好調続く企業業績が上昇相場を下支え (3) 【シルバーブラットの「S&P500」月例レポート】

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市況

●注目点

 ○米連邦公開市場委員会(FOMC)は政策金利を0.25%引き下げて4.00%~4.25%としました。欧州中央銀行(ECB)は2.0%に据え置きました。カナダ銀行は政策金利を0.25%引き下げて2.50%とし、イングランド銀行は4.00%に据え置きました(賛成7名、反対2名)。日銀は0.5%に据え置きました(賛成7名、反対2名)。

 ○トランプ大統領はTikTok禁止法の施行を2025年12月16日まで延長しました(4回目)。中国の習近平国家主席との電話会談(2025年9月19日)後、トランプ大統領は米国側がTikTokの米国事業を運営しているTikTok LLCの80%以上を保有する合意が成立したと発表しました(バイトダンスの持分は20%未満に減少する予定)が、その時点では追加の詳細は示されませんでした。

 ○S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスは(2025年9月22日の取引開始前に)アプリケーションソフトウエア企業のアップロビン、オンライン証券会社のロビンフッド・マーケッツ、建設やエンジニアリングを手掛けるエムコア・グループをS&P500指数に追加しました。一方、金融取引サービスやデータを提供するマーケットアクセス・ホールディングス、カジノやゲームを手掛けるシーザーズ・エンターテイメント、半導体材料や機器を提供するエンフェーズ・エナジーを同指数から除外しました。

●S&Pリサーチ:9月の投稿とメーリング(spglobal.comを参照)

 暫定値の段階で、S&P500指数 の2025年第2四半期の利益と売上高は過去最高を更新しました(最終結果は10月第1週に判明)。496銘柄が第2四半期の決算発表を終え、そのうち384銘柄(77.4%)で利益が予想を上回りました。利益は前期比11.3%増、前年同期比9.7%増が見込まれており、四半期としての過去最高を更新する見通しです。第2四半期は、485銘柄中393銘柄(79.4%)で売上高が予想を上回りました。売上高は前期比5.2%増、前年同期比5.1%増が見込まれています。営業利益率は2025年第1四半期の11.77%(2024年第2四半期は11.94%)から12.46%に上昇しました。1993年以降の平均は8.54%、過去最高は2021年第2四半期の13.54%です。

 株式数の減少によるEPSへの当初の影響を見ると、2025年第2四半期に株式数の減少によってEPSが大きく押し上げられた発表済みの銘柄の割合は17.3%です。この割合は、2025年第1四半期は13.8%、2024年第2四半期は12.7%でした。

 2025年第3四半期については、決算期がずれている18社が決算発表を終えました(12銘柄で利益が予想を上回り、17銘柄中13銘柄で売上高が予想を上回る)。第3四半期の利益は前期比4.5%増(予想される第2四半期の過去最高の更新に続き、過去最高を記録する見通し)、前年同期比13.0%増が見込まれています。2025年通年の利益は前年比10.6%増が見込まれており、これに基づく2025年の予想株価収益率(PER)は25.9倍です。2026年通年の利益は前年比17.5%増が見込まれており、予想PERは22.1倍となっています。

 2025年9月の配当支払額は前年同月比17.2%増加しました。8月は同0.9%減、7月は同2.2%増でした。2025年第3四半期の配当支払額は前年同期比6.0%増、前期比1.7%増でした。9月の配当支払い金は1株当たり7.45ドルと、前年同月の6.35ドルを上回りました。第3四半期の配当支払い金も1株当たり19.81ドルと、前年同期の18.68ドルを上回り、9月までの年初来でも1株当たり58.67ドルと、前年同期の55.02ドルを上回っています。2025年9月は、増配が14件、配当開始が0件、減配が1件、配当停止が0件でした。対して、2024年9月は増配が16件、配当開始が0件、減配が1件、配当停止が0件でした。年初来では、増配が263件、配当開始が4件、減配が7件、配当停止が1件となっています。

 2025年第2四半期の自社株買い額は、関税と経済政策を巡る不確実性を背景に、過去最高を記録した2025年第1四半期の2935億ドルから20.1%減少し、2346億ドルとなりました。関税と経済政策を巡る不確実性が大幅に高まり、現金の流出により慎重になる中で、企業は第2四半期に自社株買いを削減しました。自社株買いを行った企業の割合は67.6%と第1四半期の76.8%から低下しましたが、特に市場に不確実性が存在する中では、買いの支援材料と受け止められました。自社株買い額上位20銘柄による自社株買いの集中度は、これらの企業の支出全体が減少する中でも、前四半期の48.4%から51%に上昇しました。注目すべき点として、アップル、メタ・プラットフォームズ、アルファベット、エヌビディアは、合わせてS&P500指数の自社株買い総額の約27%を占めています。自社株買いが継続した結果、株式数が減少し、この点も個別銘柄レベルのEPSの拡大を後押ししました。17.3%の銘柄で株式数が前年同期比で4%以上減少した結果、EPSが4%以上押し上げられました。

 S&P500指数の四半期ごとのシェアリバランス(当初のコメントは2025年9月5日の取引終了時点のデータに基づく。最終データは2025年9月19日の取引終了時点に基づく)では以下の結果が示されました:インデックスにおける株式数が増加する銘柄は207銘柄で、2025年第2四半期の211銘柄、2024年第3四半期の209銘柄から減少しました。株式数が減少する銘柄は280銘柄で、2025年第2四半期(280銘柄)と同数となり、2024年第3四半期の262銘柄から増加しました。S&P500指数の実際の株式数は0.05%減少します。2025年第2四半期は0.27%減、2024年第3四半期は0.24%減でした。増減率で見ると、コミュニケーション・サービスの株式数が1.52%増で最も大きく増加した一方、金融が0.76%減で最も大きく減少しました。S&P500指数の実際の時価総額は0.01%増加します。2025年第2四半期は0.30%減、2024年第3四半期は0.40%増でした。増減率で見ると、不動産の時価総額が1.21%増と最も大きく増加した一方、資本財サービスが0.28%減と最も大きく減少しました。S&P500指数のセクターの構成比率では、不動産が1.19%と最も大きく拡大した一方、資本財サービスが0.29%と最も大きく縮小しました。筆者は、インデックスのライセンスを供与されたインデックスファンドやETFなどは(売り買いそれぞれ)723億ドル相当の追加取引が必要になると推定しており、この金額は2025年第2四半期の480億ドルを上回る一方、2024年第3四半期の900億ドルは下回ります。

 アナリストは強気を維持しており、S&P500指数のボトムアップの1年後の目標株価は8月末の7194から上昇して7358となりました。ダウ平均の1年後の目標株価も8月末の4万6316ドルから上昇して5万0170ドル(初めて5万ドルを上回る)となりました。
 

[執筆者]
ハワード・シルバーブラット
S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス
シニア・インデックス・アナリスト


※このレポートは、英文原本から参照用の目的でS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(SPDJI)が作成したものです。SPDJIは、翻訳が正確かつ完全であるよう努めましたが、その正確性ないし完全性につきこれを保証し表明するものではありません。英文原本についてはサイトをご参照ください。

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