【緊急インタビュー】高市新総裁で日経平均急騰、ここからの読み筋 フィリップ証券・笹木和弘氏 <相場観特集>
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―2000円超える上げ幅で一時4万8000円台、リスクオン相場どこまで― 6日の東京株式市場は日経平均株価が上げ足を加速、一時2400円近い上昇をみせ一気に4万8000円台に乗せるなど最高値圏を快走している。4日に投開票が行われた自民党総裁選では、事前の予想で圧倒的優位とみられていた小泉進次郎氏を高市早苗氏が逆転する形で勝利を収め、新総裁の座を射止めた。これを受け、東京市場はリスクオン一色に染まっているが、ここからもこの強気一辺倒の相場は続くのか。また、今の上昇相場に死角はないのか。今後の相場展望と投資対象について、松井証券の窪田朋一郎氏とフィリップ証券の笹木和弘氏にそれぞれインタビューした。 ●「高市関連でヘルスケア・消費など注目、米AI投資が相場のカギ握る」 笹木和弘氏(フィリップ証券 リサーチ部長) 4日の自民党総裁選で高市早苗氏が勝利したことを受け、週明け6日の東京市場では防衛やサイバーセキュリティー、核融合関連銘柄などを買う「高市トレード」一色となった。1年前の総裁選では高市氏が現首相の石破茂氏に敗れ、高市トレードは不発に終わったが、きょうはそのリベンジ相場の様相を呈した格好だ。 ただ、この高市トレードが今後も続くか、となると不透明感も強い。今回の総裁選などで同氏が取り上げたのは、「自動車税の『環境性能割』2年限定で停止」や「診療・介護報酬の引き上げ」「給付付き税額控除」「食料安保」などだ。生活に近い分野を政策に取り込んでおり、この日、トレードされた「高市関連株」とはやや異なっている。今後は物色銘柄も、高市氏が実際に取り上げたより生活に密着したヘルスケア・消費関連株などが見直される可能性があるとみている。 更に、自民党と公明党による連立の枠組みがどうなるかも注視される。保守色の強い高市氏の政治姿勢に公明党は難色を示している。生活に関係した経済政策を、前面に押し出せば公明党も連立にとどまる可能性はあると思うが、国民民主党や日本維新の会の動向を含め、連立協議の不透明感は今後、相場に織り込まれていくことも予想される。 日経平均株価は大幅に上昇したが、今後をみるうえで米国のAI関連株の動向は注視せざるを得ない。米国のAIインフラ投資の「スターゲート計画」は莫大な資金調達が必要となるだけに、米連邦準備制度理事会(FRB)による追加利下げに対する期待が強い。日経平均株価はAI関連の半導体株などに左右される面は大きく、依然として米追加利下げの影響を強く受けるだろう。一方、米国では景気後退も懸念されるなか薬品などディフェンシブ株が堅調な値動きとなっている。例年、米国は秋口から年末にかけ株価は上昇しているが、ここ最近の例外は2018年で、この年は年末安となった。18年と今年のS&P500種株価指数及びVIX指数の春以降の値動きが似ていることは気になる。 今後1ヵ月程度の日経平均株価の予想レンジは4万2000~4万9000円前後を見込む。当面はボラティリティの大きな相場が続くことを予想する。個別銘柄では、ヘルスケア関連株で武田薬品工業 <4502> [東証P]、消費関連でトライアルホールディングス <141A> [東証G]などに注目している。 (聞き手・岡里英幸) <プロフィール>(ささき・かずひろ) 証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は個人投資家の傍ら投資セミナー講師として活躍。2019年1月にフィリップ証券入社後は、米国・アセアン・香港・日本市場にまたがり、ストラテジーからマクロ経済、個別銘柄、コモディティまで多岐にわたる分野でのレポート執筆などに精力的に従事。 株探ニュース