【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─「安住の地」を求める株式市場の旅、キーワードは“ファン”

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コラム

「『安住の地』を求める株式市場の旅、キーワードは“ファン”」

●「俺様政策」のリスクを回避

 「安住の地」はどこにあるのか。トランプ大統領の治世下でそんなところなどあるのか。こう嘆きたくなる状況だが、だからこそ探し求めたくなるのが「安住の地」だ。美しい花が咲き乱れ、ポカポカと暖かく、テーブルの上には季節の果物、そして欲を言わせてもらえるならハーゲンダッツが食べ放題……。そんな桃源郷を求めているわけではない。ただただ株が乱高下しないだけでよい。

 こんなことを望んでしまうのは、ともかくトランプ大統領のハチャメチャともいえる「俺様政策」の影響から逃れたいからだ。でなければ投資成果はなかなか上がらないばかりか、大事な資金を失ってしまいかねない。

 では、企業にとって「安住の地」とはどのようなものか。企業が提供する製品やサービスを求めるファンが存在し、それもよほどのことがない限り、それらの購入を止めない強固な顧客たちがいることだ。たとえば、かつてのAKB48のファンたちのような。企業はこうしたファンに支えられている限り、トランプ大統領が非常識な発言を行い、政策を実行したとしてもその影響は限られる。

 新興企業やさほど知名度が高くない企業でも、超魅力的な製品、サービスがあるなら、いずれそれは需要拡大の要因となるので、株も魅力的となる。そして、トランプ大統領があれこれ発言しても、「えっ、トランプがまた何か言ったの?」で済む。果たしてそんな企業が東京市場にあるのか。こう思われるかもしれないが、もちろんある。しかも、多数だ。

●必需の製品を持ち、ファンが支える企業に着目!

 そこで、まずはその一つ。中外炉工業 <1964> [東証P]だ。工業炉のトップ企業ながら、もちろんわれわれが同社の工業炉を購入することは、まずない。しかし、鉄鋼業、その他の製造業でも熱処理を必要とする企業にとっては、「この会社の炉がなくては困る」となる。ゆえに株価はすでに高値圏ながらさらなる上昇が見込める。

 産業用テープで知られる日東電工 <6988> [東証P]も、魅力的な製品を有するため投資対象として有望だ。製品は両面テープをはじめ、偏光フィルムなど多彩。シェア首位のニッチ製品を数多く持ち、少量生産ながら顧客から見るとほとんどがなくてはならない必需品だ。ゆえに需要も堅調で、株価も期待が持てる、となる。

 都心を中心に中古区分マンションを取得し賃貸、退去後にリノベーションして売却するビジネスモデルで収益を伸ばすスター・マイカ・ホールディングス <2975> [東証P]も、PERはまだ8倍台。どう考えても評価が低すぎる。中古マンションがリノベーションによってピカピカに輝くのだから、購入者は飛びつくはずだ。

 私は近くの下水道工事業者と親しくしているが、社長の話では下水処理や産業廃棄物処理の仕事はかなり儲かるとのこと。年々競争が少なくなって、仕事が絶えないのだそうだ。この観点から注目したいのは、ミダックホールディングス <6564> [東証P]だ。浜松市に拠点を置き、産業廃棄物の焼却・排水処理などに強く、東海地域だけでなく関東進出にも意欲的。女性社長が主導する企業価値向上を図る経営が着々と成果を上げているだけに、株価はさらなる高値が見込める。

 最後に、エコナック <3521> [東証S]を。かつて日本レースと呼ばれ、高級なレース製品で有名な企業だった。しかし、レース需要の低迷により業績不振に陥り、危機的状況にあった。しかし、2001年に社名をエコナックに変更。2015年に事業を根本から見直し、なんと浴場経営に転換したのだ。

 現在都内で「テルマー湯 新宿」「テルマー湯 西麻布」の2店を運営しており、ともに有名店となっている。最近では外国人たちの間でも人気で、収益も回復。25年3月期は実に56年ぶりの復配が予定されている。配当額は5円ながら、株主にとっては考えられなかった復配となるだけに、株式市場の評価も現状より高まる可能性が高い。実際そうなれば、文字通り都心の一等地にある高級感あふれるお風呂で、安住の地にたどり着けた安堵感に浸れるだろう。

2025年2月28日 記

株探ニュース

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