明日の株式相場に向けて=防衛関連株への資金還流を捉える

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 きょう(30日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比111円安の4万4932円と3日続落。売り方の買い戻しが一巡し、のらりくらりと千鳥足で高値圏を彷徨しているような相場だが意外に底堅い。朝方に300円超の下落をみせたが、その後は下げ渋り一時プラス圏に切り返す場面もあった。ちなみにきょうは9月期末(中間期末)にあたり、機関投資家のポジション調整の売りが出ているという観測だったが、それを朝方に拾った買い主体が今の相場のカギを握っているのかもしれない。

 前日は日経平均が311円安と続落したが、このうち約300円は配当権利落ちに伴う下落分であり、実質的には11円程度の下落。しかし、内訳をみるとプライム上場銘柄のうち9割近くが下落しており、全体指数はしっかりでも個別では利食い圧力が結構露骨に表れていた。前日は極論すればアドバンテスト<6857.T>1銘柄が頑張った結果が、日経平均にそのまま反映されたといっても過言ではない地合いであった。

 だが、きょうは全く趣きが違う。アドテストが、朝方こそ前日のエヌビディア<NVDA>をはじめとする米半導体株高を追い風に強く始まったが、その後は急速に値を消して下げに転じ、1万5000円台を再び割り込んでしまった。これまでであれば、日経平均もそれに追随して深押ししても不思議はなかったが、むしろ底堅く後場はプラス圏に切り返す場面もあった。ちなみにTOPIXは後場の取引では終始プラス圏で推移している。アドテストの存在をマーケットはあまり意識していなかった。相撲に例えれば今の相場は懐が深いということになる。何を上昇相場の拠りどころとしているか分からないため、売り方も容易にまわしを掴むことができない状況にみえる。

 今がバブル相場の只中にあるのか、それとも中長期大相場の序章なのかどちらのケースもあり得るが、個別株戦略として基本は短期売買で問題はない。相場と常に対峙している投資家であれば、それは中長期投資とあまり大差なく上昇相場の恩恵を享受できるからで、ポイントは思惑を外した場合、つまり相場が崩れた場合、ロスを限定的にできるというメリットがある。株式投資は短期で利を得ようとするのであれば、上昇途上にある銘柄に乗るのが成功率も高い。今買った銘柄が明日から、もしくは1分後からトレンドが反転する可能性はそれほど高くはない。また、これは下げの場合も同様で、軟調な地合いでは下放れた段階で損切り、あるいは売り乗せするのが有効となる。ここには株価の慣性の法則が存在している。特に近年はAIアルゴリズム売買の影響もあって、個別株も一方向に値動きが加速する傾向が強いため尚更である。

 ただし、これは企業の実体とか成長性ではなく「トレンド」を買っているともいえる。「株式投資必勝の極意は安いところで買って高いところで売る」というやや詭弁的な格言もあるが、魅力ある企業を安値で拾えるのであれば、それは大きなアドバンテージとなることも事実である。「買ったら忘れよ」という格言通り、長期で保有しているうちにエヌビディアのようなケースに遭遇することもある。この場合、銘柄に対する審美眼や洞察力があれば技術はいらない。株式投資の醍醐味を労せずして味わいたいのであればこちらの選択肢であり、株式投資の王道ともいえる。

 半導体関連の主力どころは、目先ちょっと一休みが必要な時間帯にあるともいえそうだ。半導体関連の裾野は広いので中小型株中心に出遅れ物色の流れは継続しそうだが、ここは目先を変えて防衛関連セクターに照準を合わせるのも一法である。三菱重工業<7011.T>の押し目につくか、あるいは株式7分割という異色のコーポレートアクションで人気に火がついているIHI<7013.T>に着目する手もある。また、防衛関連の低位ではドローン関連の有力銘柄でもある理経<8226.T>をマーク。防衛省案件の受注残が潤沢であり、営業利益は前期倍増させた反動もあって、今期は3割近い減益を見込むが、第1四半期は絶好調に推移しており進捗率を考慮して通期大幅増額修正の可能性がある。このほかドローンつながりで今期売上高・営業利益ともに過去最高更新が見込まれるアイサンテクノロジー<4667.T>や小型好業績株ではMITホールディングス<4016.T>なども面白い存在といえる。

 あすのスケジュールでは、9月の日銀全国企業短期経済観測調査(日銀短観)が朝方取引開始前に開示されるほか、後場取引時間中に9月の新車販売台数(自販連)、9月の軽自動車販売台数(全軽自協)が発表される。海外ではインド準備銀行が政策金利を発表するほか、9月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値、9月のADP全米雇用リポート、9月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数などにマーケットの関心が集まる。このほか、8月の米建設支出も発表される。なお、この日は中国(上海、深セン)市場と香港市場は休場となる。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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