ドル円は一時153円台に下落 FRBでも日銀でもなくリスク回避の円高=NY為替概況

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ドル円は一時153円台に下落 FRBでも日銀でもなくリスク回避の円高=NY為替概況

 きょうのNY為替市場、ドル円は売りが強まり、一時153円台に下落する場面も見られた。ドル売りも去ることながら、円高の動きがドル円を押し下げていた。ただ、FRBでも日銀でもなく、本日の株式市場が不安定になっており、米国債利回りも低下していることで、リスク回避の円高が出ている格好。

 米株式市場はIT・ハイテク株中心に売りが広がった。中国の新興企業ディープシーク社が先週、オープンAIの技術と競合可能とする最新AIモデルを発表。同モデルが最先端の半導体を搭載していなくても実行可能で、コスト効率が良いとの観測が広がった。これまでのエヌビディア<NVDA>を含むハイテク企業の優位性に疑念が生じている。今週は大手IT・ハイテク企業の決算も控えており、市場には警戒感が広がっていたようだ。

 明日からFOMCが始まり、29日に結果が発表される。市場では今回は据え置きを確実視しているが、先日の米雇用統計が強い内容となったことで、一部からはタカ派な姿勢も垣間見せるのではとの意見も出ている。しかし、エコノミストからは、FRBは慎重姿勢を堅持し、追加利下げの可能性は排除しないとの指摘も出ていた。

 ここ数週間、FRBは明らかに過去のFF金利の変更が労働市場やインフレにどのような影響を与えたかを評価するために、利下げを一旦停止するシグナルを送っている。しかし、最近の米消費者物価指数(CPI)の発表で、インフレに関するより良いニュースが得られたことを踏まえると、FOMCの声明およびパウエル議長の会見は、予想ほどタカ派でもなく、利下げに可能性を残したものになるだろうと述べている。

 きょうもユーロドルは買い戻しが強まり、一時1.05ドル台を回復。ただ、先週末に引き続き1.05ドル台に入ると売り圧力も強まり、水準を維持できていない。目先は1.05ドルを完全回復できるか注目される。

 ECBの利下げ観測が後退しているほか、米国によるユーロ圏への関税措置が従来考えられていたほど早期に発動されることはないとの見方がユーロドルを支えている。バリュエーションやテクニカル面からも、ユーロショートがやや行き過ぎていたことから、買い戻しが膨らんでいるようだ。ただ、あくまで短期的で自律反発の域は出ないとの見方も多いことも事実。

 今週はECB理事会が予定されており、利下げが確実視されている。ただ、その決定が大きな反応を引き起こす可能性は低いとの指摘も出ている。短期金融市場はECBが中銀預金金利を2.75%にする確率を90%程度織り込んでいる。今回の利下げは投資家に広く予想され、ECB理事によっても非常に示唆されていた。そのため強い市場反応を引き起こすことはないという。

 ポンドドルも先週の買い戻しの流れを継続。ただ、本日も1.25ドル台を一時回復したものの、その水準では戻り売り圧力も強く、いまのところ1.25ドル台は維持できていない。ポンドに関しては今週のリーブス英財務相の演説が注目され、その内容が好評ならポンド高の可能性があるとの指摘も出ている。リーブス英財務相は水曜日に経済成長を促すための新たな経済政策を発表する。同財務相はインフラと計画制度改革に重点を置いた一連の施策を提示する予定。

 同財務相の最近の発言から、政治的には困難でも経済的には有益な決定を果敢に行う姿勢を滲ませており、計画の詳細と説得力のあるメッセージが期待される。リスクバランスはポジティブ・サプライズに傾いていると見ており、これはポンドがユーロに対して最近失った価値をいくらか取り戻すことを支援する可能性があるという。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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