【杉村富生の短期相場観測】 ─金融マーケットの波乱は収束に向かう!(訂正)

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コラム

「金融マーケットの波乱は収束に向かう!」

●トランプ大統領の“暴走”は止められる!

 世界的な金融マーケットの混乱は収束に向かいつつある。NYダウ、 NASDAQ指数は落ち着きを取り戻すだろう。ドナルド・トランプ大統領の“暴走”は止められる。これが分かった意味は大きい。きっかけはドル、株価、債券の「トリプル安」だが、スコット・ベッセント財務長官、ハワード・ラトニック商務長官の“警告”が効いた、という。

 すなわち、4月9日、NYダウ先物が急落し、10年物国債利回りが大幅に上昇(債券価格の値下がり)、ドルが全面安(明らかに、キャピタル・フライト→資本逃避の状況)となった日、両氏は事前の予告なしに大統領執務室に駆け込んだらしい。「非常事態です」と。大統領は相互関税の上乗せ部分の90日間延期を即決した。

 ジェローム・パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の「解任騒動」では自説を引っ込めた。中国に対する145%の関税は「引き下げる余地がある」と財務長官に言わせている。市場関係者の間では「政策が二転、三転するために、不確実性が増している」との批判が聞かれる。しかし、これはマーケットの声に敏感に反応している、といえないか。

 その声とは? アメリカ市場の時価総額が3カ月間に1500兆円吹っ飛ぶ、ドルの全面安、10年物国債利回りが4.5%に、VIX(恐怖)指数の急騰(4月初旬には50%超の異常値が出現)などだ。さらに、支持率の急低下(42%に)、共和党支援者の「こんな惨状を望んで献金したわけではない」といった非難もあろう。

 一方、日経平均株価は4月7日の瞬間安値3万0792円がボトムになったのは間違いない。窓を空けて急落するのは通常は「三空」までだが、今回は「五空」だった。それだけマーケットがパニックに陥っていた、ということだろう。すでに「四空」の窓の上限(3万5426円)を上回ってきている。昨夏と同じパターンである。

●日米両市場とも戻りを試す展開に!

 アメリカ市場はトランプ大統領の軟化姿勢、パウエル議長のハト派転換(手打ち?)に加え、サービスナウ、テキサス・インスツルメンツ、ラム・リサーチなど、ハイテク系セクターの堅調ぶりが伝えられている。東京エレクトロン <8035> [東証P]、ソフトバンクグループ <9984> [東証P]が日経平均株価を押し上げる。

 もちろん、基本的な投資戦術は「突っ込み買いの吹き値売り」である。そのメドは再三指摘しているように、25日移動平均線とのマイナスカイリ率になる。マイナスカイリこそが「富の源泉」である。背中がゾクッ、ゾクッとし、皆が「もうダメだ」と叫ぶ局面を買う。そして、「相場は強いぞッ」と安心した時は静かに売る。

 さて、連休中の5月3日に、バークシャー・ハサウェイはネブラスカ州オマハにおいて株主総会を開催する。2日間にわたって開かれる総会には約4万人が参加し、オマハの街はイベント一色となる。ウォーレン・バフェット氏の投資哲学、人生観、国際情勢についての見識などが焦点となるほか、投資家同士の交流の場として活用できる。

 彼は昨年夏~秋にアップルを売りまくり、約50兆円の現金を積み上げた。次に何を狙うのか、どこに行くのか、その感触を探りたいと思う投資家は多いはずだ。それと、バフェット氏の後継者に指名されているグレッグ・アベル氏がどんなコメントをするのか、ゴールデンウィーク中だが、注目が怠れないだろう。

 商社株以外では保険、銀行など金融セクターを狙うのではないか、という。具体的にはみずほフィナンシャルグループ <8411> [東証P]、東京海上ホールディングス <8766> [東証P]などがターゲットになろうが、この予測は難しい。なにしろ、「株式の保有期間は永遠」と主張する人物だけに、銘柄選びは慎重になる。

 このほか、個別銘柄では経営者(大株主)が交代し、飛躍が期待できるココナラ <4176> [東証G]、AIストーム <3719> [東証S]、サーキュレーション <7379> [東証G]、nms ホールディングス <2162> [東証S]などに妙味があろう。グロース市場の場合、上場基準(時価総額)の厳格化が思惑材料になろう。

2025年4月25日 記



株探ニュース

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