午後:債券サマリー 先物は大幅続落、日銀利上げ観測広がり長期金利1.245%に上昇
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31日の債券市場で、先物中心限月3月限は大幅続落した。日銀の利上げ観測が台頭するなかで売りが続き、午後に入ってからも下げ幅を拡大した。 日銀の氷見野良三副総裁が前日、経済・物価に関する日銀の見通しが実現していくのならば「それに応じて政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」と講演で発言。実質金利のある世界には距離があるとの認識も示した。日銀の早期利上げシナリオが意識されるなか、総務省が31日に発表した1月の東京都区部の消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品を除くコアCPIが前年同月比で2.5%上昇。伸び率は前月の2.4%を上回り、利上げ観測をサポートする形となった。 財務省が31日に実施した2年債入札は、小さければ好調とされるテール(平均落札価格と最低落札価格の差)は6厘で、前回(12月26日)の5厘から拡大。応札倍率は4.06倍となり、前回の3.95倍を上回った。順調な結果との受け止めが多く、中期債には下値を支える要因となった。 この日は日銀の植田和男総裁が衆院予算委員会に出席した。基調的な物価上昇率について、2%を下回っている、などの見方を示した。為替市場はドル高・円安に振れたものの、円債市場では先物が一段安となり、金利に上昇圧力を掛けた。トランプ米大統領が2月1日にメキシコとカナダに関税を発動するとの見方から、米長期金利は時間外取引で上昇(長期債価格は下落)しており、円債売りを促す要因となった。 先物3月限は前営業日比34銭安の140円67銭で取引を終えた。新発10年債利回り(長期金利)は同0.035ポイント高い1.245%に上昇した。 出所:MINKABU PRESS