【杉村富生の短期相場観測】 ─キーワードはTOB、M&A、MBO!

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コラム

「キーワードはTOB、M&A、MBO!」

●決算発表が佳境を迎える!

 GW(ゴールデンウィーク)が終わると、実質的に後半相場がスタートする。3月期、および1-3月期(四半期)の決算発表が相次ぐだけに、その内容次第によっては物色傾向が変わる可能性がある。特に、今年はトランプ関税の行方、世界景気の動向が不透明だ。為替は読みづらい。政治は揺れている。日本は7月の参院選挙がポイントだろう。

 決算発表(プライム市場)は5月8日の87社に続き、9日が181社、12日が126社、13日が193社、14日が159社、15日が140社の予定となっている。注目のトヨタ自動車 <7203> [東証P]は8日に、3月期決算を発表した。2026年3月期の見通しは連結営業利益が前期比20.8%減の3.8兆円、最終利益が同34.9%減の3.1兆円である。

 意外と厳しい。しかし、これはやむを得ない、と思う。会社側は「関税の詳細が流動的だ」とし、「先を見通すのが難しい」とコメントしている。なお、関税の影響は4~5月分(1800億円の減益要因)のみ織り込み、対米輸出台数は50万台、為替は1ドル=145円が前提になっている。配当は5円増の95円とする。

 減益予想とはいえ、株主優遇姿勢は変わっていない。今回、自社株買いの発表はなかったが、考慮しているのは確かだろう。すでに、減益予想の三菱商事 <8058> [東証P]は1兆円、今期予想が非開示の野村ホールディングス <8604> [東証P]は600億円の自社株買いを発表済み。

 もちろん、好調組は負けていない。増益予想の第一三共 <4568> [東証P]は2000億円、富士通 <6702> [東証P]は1700億円、日立製作所 <6501> [東証P]は3000億円を上限に自社株買いを行う。資本効率改善の動きは継続している。これが株高を支える。信越化学工業 <4063> [東証P]の自社株買いは5000億円である。

●アメリカとイギリスの関税交渉が決着!

 日経平均株価は3万7000円台に乗せ、力強い動きをみせている。アメリカとイギリスの関税交渉が決着、この効果は大きい。NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信 <1570> [東証E]は2万4400円まで上昇した。4月7日の安値は1万6565円だ。上昇率は47.3%に達する。個別銘柄は当たりハズレが生じる。

 株価暴落の場面(25日移動平均線とのマイナスカイリ率10~15%)では日経レバの買い下がり戦術が有効と主張してきた。今回も大成功だったじゃないか。そう、投資家の皆さんの背中がゾクッゾクッとし、ギョッとするような商状のときは買うに限る。極端なマイナスカイリ率は「富の源泉」となる。まあ、高いところは売れば良いではないか。

 さて、1~4月相場(昨年12月30日→今年5月2日)における値上がり率ランキング(50傑)をみると、プライム市場銘柄が7銘柄にとどまったのに対し、スタンダード市場、グロース市場の活躍が目立っている。今年前半の全般相場は調整、小物が人気を集めた、との見方ができる。この傾向は継続するだろう。

 特にTOB、M&A、MBO(マネジメント・バイアウト)のケースが続出、ランキングには12社が入った。資本政策の活発化を意味する。豊田自動織機 <6201> [東証P]のMBOの方針は愛知製鋼 <5482> [東証P]の株価を刺激し、豊田自動織機が大株主のユー・エム・シー・エレクトロニクス <6615> [東証P]が人気化した。

 NTT <9432> [東証P]はNTTデータグループ <9613> [東証P]を完全子会社とする。NTTデータグループの子会社のネットイヤーグループ <3622> [東証G]、エヌ・ティ・ティ・データ・イントラマート <3850> [東証S]が思惑を呼ぶのは間違いない。親子上場の解消があって、この種の案件は増えるだろう。

 ウイングアーク1st <4432> [東証P]、シンプレクス・ホールディングス <4373> [東証P]、SCSK <9719> [東証P]、note <5243> [東証G]、AIストーム <3719> [東証S]、トライアルホールディングス <141A> [東証G] 、ワールドホールディングス <2429> [東証P]はM&A戦略を推進中だ。中・長期的に利益成長、飛躍が期待できる。

2025年5月9日 記

株探ニュース

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