企業業績好調と利下げ期待で最高値5回更新 (2) 【シルバーブラットの「S&P500」月例レポート】

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市況

●主なポイント

 ○8月の株式市場は下落が続く局面もありましたが、概ね上昇基調を継続し、終値での最高値を5回更新しました。市場の関心は9月に実施の可能性がある0.25%の利下げに集まっていました。2025年第2四半期も営業利益と売上は好調で、両者共に四半期ベースでの過去最高を記録する見通しです。また、企業が関税によるコストの大部分を吸収してきたにもかかわらず、利益率も高水準を維持しています。S&P500指数 は8月に1.91%上昇(配当込みのトータルリターンはプラス2.03%)しました。7月は2.17%上昇(同プラス2.24%)、6月は4.96%上昇(同プラス5.09%)、5月は前月から一転して6.15%上昇(同プラス6.29%)、4月は0.76%下落(同マイナス0.68%)でした。過去3ヵ月では9.28%の大幅上昇(同プラス9.62%)、年初来では9.84%上昇(同プラス10.79%)、過去1年間では14.37%上昇(同プラス15.88%)しました。2024年は23.31%上昇(同プラス25.02%)でした。

  ⇒8月のS&P500指数のトータルリターンはプラス2.03%でしたが、マグニフィセント・セブンを除くと1.54%でした。2025年4月8日に付けた直近安値からのトータルリターンはプラス30.31%と大幅なものになりましたが、マグニフィセント・セブンを除くとプラス16.23%でした。指数全体の年初来トータルリターンはプラス10.79%でしたが、マグニフィセント・セブンを除くとプラス7.07%でした。

 ○8月の主なデータ

  ⇒8月のS&P500指数は一本調子ではありませんでしたが上昇基調を辿り、終値での最高値を5回更新しました(直近最高値は8月28日に付けた6501.86)。ダウ平均は今年最初と2回目の最高値更新を8月に入って達成しました(4万5636.90ドル)。S&P500指数は8月に1.91%上昇しました。7月は2.17%上昇、6月は4.96%上昇しました(3ヵ月累計では9.28%上昇)。8月は21営業日のうち10営業日で上昇しました。7月は22営業日のうち13営業日で上昇しました。8月は値上がり銘柄数が増加して値下がり銘柄数を大幅に上回り、337銘柄が値上がり、166銘柄が値下がりとなりました。7月は値上がりが279銘柄、値下がりが222銘柄、6月は値上がりが347銘柄、値下がりが155銘柄でした。年初来では310銘柄が値上がりし、193銘柄が値下がりしました。8月の出来高は前月比8%減、前年同月比では28%増となりました。

   →8月は11セクターのうち、9セクターが上昇しました。7月は6セクター、6月は9セクター、5月は10セクター、4月は5セクター、3月は2セクター、2月は6セクター、1月は10セクターでした。8月のパフォーマンスが最高となったのは素材で5.59%上昇しました(年初来では10.27%上昇、2023年末比では8.26%上昇)。パフォーマンスが最低だったのは公益事業で2.03%下落しました(年初来では10.73%上昇、2023年末比では32.41%上昇)。

  ⇒S&P500指数は8月に1.91%上昇して、6460.26で月を終えました(配当込みのトータルリターンはプラス2.03%)。7月は2.17%上昇して6339.39(同プラス2.24%)、6月は4.96%上昇して6204.95(同プラス5.09%)でした。過去3ヵ月では9.28%上昇(同プラス9.62%)、年初来では9.84%上昇(同プラス10.79%)、過去1年間では14.37%上昇(同プラス15.88%)となりました。2024年は23.31%上昇(同プラス25.02%)、2023年は24.23%上昇(同プラス26.29%)、2022年は19.44%下落(同マイナス18.11%)でした。

   →コロナ危機前の2020年2月19日に付けた高値(3386.15)からは90.78%上昇(同プラス107.72%)となっています。

 ○米国10年国債利回りは7月末の4.36%から4.23%に低下して月を終えました(2024年末は4.58%、2023年末は3.88%、2022年末も3.88%、2021年末は1.51%、2020年末は0.92%、2019年末は1.92%、2018年末は2.69%、2017年末は2.41%)。30年国債利回りは7月末の4.89%から4.94%に上昇して取引を終えました(同4.78%、同4.04%、同3.97%、同1.91%、同1.65%、同2.30%、同3.02%、同3.05%)。

 ○英ポンドは7月末の1ポンド=1.3218ドルから1.3507ドルに上昇し(2024年末は1.2520ドル、2023年末は1.2742ドル、2022年末は1.2099ドル)、ユーロは7月末の1ユーロ=1.1433ドルから1.1694ドルに上昇しました(同1.0360ドル、同1.0838ドル、同1.0703ドル)。円(対米ドル)は7月末の1ドル=150.72円から147.03円に上昇し(同157.32円、同141.02円、同132.21円)、人民元は7月末の1ドル=7.1944元から7.1308元に上昇しました(同7.2770元、同7.1132元、同6.9683元)。

 ○8月末の原油価格は7.5%下落し、7月末の1バレル=69.18ドルから同64.02ドルとなりました(2024年末は同71.75ドル、2023年末は同71.31ドル、2022年末は同80.45ドル)。米国のガソリン価格(EIAによる全等級)は8月に0.8%上昇し、1ガロン=3.272ドルとなりました(7月末は3.247ドル、2024年末は同3.128ドル、2023年末は同3.238ドル、2022年末は同3.203ドル)。2020年末から原油価格は32.2%上昇し(2020年末は1バレル=48.42ドル)、ガソリン価格は40.4%上昇しました(2020年末は1ガロン=2.330ドル)。

  ⇒2025年7月時点のEIAの報告によると、ガソリン価格の内訳は、52%が原油(ディーゼルは45%)、16%(同20%)が販売・マーケティング費、16%(同19%)が精製コスト、16%(同17%)が税金となっています。

 ○金価格は7月末の1トロイオンス=3349.30ドルから上昇し、3516.90ドルで8月の取引を終えました(2024年末は2638.40ドル、2023年末は2073.60ドル、2022年末は1829.80ドル)。

 ○VIX恐怖指数は7月末の14.21から15.36に上昇して8月を終えました。月中の最高は21.90、最低は14.12でした(2024年末は17.35、2023年末は21.67、2022年末は17.22)。

  ⇒同指数の2024年の最高は75.73、最低は10.62でした。

  ⇒同指数の2023年の最高は30.81、最低は11.81でした。

  ⇒同指数の2022年の最高は38.89、最低は16.34でした。

 ○目標株価も上昇しました。S&P500指数に対する市場関係者の1年後の目標株価は前月から3.6%上昇して7194となり、現在値から11.4%上昇が見込まれています。7月末時点では9.5%の上値余地の6942、6月末時点では6668でした。ダウ平均の目標株価は前月から2.3%上昇し、現在値から9.1%上昇の4万9676ドルとなっています(7月末時点では10.0%の上値余地の4万8565ドル、6月末時点では4万6452ドル)。

●トランプ大統領と政治

 ○報道によると、米国政府は政府系住宅金融機関であるファニーメイとフレディマックの新規株式公開(IPO)を年内に実施する可能性があります(両機関とも2008年の金融危機後、連邦政府の管理下に置かれています)。

  ⇒半導体大手のアドバンスト・マイクロ・デバイセズとエヌビディアは輸出ライセンスの取得条件として、米国政府に対し中国向けAI半導体(AMDは「MI308」、エヌビディアは「H20」)の売上高の15%を支払うことで合意しました。

 ○8月15日に米アラスカ州でトランプ大統領(ルビオ国務長官とウィトコフ特使も同席)とロシアのプーチン大統領との会談が行われました。ロシア・ウクライナ戦争について話し合われ、両首脳は「一定の進展」はあったとしましたが、具体的な発表はありませんでした。

  ⇒アラスカでの米露会談後の8月18日、トランプ大統領はウクライナのゼレンスキー大統領や欧州各国の首脳(英国のスターマー首相、フランスのマクロン大統領、ドイツのメルツ首相、イタリアのメローニ首相ら)とホワイトハウスで会談を行いましたが、プーチン大統領とゼレンスキー大統領の直接会談の調整には至りませんでした。

 ○9月の主なイベント

  ⇒9月 5日:雇用統計の発表

  ⇒9月10日:生産者物価指数の発表

  ⇒9月11日:消費者物価指数の発表

  ⇒9月16-17日:米連邦公開市場委員会(FOMC)会合

  ⇒9月17日:TikTok禁止法の3回目の施行延期期間の期限日

  ⇒9月30日:米国の財政支出の執行権限の期限日

※「企業業績好調と利下げ期待で最高値5回更新 (3)」へ続く

株探ニュース

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