【緊急インタビュー】日経平均暴落、下値メド&反発の条件とは 東洋証券・大塚竜太氏 <相場観特集>

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コラム

―トランプ関税の影響どこまで、3万円台割れはあるか―

 7日の東京株式市場は想定を超える急落に見舞われ、日経平均株価は一時3万792円まで3000円近く暴落する場面があった。昨年8月5日の取引時間中に3万1156円まで売り込まれる場面があったが、きょうはその水準をも下回った。その後は下げ渋ったものの、終盤に売り直され市場センチメントはかつてなく冷え込んでいる。トランプ米政権が打ち出す容赦ない高関税政策に対し、中国が米国と同水準の報復関税を発表したが、今後欧州やカナダなどこの動きに追随する関税合戦も予想され、貿易戦争の様相が一段と強まりそうな気配となっている。世界的なリスク回避ムードのなかで、日経平均はどこまで下値を試すことになるのか。また、株価反発に求められるものとは何か。ベテラン市場関係者2人に日経平均の下値メドと反発の条件について見解を聞いた。

●「トランプ政権の各国との交渉に期待」

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

 足もとの全体相場の下げは常軌を逸しているようにも見えるが、トランプ政権の打ち出す関税政策がそれだけインパクトのある悪材料となってしまっていることを意味する。ここに解決の糸口が見えなければ、なかなか本格反騰にはつながらない状況といえる。直近では中国が米国と同水準の34%の報復関税をかけることを発表し、貿易戦争への突入が現実味を帯びてきた。

 前週末の米国株市場はNYダウやナスダック総合株価指数など主要株価指数の下落率が欧州株市場を上回る形となり、東京市場もこのリスクオフの流れに直面する格好となった。日経平均が一気に3万円トビ台まで売り込まれる場面に遭遇したのは驚きだが、一部の投資マネーが狼狽して投げ売りを出し、下げが助長されたとみられる。米株価指数先物が一段と下値を売り込まれたことも投資家心理を悪化させた。

 米国ではこうした波乱含みの相場環境にあっても、直近でパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が利下げを急がないというスタンスを表明したこともセンチメント悪化につながったようだ。トランプ米大統領もFRBに利下げを促すようなコメントを発しているが、パウエル発言を受けて緊急的な利下げは見込みにくいという見方が強まった。ここは、やはりトランプ政権が各国との交渉によって関税合戦の状況を回避することが、米株市場ひいては東京市場が反騰局面に移行するための条件となる。

 全体相場の底入れがどこになるか、値幅的にも日柄的にも見極めることは難しいが、ひとつ注目しておきたいのは売買代金だ。前週末に東京市場(プライム市場)の売買代金は6兆8000億円台まで膨らんだ。きょうも6兆9000億円台と高水準で、短期的にはセリングクライマックスに近づいている感触はある。もう一波乱あるとしても日経平均の下値メドとして3万円大台は維持されるのではないかと考えている。一方、目先自律反発局面に移行した場合のパフォーマンスについて、新たに関税問題でポジティブな進展が見られない場合は、自律反発の領域を出ないだろう。上値は3万3000円台止まりではないかとみている。

 物色対象として、現在は全面安商状に売り込まれているので、リバウンド局面では業種を問わず一斉高で切り返す形となりやすい。しかし、中期的な視野も含めると、やはりトランプ関税の影響が及ぶ半導体や自動車株は、この問題がはっきりするまでは買いを控えておくのが無難だ。相対的に三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]などメガバンクの下げは押し目買い下がりの対象として有力とみている。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。





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