佐藤正和氏【日経平均波乱展開に、リスクオフ局面での戦略は】(2) <相場観特集>
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―米半導体株安受け投資家心理悪化、為替動向なども注目― 1日の東京株式市場は日経平均株価が大幅に下値を探る動きとなり、一時4万2000円台を割り込む波乱展開となった。前週末の米国株市場ではハイテク株中心に売りがかさみ、エヌビディアをはじめAI関連や半導体関連株に利益確定の動きが顕在化した。これを受けて東京市場でも同関連株に向かい風の強い地合いとなっている。ここまで相場を牽引してきた銘柄群にバリュエーション調整の動きが観測されることで、投資家のセンチメントが冷やされている。外国為替市場の動向も含めて、当面は注意を要する局面といえそうだ。今回は松井証券の窪田朋一郎氏に株式市場の見通しについて、また外為オンラインの佐藤正和氏にはドル・円相場についての見解を聞いた。 ●「米利下げで143円前後のドル安・円高も、米雇用統計に関心高まる」 佐藤正和氏(外為オンライン シニアアナリスト) 当面の為替相場はドル安・円高が進む可能性が高いとみている。16~17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げは間違いないだろう。最大の焦点は5日に発表される米8月雇用統計だ。その結果が7月に続き米国の雇用情勢の鈍化が確かめられる結果となった場合、市場には0.5%の利下げ観測が浮上する可能性もある。もっとも、米国には相互関税の影響によるインフレ懸念も強いだけに、実際には通常通り0.25%の利下げとなりそうだ。10月のFOMCでも連続利下げを行うとの観測が強まることも考えられる。 今月18~19日には日銀金融政策決定会合も開催される。日銀が利上げに踏み切る可能性は従来より高まっており、五分五分の状況だと思う。足もとの日本の消費者物価指数(CPI)の上昇率は、米国よりも高い状態となっている。物価上昇を背景に、長期金利は上昇しており利上げの催促相場の様相も呈している。米利下げの可能性が高まる一方、日本には利上げ観測が浮上しており、当面は日米金利差縮小によるドル安・円高が続きそうだ。 こうしたなか、今後1ヵ月程度のドル円相場のレンジは1ドル=143~150円前後を想定している。目先は146円台半ば、続いて145円ラインがドルの下値メドだが、145円ラインを割り込めば一気に143円台に円高が進むこともあり得るだろう。 ユーロは対ドルでは1ユーロ=1.13~1.18ドル前後を見込んでいる。フランスの政局不安などはあるが、ドル安基調が強いなかユーロは強含む展開を予想している。対円では1ユーロ=168~173円前後を想定しており、基調はユーロ安・円高を見込んでいる。 (聞き手・岡里英幸) <プロフィール>(さとう・まさかず) 邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。通算20年以上、為替の世界に携わっている。 株探ニュース