備えあれば憂いなし、買うなら今「防災グッズ関連有望株」総ざらい <株探トップ特集>

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コラム

―あの企業の傘下に非常食大手メーカー、保存食やガスコンロ、簡易トイレなど商品さまざま―

 地震大国、日本において災害への備えは常に欠かせない。政府は来年度に創設予定の「防災庁」の概要を先月明らかにし、内閣直下の組織にするとともに首相を助ける専任の大臣を置き、各省庁に勧告が行える権限を持たせる方針を示した。産学官やNPO(非営利組織)との連携を強化し、専門人材の確保・育成なども進めるという。縦割り行政を排し、平時から復旧・復興期まで一貫した司令塔機能の発揮を目指す構えだ。国の取り組みが着実に前進するなか、足もとでは人々の 防災意識が高まりをみせている。個人レベルでできる備えは万全にしておきたい。

●南海トラフ発生確率80%

 政府は今年1月、南海トラフ地震が今後30年以内に発生する確率を「70~80%」から「80%程度」に引き上げた。3月には同地震の被害想定を前回発表時から十数年ぶりに見直し、最悪のケースで死者数が29万8000人、全壊・焼失棟数が235万棟に及ぶと予測。津波の高さは沿岸部を中心に最大34メートルに達するという。この想定に基づき、7月1日に「防災対策推進基本計画」を改定。死者数を8割減らす目標を引き続き掲げた。

 南海トラフ地震を巡っては昨年に「臨時情報(巨大地震注意)」が初めて発表され、人々の防災意識は一段高まった。こうしたなか最近SNS上で、とある漫画をきっかけとしたウワサが広がっている。2025年7月に“大災難”が発生するというものだ。実体経済にも影響が及んでおり、5月の訪日外客数で香港からの客数減が明らかとなったほか、アジア各国を中心に訪日控えの動きが出ていることが直近の報道で伝わっている。時を同じくして、鹿児島県のトカラ列島近海で先月から群発地震が続く。今月3日には周辺の悪石島で震度6弱を観測した。トカラ列島はフィリピン海プレートとユーラシアプレートの境界付近に位置する。南海トラフ地震は両プレートによって引き起こされる地震だ。

 言うまでもなく、現在の科学で地震を予知することはできない。いつ起こるかわからないものであり、だからこそ災害への意識は常に持っておきたいところ。今回のウワサは防災に改めて目を向ける一つの機会になったと捉えたい。

●レトルト食品や即席麺、缶詰など

 災害時において、もっとも重要なのは食料の確保だ。製菓大手ブルボン <2208> [東証S]は缶入りクラッカーやパックご飯、水といった災害対策備蓄用の商品を手掛ける。井村屋グループ <2209> [東証P]は1本でご飯小盛一杯分のエネルギーが補給できる羊かん「えいようかん」を製造、食肉加工中堅の石井食品 <2894> [東証S]は非常食としておかゆ、リゾット、おかずを展開する。

 亀田製菓 <2220> [東証P]は傘下に非常食大手の尾西食品を持つ。「アルファ米」で知られる老舗メーカーだ。13年に子会社化した。前期は震災による備蓄需要の増加で、尾西食品が属する「食品事業」のセグメント利益は前の期比4.2倍と急増。主力の「国内米菓事業」の堅調もあり全体で最終最高益となった。今期もグループ全体で成長が続き、持ち分法適用関連会社の子会社化に伴う特別利益も寄与し、最終利益は前期比4.5倍の242億円と更に急拡大する見通しだ。

 クラダシ <5884> [東証G]は規格外品や賞味期限の近い食品を安く販売する通販サイト「Kuradashi」を運営する。今年1月、災害用備蓄品の定期便サービス「備えてKuradashiデイリーストック定期便」を提供開始すると発表した。普段の食事としても利用できる商品の詰め合わせセットを2ヵ月に1回届けてくれるというもの。平時に商品を多めに購入し、消費と補充を繰り返して常に一定量を確保する「ローリングストック」という備蓄方法を実践することができる。

 非常食から保存食にカテゴリーを広げると更に銘柄が浮かび上がってくる。カゴメ <2811> [東証P]は賞味期間5年半の「野菜たっぷりスープ」と同3年半の「野菜一日これ一本」(同5年半の長期保存用も提供)、江崎グリコ <2206> [東証P]は賞味期限5年の「ビスコ」のほかスープ、乳幼児ミルク、野菜ジュースを販売する。味の素 <2802> [東証P]はレトルトの「味の素KKおかゆ」シリーズや即席みそ汁を手掛ける。レトルト食品ではハウス食品グループ本社 <2810> [東証P]、エスビー食品 <2805> [東証S]、大塚ホールディングス <4578> [東証P]傘下の大塚食品などが挙げられる。

 お湯を入れるだけで手軽に食べられる即席麺のメーカーと言えば、東洋水産 <2875> [東証P]と、傘下に明星食品を有する日清食品ホールディングス <2897> [東証P]だ。コンパクトで保存性に優れる缶詰では「シーチキン」ブランドで有名なツナ缶最大手はごろもフーズ <2831> [東証S]のほか、水産大手のニッスイ <1332> [東証P]、マルハニチロ <1333> [東証P]、極洋 <1301> [東証P]、コンビニ向け水産加工品のSTIフードホールディングス <2932> [東証S]に注目。パックご飯大手のサトウ食品 <2923> [東証S]も要マークとなる。

 食べ物だけでなく水も重要だ。関連銘柄は飲料メーカー大手各社のほか、飲料受託生産のライフドリンク カンパニー <2585> [東証P]、天然水を自社工場で製造する宅配水大手プレミアムウォーターホールディングス <2588> [東証S]が思い浮かぶ。

●ポータブル電源も必須

 食料以外では日用品も欠かせない。花王 <4452> [東証P]やユニ・チャーム <8113> [東証P]、ライオン <4912> [東証P]と関連銘柄は数多くある。災害時に電気・ガスが使えないとあれば、JVCケンウッド <6632> [東証P]が販売するポータブル電源・ソーラーパネル、岩谷産業 <8088> [東証P]のガスコンロが必要になるだろう。簡易トイレなど各種防災グッズは機械商社の山善 <8051> [東証P]、事務用品のキングジム <7962> [東証P]などが取り扱っている。

 防災グッズはホームセンターのDCMホールディングス <3050> [東証P]やコメリ <8218> [東証P]、コーナン商事 <7516> [東証P]、ジョイフル本田 <3191> [東証P]でもさまざまな商品が手に入る。もちろん、楽天グループ <4755> [東証P]、アスクル <2678> [東証P]といったネット通販でも可能だ。

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