午後:債券サマリー 先物は急反発、長期金利一時1.405%に急低下 日銀総裁発言で乱高下
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21日の債券市場で、先物中心限月3月限は急反発した。日銀の植田和男総裁が衆院予算委員会での答弁で、長期金利が急激に上昇するといった例外的な状況になれば、機動的に国債買い入れ額の増加などを実施するとの考えを表明した。これを受け、金利の上昇(債券価格の下落)を見込んだ投資家によるショートカバーが入り、先物は朝安後に大きく切り返した。午後は上げ幅を縮小したが、日中の高安値幅は1円03銭と乱高下した。 植田総裁は前日の石破茂首相との会談後、記者団に対し、長期金利の上昇について話題には上らなかったと明らかにした。政府・日銀が、金利上昇を容認したとのメッセージと受け止めた投資家は、円債売りポジションを構築。更に、21日朝方に総務省が発表した1月の消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品を除くコアCPIが前年同月比で3.2%上昇となった。伸び率は前月から拡大し市場予想に対して上振れして着地。3月の決定会合で日銀が追加利上げに踏み切るとの見方が強まり、先物に下押し圧力を掛けた。開始後に先物は138円73銭まで下落した。 21日の国会答弁での植田総裁の発言は、「例外的な状況」との断りがついたものの、短期志向の投資家には、金利の急ピッチな上昇に対し日銀がけん制したと受け止められた。先物は午前に一気に139円76銭まで上昇する場面があった。この日は財務省による利付国債の入札や日銀の国債買い入れオペは行われなかった。国内は3連休前とあって午後は持ち高調整目的の売りが出て先物は上げ幅を縮小した。 先物3月限は前営業日比30銭高の139円24銭で取引を終えた。新発10年債利回り(長期金利)は朝方に1.455%まで上昇した後、日銀総裁発言を受け一時1.405%まで急低下。午後3時時点では前営業日比0.020ポイント低い1.420%で推移している。 出所:MINKABU PRESS