前週末30日に「買われた株!」総ザライ (2) ―本日につながる期待株は?―
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■イントラマト <3850> 4,285円 (+420円、+10.9%) エヌ・ティ・ティ・データ・イントラマート <3850> [東証S]が4日続急騰。ここ上値指向を鮮明としていたが、30日は4400円台まで一気に水準を切り上げ、連日の年初来高値更新となった。時価は2020年1月以来、約5年4ヵ月ぶりの高値水準に上昇していた。親子上場解消やMBOなどの資本移動に絡んだ動きが相次ぐなか、最近ではシステムインテグレーター国内トップのNTTデータグループ <9613> [東証P]をNTT <9432> [東証P]が完全子会社化(非上場化)することが発表され、マーケット全体にも大きなインパクトをもたらした。イントラマトはWeb基盤構築で強みを持つシステム開発会社だが、NTTデータが発行済みの半分近い株式を保有しており、NTTの孫会社にあたる。市場では「NTTグループのTOB戦略の対象に同社(イントラマト)も挙がる可能性が高いのではとの見方が買いを引き寄せている」(中堅証券ストラテジスト)という声が聞かれた。 ■井関農 <6310> 1,265円 (+117円、+10.2%) 東証プライムの上昇率3位。井関農機 <6310> [東証P]が続急騰。30日付の日本経済新聞朝刊で「政府による備蓄米の大量放出に伴い、コメの『流通問題』が深刻化している。筆頭は精米だ」と報じていたことを受けて、精米機を手掛ける同社に思惑的な買いが向かったようだ。記事によると、精米工場は小売り各社などによる奪い合いの様相であるとしており、同社はコイン精米所も運営しているが、同記事では「運営収入が前年同期を1割強上回って推移している」とあり、業績への貢献が期待されている。 ■テイン <7217> 788円 (+70円、+9.8%) テイン <7217> [東証S]が急伸。29日の取引終了後に自社株買いを実施すると発表したことが好感された。上限を10万株(自己株式を除く発行済み株数の2.00%)、または1億円としており、取得期間は6月2日から来年3月31日まで。株主還元の充実、資本効率の向上並びに機動的な資本政策の遂行のために取得する。同時に、9月30日を基準日として1株を2株に株式分割すると発表しており、これも好材料視された。株式の流動性を高めるとともに、株主数の増加を図ることが目的という。効力発生日は10月1日で、それ以降は前述の自社株取得枠の上限は20万株となる。 ■GMO-FG <4051> 5,860円 (+510円、+9.5%) GMOフィナンシャルゲート <4051> [東証G]が6日続急伸。29日の取引終了後、東京証券取引所の承認を受けて、6月5日付で東証グロース市場から東証プライム市場に変更されることになったと発表しており、指数連動ファンドなどによる買い需要発生を先取る形で買われた。同社は、GMOペイメントゲートウェイ <3769> [東証P]子会社で、クレジットカードや電子マネーなどのキャッシュレス決済インフラを提供する企業。25年9月期連結業績予想は、売上高222億円(前期比18.7%増)、最終利益13億1600万円(同29.9%増)を見込む。 ■ヤマトモビM <7886> 968円 (+83円、+9.4%) ヤマト モビリティ & Mfg. <7886> [東証S]が急伸。同社は29日の取引終了後、開示が遅れていた25年3月期の連結決算と、26年3月期の業績予想を公表した。今期の売上高は前期比11.4%増の179億円、経常利益は同2.1倍の1億7000万円、最終損益は1億2000万円の黒字(前期は3億3900万円の赤字)を計画する。業況を評価した買いを誘う格好となったようだ。合成樹脂成形関連事業などを展開する同社の25年3月期の売上高は前の期比4.6%増の160億7200万円、経常利益は同3.8倍の8100万円だった。最終損益は2期連続の赤字で着地。海外子会社の減損損失が響いた一方、原価低減活動など構造改革が奏功した結果、経常利益は大きく改善し計画を上回った。同社は減損に絡んだ精査・確定作業に想定以上の時間を要したことから、期末後50日を超えての決算発表となった。今期については構造改革や収益性の改善活動と並行して、EV(電気自動車)を中心とするモビリティ事業の確立・拡大を目指す方針。 ■キッセイ <4547> 4,290円 (+330円、+8.3%) 東証プライムの上昇率5位。キッセイ薬品工業 <4547> [東証P]が3日続急伸。同社は5月7日に中期経営計画を発表しているが、この内容を改めて評価する流れとなっていた。同社は希少疾病・難病領域の製品ラインアップを3品目から6品目に拡充し、国内医薬品事業の拡大を図るほか、子宮筋腫などを適応症とする「リンザゴリクス」のグローバル展開に伴う海外ライセンス収入の拡大も狙う。あわせて30年3月期までの5年間で300億円の自社株買いを実施し、配当に合計で270億円を投じる方針を示している。新薬による業績拡大への期待と株主還元姿勢に対するポジティブな見方が広がるなか、30日は国内有力証券による目標株価の増額修正や、外資系証券による投資評価の引き上げの動きが刺激材料となり、投資資金を誘う結果となったようだ。 ■Sansan <4443> 2,016円 (+123円、+6.5%) 東証プライムの上昇率9位。Sansan <4443> [東証P]が急伸。クラウド型名刺管理サービスを展開し、法人向けのパイオニアで国内トップシェアを誇る。業績はトップラインの急成長が続いていたが、利益面でも開花期に突入しており、24年5月期は営業利益が前の期比6.7倍となる13億3700万円と過去最高利益の大幅更新を達成、続く25年5月期については幅を持たせた予想で、調整後営業利益ベースで30億1200万円~44億400万円としているが、前期比倍増以上の高い伸びが有力視される状況だ。今週26日には、社員が渡す名刺の価値を最大化する「デジタル名刺ソリューション」を発表、紙の名刺の弱点をデジタルで補うサービスで企業のビジネス効率化に貢献することが期待されている。株価は1900円台後半を横に走る25日移動平均線を陽線でブレークした形となっており、大勢トレンド転換を示唆していた。 ■小糸製 <7276> 1,827.5円 (+62円、+3.5%) 小糸製作所 <7276> [東証P]が大幅高で4日続伸。29日の取引終了後に自社株買いを実施すると発表したことが好感された。上限を3700万株(自己株式を除く発行済み株数の13.04%)、または500億円としており、取得期間は6月2日から来年5月29日まで。27年3月期までの3カ年累計で2000億円以上の株主還元を実施することを掲げており、この方針に基づき自社株取得枠を設定した。 ■三井化学 <4183> 3,285円 (+110円、+3.5%) 三井化学 <4183> [東証P]が大幅高で4日続伸。30日、石油化学事業を主体とするベーシック&グリーン・マテリアルズ(B&GM)事業について、他社との提携推進及び統合・再編に向けて、分社化の検討を開始すると発表しており、好材料視された。B&GM事業は、石化製品や基礎化学品を製造・販売する同社の根幹部門。同社では、長期経営計画の基本戦略における事業ポートフォリオ変革加速のため、同事業については再構築・高機能化・グリーン化により、日本の産業を支える強靱なグリーンケミカル事業を目指すとしており、そのためには他社との提携を推進し、更には経営資源を統合することにより、人財・技術・競争力・事業基盤などの面でともに強靱な事業体を実現する必要があると判断したという。 ■レスター <3156> 2,482円 (+82円、+3.4%) レスター <3156> [東証P]が大幅高で6日続伸。30日、同社と子会社PCIホールディングス <3918> [東証S]傘下のプリバテックが、ミネベアミツミ <6479> [東証P]グループのエイブリック及び東芝デジタルソリューションズ(川崎市幸区)と協業し、巡回型漏水検知ソリューションの販売を開始したと発表しており、好材料視された。同ソリューションは、エイブリックの「バッテリレス漏水センサ」が発する無線信号を、東芝デジタルソリューションズの「ifLinkプラットフォーム」で受信し漏水を検知。それらをプリバテックが巡回型漏水検知ソリューションとしてシステムパッケージ化し、レスターが販売するもので、給電が必要な従来型の漏水センサや据置型の受信機器に伴うネットワーク工事が不要で、導入・設置がより簡便となり初期コストを低減することができる。 ■NTT <9432> 160.4円 (+4.5円、+2.9%) 日本電信電話 <9432> [東証P]が3日続伸。同社は29日の取引終了後、子会社のNTTドコモによる住信SBIネット銀行 <7163> [東証S]へのTOB(株式公開買い付け)とともに、SBIホールディングス <8473> [東証P]との資本・業務提携を発表した。NTTはSBIが実施する第三者割当増資を引き受ける形で、約1108億円を投じて同社に対して約8.18%出資する。NTTとSBIの両グループはデジタル技術と金融サービスを融合し、相互の強みを発揮していく。株式市場ではNTTが持つ顧客基盤に対し、住宅ローンを含む金融関連のサービスを提供する体制を構築することは、NTTにとっては競争力の更なる強化につながるとの期待感があるようだ。全体相場が調整色を強めるなかで、業績面での安定感も意識され、NTT株への資金流入を誘う格好となった。 ※30日の上昇率が大きかった銘柄を株価変動要因となった材料とともに抜粋。 株探ニュース