【杉村富生の短期相場観測】 ─秋相場は波乱に強い銘柄を狙う!

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コラム

「秋相場は波乱に強い銘柄を狙う!」

●高市トレードはほぼ一巡した可能性!

 高市トレードはほぼ一巡したのではないか。FFRIセキュリティ <3692> [東証G]は値を保っているが、“目玉”の助川電気工業 <7711> [東証S]は急落している。急騰の反動に加え、「高市首相」そのものが怪しくなってきた面があろう。すなわち、自民党と公明党との連立交渉が難航している。野党は統一候補を打ち出す可能性がある。(編集部注:本稿執筆後に公明党が連立政権離脱の方針を表明したことが明らかとなった)

 ただ、救いは1ドル=152~153円台の円安だ。FRB(米連邦準備制度理事会)は利下げを続けるだろう。半面、日銀の動き(金融正常化)はいまひとつはっきりしない。円安阻止には利上げ、為替介入の手法がある。現状では政府のけん制(慎重な利上げを求める)があって、日銀は「様子見」姿勢に陥っている。

 それに、自民党総裁が高市早苗氏に交代、実質的に政権不在の状況だ。為替介入は新政権発足以降だろう。それまでは「円安放置」か。円安は株価にはプラスとなる。とはいえ、政治的には大揺れが予想される。政治の混乱は世界的な傾向だ。アメリカの連邦政府機関の窓口閉鎖は長引いている。フランスはグシャグシャである。古来、政治は経済を超える、という。

 やはり、このタイミングでは強気でガンガン攻めまくるわけにはいかない。けっして弱気ではない。これがリスク・マネジメントである。プロは相場の水準、方向を冷静に見極め、現金ポジションを調整する。日経平均株価の3万0792円(4月7日)の安値からちょうど6カ月、売り方の“踏み”は完了したはずだ。あとは買い方が取り残される。

 いつものパターンである。アジア地域(中国、韓国など)の長い休みが終わった。海外勢は休み期間中、代替投資先として日本市場に向かっていたが、今後は元に戻るだろう。大手証券には韓国買い、日本売りの投資行動を指摘する見方がある。いずれにせよ、短期間に6割近く一気に暴騰してきた相場である。値固め(調整)は必要だろう。

●話題性プラス思惑妙味の6銘柄!

 この局面(10~11月の秋相場)は波乱に備え、外部環境の影響を受けにくい銘柄を個別に攻める投資戦術が有効、と考えている。要するに、打たれ強い銘柄である。話題性を有し、思惑妙味がある。

 具体的にはまず、nms ホールディングス <2162> [東証S]だ。パナソニック ホールディングス <6752> [東証P]、ソニーグループ <6758> [東証P]などを主要顧客とし、製造業派遣・請負を主業務とする。

 筆頭株主は同業のワールドホールディングス <2429> [東証P]、発行済み株式数の17.21%を保有している。この業界では「西のワールド、東のnms」と言われており、傘下に収めれば全国制覇が狙える。しかし、この動きに異議を唱えているのがnms ホールディングス前社長の小野文明氏である。第2位の大株主(発行済み株式数の16.64%保有)である彼は、取締役復活を狙う。

 年商はワールドホールディングスが2814億円(2025年12月期予想)、nms ホールディングスが785億円(2026年3月期予想)だ。まともに戦ったら勝てるはずがないだろう。しかし、創業者(かつてのオーナー)の小野氏には意地がある、と思う。

 玉井商船 <9127> [東証S]、ニコン <7731> [東証P]には外資の介入が続いている。アクティビストとはやや異なる。経営権奪取? そこまでは考えていないだろうが、日本企業は持ち合い解消があって、あまりにも無防備だ。アクティビストファンド代表が社長に就いた東京コスモス電機 <6772> [東証S]が好例である。

 フューチャー <4722> [東証P]は遅れている地銀の基幹システムの見直し案件を次々に成約している。いわゆる、勘定系などのIT(バンキング)システムだ。古いシステムでは先進技術が使えず、そのメリットを享受できない。地銀経営者は旧式(昭和のオールドタイプ)では「生き残れない」との危機感を強めている。

 フォースタートアップス <7089> [東証G]はスタートアップ企業向けの人材紹介がメインビジネスだ。M&A支援業も手掛けている。業績は好調だ。本社はあの有名な港区の麻布台ヒルズ森JPタワー(最上階のワンフロア1500平方メートルの販売格は2億ドル)に置いている。家賃が高いだろうに。

 三菱製鋼 <5632> [東証P]の2026年3月期の1株利益は198.4円(前期は155.9円)と予想されている。配当は16円増の80円とする。配当利回りは4.39%と高い。PBR(株価純資産倍率)は0.67倍と、1倍割れだ。株式貯蓄に最適の銘柄といえる。

2025年10月10日 記

株探ニュース

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