鈴木英之氏【トランプ関税に戸惑う市場、ここからの展望を読む】(2) <相場観特集>
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―思惑錯綜する夏相場、日経平均4万円大台定着は可能か― 7日の東京株式市場は様子見ムードの強い地合いで日経平均株価は下値を探る展開を余儀なくされた。トランプ米政権が打ち出す関税政策に対する警戒感から上値の重い状況にあるが、下値では出遅れた向きの押し目買いやショート筋の買い戻しが入り、下げ幅も今のところ限定的なものにとどまっている。不安材料も少なくないなか、今後サマーラリーに向けた動きは期待できるのか。また、注目しておくべきポイントは何か。ここからの相場展望と個別株の動向などについて、雨宮総研代表の雨宮京子氏、SBI証券投資情報部長の鈴木英之氏にそれぞれ意見を聞いた。 ●「4万円中心のレンジ相場に、トランプ関税は正しく恐れる必要性も」 鈴木英之氏(SBI証券 投資情報部長) トランプ米政権による関税政策が関心を集めているが、過度に不安視するのではなく「正しく恐れる」必要があるだろう。上乗せ関税の一時停止期限である9日が目前に迫り、一部の貿易相手国には7日に新たな関税率を通知するとも伝わるなか、日本の関税率がどうなるかが焦点だ。 ただ、米国に輸出している日本製品の多くは大幅な円高などをくぐり抜けて生き残ってきており、品質や競争力に優れ米国にとっても代替が効かないものも少なくない。例えば、鉄鋼の輸出は高級鋼板が中心となっている。自動車では、一部の輸出比率が高いメーカーは厳しいかもしれないが、トヨタ自動車 <7203> [東証P]やホンダ <7267> [東証P]の米国での現地生産は進んでいる。トヨタやホンダは何とか対応できるのではないかとみている。 半導体製造装置では、例えば東京エレクトロン <8035> [東証P]の北米向け比率はさほど高くはない。 トランプ関税以外では、今月20日の参院選も注目されるが自民党の支持率は低下しているものの、他の野党が大きく勝つというイメージも湧きにくく、相場に与える影響は限定的とみている。 当面の日経平均株価は4万円を中心とするレンジ相場を想定している。足もとの日経平均採用銘柄の予想1株当たり利益(EPS)は2500円近辺にあり、これをPERで16倍程度まで買えば4万円の水準となる。当面の想定レンジは3万8500円~4万1500円を見込んでいる。 個別のテーマや銘柄では、東エレクやディスコ <6146> [東証P]といった半導体製造装置株、関電工 <1942> [東証P]など電気工事株、鹿島 <1812> [東証P]など建設株、それにSCSK <9719> [東証P]などソフトウエア関連株などに注目している。 (聞き手・岡里英幸) <プロフィール>(すずき・ひでゆき) 早稲田大学卒。リテール営業、調査部、株式部等を経て、SBI証券投資情報部長に。モーニングスター株式会社(投資調査部ゼネラル・マネジャー)へ転籍を経て現職。ラジオ日経、ストックボイス等で相場解説を行っている。 株探ニュース