底値を固め、今週に入ってから急速に上放れる展開となっている。株式需給面では信用買い残が枯れた状態で上値に軽さがある。11月12日ザラ場につけた直近高値3672円クリアから、年初来高値奪回を通過点に4000円を指向する展開へ。

株探ニュース

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