前日に「買われた株!」総ザライ (1) ―本日につながる期待株は?―

投稿:

材料

■住信SBI銀 <7163>  3,985円 (+700円、+21.3%) ストップ高

 住信SBIネット銀行 <7163> [東証S]がストップ高。NHKは29日、NTTドコモが銀行業への参入に向けて、住信SBI銀を買収する方向で最終的な調整を進めていることが分かったと報じた。日本経済新聞電子版も「NTTドコモが住信SBIネット銀行を買収する方針を固めた」と報道。日経報道によると、NTTドコモは3分の2程度の株式取得を目指してTOB(株式公開買い付け)に入る計画で、住信SBI銀を非公開化する方向という。一連の報道を受け、住信SBI銀は同日午前8時25分にコメントを開示し、「本件に関しては本日の取締役会に付議する予定」だと明らかにした。株式市場においては、NTTドコモが住信SBI銀株の時価にプレミアムを上乗せしてTOB(株式公開買い付け)を実施するとの思惑が広がった。NTT <9432> [東証P]もNTTドコモの取締役会に付議する予定だと公表。SBIホールディングス <8473> [東証P]も同様のコメントを開示した。報道を受け、東京証券取引所は29日午前8時20分から8時40分までの間、住信SBI銀の株式売買を一時停止した。

■イー・ギャラ <8771>  1,591円 (+146円、+10.1%)

 東証プライムの上昇率2位。イー・ギャランティ <8771> [東証P]が急反騰。28日取引終了後、株主還元方針を変更すると発表した。従来の配当性向50%以上とする目標に加え、新たに増配もしくは配当の維持を行う累進配当を継続して実施する方針を示した。更に、継続的かつ機動的な自己株取得を行うべく、28年3月期末までの間に100億円の自己株式取得を目指す方針も追加した。これに伴い、自社株買いの実施を発表。取得上限は300万株(自己株式を除く発行済み株数の6.26%)、または30億円。期間は6月2日~来年3月31日。これを好感した買いが入った。

■ネクセラ <4565>  882円 (+76円、+9.4%)

 東証プライムの上昇率3位。ネクセラファーマ <4565> [東証P]が3日ぶり急反発。同社は29日、創出している「NBI-1117568」について、提携先のニューロクライン・バイオサイエンシズ  が米アリゾナ州で開催中の2025年度米国臨床精神薬理学会(ASCP)年次総会で、成人の統合失調症患者を対象としたフェーズ2試験に関する新たな良好なデータを発表したことを明らかにしており、これが株価を刺激したようだ。

■ジェイドG <3558>  1,298円 (+110円、+9.3%)

 ジェイドグループ <3558> [東証G]が急反発。同社は29日午後0時15分ごろ、子会社のマガシークが運営する「d fashion」の経営改革について進捗状況を公表。5月の売り上げ(出荷額ベース)が前日の28日段階で前年同月比9%増(4月は4%減)になっていることを明らかにしており、これが好感されたようだ。昨年11月からの物流統合と商品連携が順調にスタートし、今年3月からはマーケティング改革やデザインの見直しに着手したことなどが功を奏しているという。なお、改革の最終ゴールである「システム完全統合(100%内製化)」に関しては、早くて6月を予定していたが、一部の仕様変更に伴い完全統合は今年9月になる見通しだとしている。

■A&Dホロン <7745>  2,010円 (+154円、+8.3%)

 東証プライムの上昇率7位。A&Dホロンホールディングス <7745> [東証P]が続急伸。注目された米エヌビディア  の決算は売上高・利益ともにコンセンサスを上回る好調な内容で、時間外取引で大きく買われたことで東京市場でも半導体周辺株全般に風向きは順風となっている。そのなか、同社は先端半導体の測定などで必須となる電子ビーム技術に定評があり、特に走査型電子顕微鏡の応用装置で主力製品となっているCD―SEMでは大手半導体メーカーを中心に引き合いが旺盛。今期予想も含め営業利益は過去最高更新基調を続けている。28年3月期を最終年度とする中期経営計画では営業利益段階で117億円(前期実績88億1300万円)を見込むが、長期ビジョンの数値目標も開示しており、2035年3月期に営業利益段階で300億円を設定している。時価予想PERはわずかに8倍前後にとどまっており、投資指標面からも中長期的に大幅な株価水準訂正が見込まれる状況にある。

■SBI <8473>  4,421円 (+319円、+7.8%)

 東証プライムの上昇率9位。SBIホールディングス <8473> [東証P]が急反発。29日、国内メディアにおいてNTTドコモが住信SBIネット銀行 <7163> [東証S]を買収することで最終調整に入ったと報じられた。NTTドコモによる買収に際し、SBIは保有する住信SBI銀株を売却、住信SBI銀の株主はNTTドコモと三井住友トラストグループ <8309> [東証P]傘下の三井住友信託銀行の2社となる見通しだと伝わっている。SBIに対しては、株式の売却に伴い獲得するキャッシュの使途などを巡る思惑が広がり、買いが集まったようだ。SBIは29日、一部報道に関して、本日の取締役会に付議する予定であり、決定した場合には速やかに公表するとのコメントを開示している。

■NJS <2325>  5,160円 (+355円、+7.4%)

 NJS <2325> [東証P]が12日続急伸。日本ヒューム <5262> [東証P]、日本鋳鉄管 <5612> [東証S]、大盛工業 <1844> [東証S]、ブルーイノベーション <5597> [東証G]など下水道関連株が軒並み大きく上値を伸ばした。29日付の日本経済新聞が「政府は老朽化した大規模な下水道の更新工事を2030年度までに全国で完了させる」と報じており、これを材料視する形で関連銘柄に投資資金が集中した。6月に閣議決定する国土強靱化の中期計画で目標を設定し、全長5000キロメートルに及ぶ下水道管の安全性を確保する方針とされ、株式市場では同インフラにかかわる企業の活躍機会が高まるとの見方が改めて強まった。

■cotta <3359>  428円 (+29円、+7.3%)

 cotta <3359> [東証G]が急反発。28日の取引終了後、25年9月期連結業績予想について、売上高を136億1100万円から136億2000万円(前期比52.2%増)へ、営業利益を6億6200万円から7億3500万円(同54.1%増)へ、純利益を4億5600万円から4億8800万円(同43.1%増)へ上方修正したことが好感された。主力の菓子・パン資材及び雑貨などの販売事業が堅調に推移しているほか、新たにグループに加わったTERAZ及びワークス・グループの業績が堅調に推移していることが要因。また、販管費が想定を下回っていることも寄与する。 

■エクサWiz <4259>  425円 (+24円、+6.0%)

 エクサウィザーズ <4259> [東証G]が続急伸。28日取引終了後、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズと資本・業務提携を行い、NTTコムに対して第三者割当による自己株式処分を実施すると発表。これが買い材料視された。これまで協業関係を深めてきた経緯があるなか、NTTコムとの協力体制をより強固にし、事業の推進を確実なものにしていく狙いがある。セキュアなAIプラットフォームや業界・業務特化型AIエージェントの共同開発などに取り組む。NTTコムはエクサWizの自己株式処分で121万4400株の割り当てを受け、大株主に浮上する見通し。

■日産自 <7201>  380.8円 (+21.4円、+6.0%)

 日産自動車 <7201> [東証P]が急反発。ロイター通信などが「台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の会長が29日、2社目となる日本の自動車パートナーを近く発表することを明らかにした」と報じており、思惑買いが流入したようだ。年次株主総会で「(提携する)日本の自動車メーカーは2社ある。1社はすでに発表した。もう1社も発表する準備がほぼ整っている」と述べたという。なお、三菱自動車工業 <7211> [東証P]は今月7日に鴻海の傘下企業と電気自動車(EV)のOEM供給について覚書を締結したと発表している。

■アドテスト <6857>  7,643円 (+388円、+5.4%)

 アドバンテスト <6857> [東証P]が5連騰となったほか、東京エレクトロン <8035> [東証P]、ディスコ <6146> [東証P]も3日ぶりに大きく切り返すなど半導体製造装置関連株に投資資金が還流した。日本時間早朝に発表された米半導体大手エヌビディア  の2-4月期決算は売上高、一株利益ともに事前の市場コンセンサスを上回る好調な内容だった。売上高は前年同月比で69%の高い伸びを達成した。また、注目されたデータセンター向け売上高は同73%増と全体の伸びを上回った。これは、事前予想にはわずかに届かなかったとはいえ高水準の伸びを達成したことで投資家の不安心理が後退、同社株は時間外で大きく買われる展開となった。これを受けて、東京市場でもエヌビディアが手掛ける先端半導体向けに検査装置を納入するアドテストをはじめ 半導体製造装置関連株に買いが先行する状況となっている。外国為替市場で足もと急速に円安が進んでいることもセンチメントを強気に傾けた。

■トヨタ <7203>  2,734.5円 (+103円、+3.9%)

 トヨタ自動車 <7203> [東証P]が大幅反発。足もと外国為替市場で1ドル=146円台までドル高・円安が加速しており、輸出セクターの中でも特に為替感応度の高い自動車株にはショート筋の買い戻しも含め短期資金が還流した。ニューヨークの国際貿易裁判所が28日、トランプ関税について一部差し止める決定を下したことが伝わり、これが材料視されたようだ。米株価指数先物も大幅に上昇しており、為替相場の動きと連動して株式市場もリスクオンの流れが急速に強まった。

■ソニーG <6758>  3,970円 (+149円、+3.9%)

 ソニーグループ <6758> [東証P]が大幅高で5日続伸。4000円の大台に乗せて上場来高値を更新した。同社は29日午後2時30分から、「金融インベスターデー」を開催する。十時裕樹社長最高経営責任者(CEO)らが出席する。これに先立ち、ホームページ上で説明会資料を公開した。金融子会社のソニーフィナンシャルグループ(FG)について、国内トップクラスの競争力を持つソニー生命がバリュードライバーだとしたうえで、ソニーFGの27年3月期の修正純利益の目標値について1250億円(従来は1200億円)に設定した。金融子会社の成長性を期待した買いを誘ったようだ。ソニーGは5月14日、ソニーFGのパーシャル・スピンオフについて、9月初旬の取締役会で付議する予定だと発表。更に、ソニーFG株式の東証プライム市場への上場に向けて5月8日に予備申請を行ったことを明らかにした。9月30日を基準日としてソニー株1株につき、ソニーFG株1株の割合で現物配当を行う予定となっている。

※29日の上昇率が大きかった銘柄を株価変動要因となった材料とともに抜粋。

株探ニュース

オンラインで簡単。
まずは無料で口座開設

松井証券ならオンラインで申し込みが完結します。
署名・捺印・書類の郵送は不要です。