【杉村富生の短期相場観測】 ─株価を決めるのは需給という概念を!

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コラム

「株価を決めるのは需給という概念を!」

●指数的にはちょっと、ハシャギすぎの相場?

 当面、夏場は個別物色の展開と主張している。しかし、思い通りにはいかない。抜群に強い相場である。インデックス(日経平均株価など)は高値保ち合いと予想していたが、大上放れだ。個人投資家は値動きの良さを求め、フィグマ、アンビック・マイクロなどの外国株に走っている。ちょっと、ハシャギすぎである。

 外部環境は相変わらず、不透明だ。8月7日に発動されたトランプ関税は日米に食い違いがみられる。いわゆる、齟齬である。なにしろ、合意文書がない。これでは「言った、言わない」の話になる。国内政治は荒れ模様だ。石破首相の進退、後継問題がマスコミをにぎわすだろう。アメリカでは雇用の悪化が話題になっている。

 5月、6月の新規雇用者数が合計で25.8万人下方修正され、7月は7.3万人増にとどまった。3カ月間の平均増加数は3.5万人だ。これはコロナ禍を含めて、近年最低である。マーケットでは「公務員の人員不足など」の特殊要因としている。しかし、背景にはトランプ関税を受けた企業サイドの経費カットの動きがある、と思う。

 まあ、小説家マーク・トウェインによると、「ウソには3つの種類がある。ウソ、大ウソ、そして統計」という。雇用統計の数字に一喜一憂するのはいかがなものか。いずれにせよ、9月の利下げ確率が9割に上昇している。8月21~23日にはジャクソンホール会議が開催される。パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の講演が焦点となる。

 なお、マーク・トウェインは「トム・ソーヤーの冒険」はともかく、「100万ポンド紙幣」などに示されているように、皮肉屋というか、風刺に満ちた作品が多い。彼はアメリカのミズーリ州で生まれた。12歳のときに父を亡くしている。ミシシッピー川の水先案内人をして暮らしていたが、南北戦争によって船の航行が禁止され、失職した、という。

●NTT、トヨタ自動車、テスラなどに妙味あり!

 彼は南北戦争では南軍に参加、悲惨な目に遭ったらしい。苦労人だ。相場(株式投資)巧者としても知られている。彼は有名な「株式投資は10月が危ない」(ブラックマンデーを予言?)との名言を残している。いや、“迷言”というべきか。なにしろ、これには続きがある。「11~12月は要警戒」、さらに「1~9月も危険だ」と。全部じゃないか。

 これは予想とはいえない。「7月5日に地震が発生、大津波が日本を襲う」との“夢占い”とレベルは一緒だ。似たような事例はこの業界にいくらでも転がっている。

 いずれにせよ、ここはやはり、銘柄勝負だ。悪材料出尽くしのトヨタ自動車 <7203> [東証P]、AI(人工知能)データセンターの本命といわれるNTT <9432> [東証P]は狙える。

 アメリカ株では大きく値を下げたテスラが面白い。トヨタ自動車は7人のサムライ(東京市場の時価総額上位7社)のトップ、テスラはマグニフィセント・セブン(アメリカ市場の時価総額上位7社)の7番目である。売り込まれた銘柄は戻る。ファンダメンタルズ重視派には理解できないだろうが、株価は需給が決め手になる。

 東京電力ホールディングス <9501> [東証P]もそうだ。政府(原子力損害賠償・廃炉等支援機構)が発行済み株式数の約50%、優先株を含めると、実質76%を保有していることは意外に知られていない。経営不安は乏しい。今後、収益力をいかに高めるか、首都圏(4500万人)の電力供給をどう維持するか、これが重要な課題となろう。

 個別銘柄では好業績に加え、テーマ性内包のJX金属 <5016> [東証P]、住友ファーマ <4506> [東証P]、コンコルディア・フィナンシャルグループ <7186> [東証P]、思惑妙味の玉井商船 <9127> [東証S]、データセクション <3905> [東証G]、電力・ガス向けに強いソフト開発会社のアドソル日進 <3837> [東証P]などに注目できる。

2025年8月8日 記

株探ニュース

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