【杉村富生の短期相場観測】 ─個別物色機運は極めて旺盛!

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コラム

「個別物色機運は極めて旺盛!」

●米国市場ではフィグマがフィーバー!

 日米両市場ともに、インデックス(日経平均株価、NYダウなど)的には高値波乱商状に陥っている。これはやむを得ない。主力投資家の多くがサマーバカンスだし、急騰してきた面があろう。日経平均株価は4月以降、一気に1万1273円幅、36.6%の暴騰劇を演じた。しかし、個別物色機運は極めて旺盛である。

 7月31日に、NY市場に上場したデザインソフトウェアのフィグマは公開価格33ドルに対し、初値は85ドル、高値は124.63ドルまであった。引けは115.5ドルだった。現地では「フィグマ祭り」と称されている。大フィーバーである。時価総額は560億ドル(約8兆5000億円)に達する。

 かつて、フィグマを同業のアドビが200億ドルで買収しようとしたことがある。その2.8倍の価値になった。IPO人気の復活は買い気の強さはもちろんのこと、主軸株が動きづらいという側面があろう。当面は日本市場もそうだが、「森を見ず、木を見よ」の投資戦術が有効だ。外部環境は不透明要因が多すぎる。

 ただ、大崩れは考えにくい。とりあえず、日米関税交渉は決着、政治の迷走は想定の範囲だ。さらに、企業の経営改革、株主還元姿勢の強化に加え、財政出動(国土強靱化計画)、第4次産業革命の進展が株高を支援するだろう。マーケットでは景気失速、ガイダンスリスクなどを気にしているが、株式市場にはそれらの悪材料を乗り越える力があろう。

 外国人は4月第1週~7月第4週に、17週連続の買い越し(現物)を記録している。この間の買い越し額は実に6兆1395億円に上る。猛攻である。彼らは「日本企業は変わった」と判断している。具体的には政策株の売却、配当総額の増加。M&Aの激増、活発な設備投資、自社株買いなどがそうだ。これがPBR(株価純資産倍率)を上昇させる。

●相対的に出遅れの日本株、その修正がある!

 それに、日本株はスケール(時価総額ベース)的に出遅れが著しい。マグニフィセント・セブン(アメリカ市場の時価総額上位7社)の合計時価総額は2818兆円だ。これに対し、7人のサムライ(東京市場の時価総額上位7社)の合計時価総額は159兆円にすぎない。実に、18分の1の水準にとどまっている。

 先のフィグマは新興企業だが、8兆円強の時価総額はJT <2914> 、三井物産 <8031> [東証P]、信越化学工業 <4063> [東証P]、ホンダ <7267> [東証P]などのレベルに匹敵する。ちなみに、東京市場の時価総額トップはトヨタ自動車 <7203> [東証P]の43兆円、2位は三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]の25.6兆円である。

 3位はソニーグループ <6758> [東証P]の22.6兆円だ。3社合計の時価総額は91.2兆円にとどまる。エヌビディアは651兆円であり、遠く及ばない。まあ、数字を並べ立てると「頭が痛くなる」と嫌われるが、現実から目をそむけてはいけない、と思う。トヨタ自動車は出遅れている。時価総額100兆円が目標になる。

 個別銘柄では好業績の日本テレビホールディングス <9404> [東証P]、テレビ東京ホールディングス <9413> [東証P]が面白い。三菱電機 <6503> [東証P]は切り口多彩だ。好業績に加え、防衛関連として注目できる。富士電機 <6504> [東証P]の2026年3月期は5期連続の経常最高益となろう。

 このほか、株価が600円台を奪回してきた東京電力ホールディングス <9501> [東証P]、デンソーが5%弱の株式を取得したローム <6963> [東証P]、思惑妙味の玉井商船 <9127> [東証S]、ジリ高の国際計測器 <7722> [東証S]、AI(人工知能)関連の豆蔵デジタルホールディングス <202A> [東証G] などが狙える。

2025年8月1日 記

株探ニュース

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