パウエル議長の講演を受けて一気にドル安進行、利下げ期待広がる=NY為替概況
投稿:
パウエル議長の講演を受けて一気にドル安進行、利下げ期待広がる=NY為替概況 きょうのNY為替市場はパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言を受けて一気にドル安円高となった。カンザスシティ連銀主催の経済シンポジウム・ジャクソンホール会議二日目朝の基調講演を行ったパウエル議長は、インフレの上振れリスクについての警戒を示しつつも、雇用市場の下振れリスクに言及し、金融政策スタンスの調整が必要になる可能性に言及。昨年の「(利下げの)時が来た」ほどはっきりした表現ではないものの、利下げを示唆する発言を行ったことで、ドル売りとなった。 発言前まではドルはややしっかり。今月初めの米雇用統計を受けて強まった米利下げ期待が、米CPIを受けて加速した後、米PPIの強い伸びで一気に後退、さらに昨日の米PMIの伸びに期待がもう一段交代する形となってドル買いとなっていた。9月の米FOMCでの利下げ確率が60%台まで低下する中で、ドル円は148円70銭台まで上昇。講演直前でも148円50銭台を付けていた。 発言を受けて一気に147円50銭台を付け、戻りもほとんどなく146円台まで急落。割れを付ける動き。その後146円50銭台まで下げた。NY午後に入ると週末前ということもあり、さらなるドル安トライには慎重となったが、147円00銭前後までの戻りに留まるなど、上値の重さが継続した。 住宅ローンの不正疑惑でトランプ政権から辞任要求が出ている米FRBのクック理事について、大統領が辞任しないのであれば解任すると発言したことも、中銀の独立性への警戒からドル売りとなった面がある。 ドルはその他通貨に対しても売りが出た。ユーロドルは日中1.1583を付けた後、パウエル議長講演前も1.1600前後とユーロ安ドル高基調が目立っていたが、講演後は1.1700超えまで急騰。その後1.1743まで上値を伸ばした。ポンドドルも1.3391を付けた後、少し戻すも1.3420前後で講演を迎え、1.3544まで上昇している。 日米金利差縮小期待もあり、ドル円での反応が最も大きく、クロス円は円高となった。ユーロ円は発言前に172円68銭を付け、少し落とした後、発言を受けて171円80銭台まで売りが出た。パウエル議長発言で約2円落としたドル円に比べると対ドルでのユーロ買いの分下げが限定的も、売りが強い。ポンド円も199円50銭前後から198円33銭を付けている。ともにNY午後は少し買戻しが入った。 MINKABU PRESS