【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ 客室単価上昇で収益力高めるホテル関連株!
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「客室単価上昇で収益力高めるホテル関連株!」 ●株価回復トレンドに素直に乗る 「ゴールデンウィークが終わると、その年の後半相場が始まる」。前回こう述べたが、実際、東京市場はそれらしい動きになっているのではないか。日経平均株価は4月7日の暴落局面からの回復トレンドをキープし、3万0792円から3万7500円前後まで水準を戻している。これは暴落前の3月26日に付けた高値3万8220円にあと一歩に迫っており、なんとも力強い上昇ぶりだ。 もちろん、この勢いがこのまま続くという保証はない。しかし、市場の攪乱要因となっていたトランプ米大統領の予測困難な強硬姿勢にも軟化の兆しが見え始めており、この効果が大であった――こう見てよいだろう。トランプ大統領は4月初めの株式市場の暴落までは政策がもたらす痛みについて「しばらく我慢してくれ」と強気を崩さなかったが、大統領就任から100日を迎えた時点での支持率を見て仰天したはずだ。39%と40%台を割り込み、しかも就任100日目の支持率としては歴代最低だったのだ。 常に異常なほど人気を気にかけるトランプ大統領にとって、これはあってはならないこと。早速、強硬姿勢を軟化させることにしたとみてよく、お陰で今日の株高があり、今後もそれは続く可能性が高いだろう。そうみるのは、トランプ大統領がベッセント財務長官を重用するようになっているからだ。ベッセント財務長官は、日本や中国との通商問題だけでなく、ウクライナの和平策などトランプ政権が抱える重要案件の多くに関わるようになっており、国務長官を兼務している印象さえある。 現在の東京市場の株高も、そんなベッセント財務長官のバランス感覚ある政策遂行能力の賜(たまもの)といえるのは明らかだ。同長官とトランプ大統領との蜜月が長く続いて欲しいものだが、幸いなことにすぐに辞めるようなことはまず考えられないため、ここは回復トレンドに素直に乗る。これを優先したい。 ●押し寄せる外国人観光客、その宿泊需要でメリットを享受 では、どこに投資したら良いのか。その答えは、訪日する外国人観光客の動きが教えてくれている。ゴールデンウィーク期間中にも問題となっていたが、ホテル代の高騰がある。いま全国各地に外国人観光客が押し寄せ、ホテルや旅館の予約が非常に難しくなっているのだ。それに宿泊料金も目玉が飛び出るほど高い。一人一泊5万円、10万円はザラだというのだから、一般の日本人の感覚からすると正直「う~ん、ちょっとなあ」となる。 では、 ホテル関連株はどうなっているのか。株価は上がってはいるものの、人気化まではしていない。ホテル関連株だけでなく、インパウンド関連株は総じて不人気だが、今回は先を見据えて外国人観光客が宿泊したり、飲食やショッピングを楽しんでいる企業への投資をお勧めしたい。 そこで、まずはREIT(不動産投資信託)の星野リゾート・リート投資法人 <3287> [東証R]だ。REITは株式と同じに売買できるので、投資する場合も株と同じ取り組みでよい。REITの多くは主に商業ビルやマンション、物流倉庫などに投資するタイプになるが、星野リゾート・リート投資法人は名称で明らかなように、「リゾナーレ」「界」など星野リゾートが運営する高いブランド力を持つホテルに投資して収益を伸ばしている。株価も続伸が見込める。 REITではなく個別の株では、共立メンテナンス <9616> [東証P]がある。企業や学生向けの寮運営とホテル事業の両輪経営で知られ、運営するビジネスホテル「ドーミーイン」は出張族に高く評価されているが、最近では予約するのが難しいとのこと。当然収益も好調なので、株は押し目を見逃さないようにしたい。 ホテルといえば、帝国ホテル <9708> [東証S]とかプリンスホテル、京王プラザホテルなどが頭に浮かぶが、もちろん新たなホテルもどんどん増えている。「KOKO HOTEL」もそんなホテルの一つ。このホテルを運営するのが、ポラリス・ホールディングス <3010> [東証S]だ。ホテル事業と不動産事業を営んでいて、いまはホテルが好調。値上げにより客室単価が上昇し、不動産の苦戦を補っているため、株価は緩やかな上昇が見込める。 もちろん、前述したプリンスホテルも忘れてはなるまい。運営するのは西武ホールディングス <9024> [東証P]。株価は値動きがスローで少々忍耐が必要になるが、客室単価の上昇が続いていることから株価は続伸すると見てよい。 最後に、オリエンタルランド <4661> [東証P]を。この会社は東京ディズニーランド・シーに加え、ディズニーアンバサダーホテル、東京ディズニーシー・ホテルミラコスタなど、多数のホテルを運営していて収益寄与は大きいが、株式市場はディズニーランド・シーの入場者増だけに着目しがち。だが、ここはホテル事業にも目を向けたい。同社運営ホテルの宿泊客たちは客室単価の上昇などさほど気にしない人たちが多いからだ。 2025年5月9日 記 株探ニュース