夏相場を駆ける、12月決算1Q急発進で「上方修正サイン点灯」5銘柄 <株探トップ特集>

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コラム

―25年12月期の上期決算発表シーズン迫る、逆風下でも業績を伸ばす高進捗銘柄に照準―

 12月期決算企業による上期(1-6月)決算発表が7月下旬から本格化する。上場企業の決算発表は株価に大きなインパクトを与える重要イベントであるが、とりわけ業績予想の上方修正はマーケットの注目を一気に集め、株価が急騰するケースも少なくない。上方修正が期待される銘柄には、決算発表の接近につれて先回りで買いを入れる動きが強まりやすく、このタイミングで高進捗銘柄を改めて見直しておきたいところだ。そこで今回は、25年12月期第1四半期(1-3月)の段階で好調な滑り出しをみせ、上期または通期計画に対して高い進捗率を示している上方修正有力株を探った。

●1-3月期は半数以上が減益または赤字決算に

 12月期決算企業527社(変則決算などは除く)の25年1-3月期決算は、経常利益(※米国会計基準・国際会計基準は税引き前利益)の合計額が前年同期比11%減と2ケタ減益に沈んだ。海外の景況感悪化や円安の一服などが重荷となり、製造業を中心に苦戦を強いられる企業が多く、社数ベースでも半数以上が減益または赤字だった。内需関連などには好調な決算もみられたものの、先行きへの警戒感から通期予想を上方修正する動きは限定的にとどまっている。

 上期決算でも業績予想に対する慎重な姿勢は続きそうだ。トランプ米政権の関税政策や世界景気の先行き不透明感に加え、国内においても物価高による個人消費の伸び悩みやインバウンド消費の鈍化が懸念材料となっている。一方、このような状況で業績予想の上方修正に踏み切る企業は、逆風を跳ね返す収益力や事業構造の強みが評価され、一段の株価見直しにつながる可能性がありそうだ。

 以下では、12月期決算企業を対象に、第1四半期業績の上期または通期計画に対する進捗率、過去の平均進捗率との比較、直近の業績動向、業績予想の修正履歴などを総合的に踏まえ、上方修正が期待される銘柄を5社ピックアップした。買い一巡後に利益確定売りに押されている銘柄もみられるが、今後の押し目買い候補として注目したい。

●K&Oエナジは4年連続で上期決算と同時に上方修正

 K&Oエナジーグループ <1663> [東証P]は千葉県を基盤に天然ガスの生産から都市ガス供給までを一貫して手掛けるエネルギー事業会社。世界有数のヨウ素生産者としても知られ、ヨウ素を主原料とするペロブスカイト太陽電池の関連銘柄としても注目度が高い。1-3月期は発電用途のガス販売量が減少したものの、ヨウ素の販売増加や価格上昇などで吸収し、経常利益は36億5300万円(前年同期比40.6%増)と四半期ベースの過去最高を記録した。通期計画(86億円)に対する進捗率は42.5%と高水準なうえ、過去4年連続で上期決算発表と同時に通期業績見通しを増額した経緯もあり、上方修正期待は強い。

●BASEはEストアーの買収効果で上方修正濃厚

 BASE <4477> [東証G]は祖業のネットショップ作成サービス「BASE」を主軸に、オンライン決済サービス「PAY.JP」、資金調達サービス「YELL BANK」などを展開する。前期はBASEとPAY.JPの流通総額(GMV)が大きく増加したほか、機能改善の効果でYELL BANKの収益も急拡大し、経常利益段階で4期ぶりの黒字化を果たした。25年1-3月期も好調を維持し、経常利益は4億1200万円と前年同期から2倍近い伸びを示した。通期計画(9億8400万円)に対する進捗率は40%を超える。7月中旬に予定するEストアーの買収効果を業績予想に織り込んでおらず、上方修正する可能性は高そうだ。そのほか、4月までに10億円規模の自社株買いを実施するなど、株主還元強化の姿勢にも注目したい。

●IBJは婚活市場の拡大を追い風に成長加速へ

 IBJ <6071> [東証P]は国内最大級の結婚相談所ネットワークを運営する婚活サービス大手。直営結婚相談所やマッチングサービス、結婚後のライフデザインサポートを展開する一方、M&Aを通じて韓国語スクールの運営に進出するなど、業容拡大にも意欲的だ。1-3月期は経常利益9億9900万円と前年同期比で5割超の大幅増益を達成した。婚活パーティーとの連携強化で直営結婚相談所の入会者数が増加したほか、提携結婚式場への送客や保険の成約件数が伸びた。広告費の適正化も利益拡大につながった。上期計画に対する進捗率は74.2%に達している。株価は6月27日に約2年4ヵ月ぶりの高値をつけた後は利益確定売りに押されているが、予想PER16倍前後と割高感はなく、更なる上値を試す展開に期待したい。

●正興電は上期大幅増額で通期の上方修正期待膨らむ

 正興電機製作所 <6653> [東証P]は発電所と上下水処理場の2大インフラを中心に監視制御システムなどを提供する電気機器メーカー。安定した収益基盤を背景に成長を続けている。25年12月期はエネルギーソリューション分野でデータセンターや蓄電所設備の需要を取り込み、経常利益28億5000万円(前期比20.8%増)と3期連続で最高益を更新する計画だ。第1四半期は電力部門で発変電関連設備やスマート保安システムが好調だったほか、環境エネルギー部門では水処理設備向け監視制御システムや道路設備向け受配電システムが伸びた。好調な業績を踏まえ、上期の経常利益予想を14億9000万円(従来は11億7000万円)に大幅上方修正したが、通期計画は据え置いており、業績上振れに含みを持たせている。

●ドリムアーツは第1四半期だけで通期計画の5割に到達

 ドリーム・アーツ <4811> [東証G]は大企業の業務デジタル化を支援するプログラミング不要のノーコード開発ツール「SmartDB」をはじめ、チェーンストア向け情報共有ツールや社内ポータル構築ツールなどのSaaSプロダクトを提供するクラウドサービスベンダー。1-3月期は大企業の旺盛なDXニーズを追い風に「SmartDB」の平均月額利用料や導入企業数が増加し、経常利益は4億4900万円(前年同期比2.4倍)と3四半期連続で四半期ベースの最高益更新を果たした。第2四半期以降はプロモーションを中心とする成長投資を予定するものの、通期計画(8億7400万円)に対する進捗率は50%を超えており、業績上振れに期待がかかる。

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