脱手作りと推し活が追い風!季節需要で輝く「おせち」関連株 <株探トップ特集>

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コラム

―早まる商戦と多様化するニーズに対応、コスパ重視と贅沢消費の双方を取り込む企業に注目―

 日経平均株価をはじめ全体相場が方向感を欠き、上値の重い展開が続いている。日米がそろって利上げに踏み切るとの見方は市場に織り込まれつつあるものの、中東情勢リスクや為替の乱高下に振り回される形で、投資家のマインドも一進一退を余儀なくされている。

 物色の方向性も見極めにくいが、こうした局面で真価を発揮するのが、相場環境に左右されにくい確実な季節需要の発生する銘柄だ。特に、近年目覚ましい変容を遂げているのが「おせち料理」商戦といわれている。かつては11月ごろに本格化していた商戦だが、現在は8月下旬にデパート各社が翌年のおせちを発表。9月上旬には予約を開始しており、現在は秋口の風物詩となりつつある。消費者物価の上昇が続くなかでも、「正月の特別感」に対する消費支出は依然として旺盛であり、関連銘柄には注目だ。

●二極化と「推し活」で進化する百貨店おせち

 主要百貨店 が発売する2027年正月向けのおせち商品が8月24日にほぼ出そろった。各社ともに老舗料亭や名店の特選おせちのラインアップを拡充したほか、近年の世帯人数の変化やニーズの多様化に応じた商品を打ち出し、明確な戦略が読み取れる。

 三越伊勢丹ホールディングス <3099> [東証P]は近年需要が増加している「個食」や「少人数向け」に注目し、三越、伊勢丹ともに1人前・2人前の「少人数のおせちセレクション」を拡充。また、「冷凍おせち」のバリエーションを増やし、配送需要の取り込みに注力している。J.フロント リテイリング <3086> [東証P]の大丸松坂屋百貨店では、ウイスキー「山崎」とのペアリング重や「おつまみおせち」「肉づくしおせち」「スイーツおせち」、更には「パンと合わせて楽しむ」といった従来の枠にとらわれない食卓の楽しみ方も発信している。

 そごう・西武(東京都豊島区)は、弁当スタイルの「BENTOおせち」を初めて企画したほか、昭和・平成・令和の戦隊ヒーローに注目した「推し活おせち」を投入。高島屋 <8233> [東証P]も同様に「推し活」向けに「『ベルサイユのばら』55周年記念おせち」を販売するほか、健康志向の高まりを受けてローカーボ(低糖質)おせちなども販売する。

●「手作り」から「買うもの」へのシフトが追い風

 各社ともに共通しているのは、単なる伝統料理の提供にとどまらず、コスパ(コストパフォーマンス)重視のニーズと、高付加価値化による単価アップを図った「贅沢を楽しむ」ニーズの二極化する消費行動の双方を取り込む戦略をとっていることだ。その背景にあるのは、若年層を中心とした「おせち離れ」がある。

 紀文食品 <2933> [東証P]が25年1月に行った「お正月全国調査2025」によると、25年の正月に「おせち料理を食べた」と回答した人は全体の66.3%となり、3割強の人がおせちを食べなかったことになる。従来の伝統的な重箱おせちからの離脱が進んでいる様子が見て取れるだけに、各社はニーズに合わせた商品を展開することで需要を喚起する。

 また、おせちに対する考え方の変化にも対応している。楽天グループ <4755> [東証P]が運営する「楽天市場」が25年10月に行った「おせちに関する意識調査」において26年の年始に予定しているおせちの準備方法について尋ねたところ、最も多かったのは「一部を手作りし、一部を購入する」と回答した人で57.7%だった。次いで「すべて購入する」(39.6%)となり、「すべて手作りする」(10.2%)、「実家や親戚宅で用意されたものを食べる」(7.5%)を大きく上回った。かつておせち料理は、「家庭で手作りするもの」であったが、現在では「購入するもの」へとシフトしている。

 更に、手間の削減や時短へのニーズ、プロの作る味への関心の高さがおせちの購入に結び付いている。特に近年では、消費者の節約志向が高まるなかだけに、おせち商戦の重要性が増しているといえる。

●百貨店だけではないおせち関連銘柄

 百貨店各社にとって、おせちは年末商戦の強力な牽引役となるが、全体売上高のなかでは一部に過ぎない。そこで注目されるのが、おせち用食材メーカーやおせちを手掛ける中食企業など中小型のおせち関連企業だ。

 紀文食品は、水産練り製品の国内トップ。主力商品であるスリミ製品・総菜が冬季におでん・鍋物などに向けての需要が高まること、12月におせち料理関連商品の売り上げが集中することなどから、売上高・営業利益が第3四半期(10~12月期)に偏重する傾向にある。かまぼこや伊達巻などの伝統食材において圧倒的なシェアを誇るほか、近年は「キャラクターおせち」や「個別包装おせち」などの拡充で少人数向けにも対応。26年3月期の正月商品は過去最高売り上げを更新したとしており、27年3月期も連続最高売り上げ更新への期待が持てる。

 一正蒲鉾 <2904> [東証S]は水産練り製品国内2位で、カニ風味かまぼこでは首位を誇る。10~12月期(第2四半期)に正月用の高級かまぼこや伊達巻などの出荷が集中することから、紀文食品同様に売上高・営業利益がこの期に偏重する傾向がある。26年6月期のおせち商戦では、国産100%おせち「純」シリーズや高品質かつ値ごろ感のある「禄」シリーズが堅調。また、節約志向の強まりにより、手頃なセット商品や小サイズの伊達巻も伸長した。足もとで価格改定効果による採算改善が期待されている。

 石井食品 <2894> [東証S]は、ミートボールやハンバーグなどの食肉加工品が主力。既存領域における収益性改善と提供価値の向上の一環としておせちに取り組んでおり、26年3月期のおせち商戦では「一人前おせち」や「食物アレルギー配慮おせち」「食塩不使用おせち」など特定のニーズに対応した商品が好調に推移し、増収を確保した。また、足もとでは消費者の節約志向が家庭内での食事やイベントへのシフトを後押しし、同社商材の新たな需要獲得につながっている点にも注目したい。

 フジッコ <2908> [東証P]は、昆布や煮豆の総菜食品の大手。おせちでは、スーパーなどの店頭で「好きな具材だけを買い足す」消費者のニーズを捉え、「黒豆」や「昆布巻」において圧倒的なブランド力を持ち、高シェアを有している。26年3月期のおせち商戦では、「おまめさん 丹波黒黒豆」の売り場作りの早期展開に加えて、「かため食感」を好むニーズに応えた新商品「おまめさん 新味かため炊き丹波黒黒豆」を発売。同社は「おせち文化の継承・発展はフジッコの使命」としていることから、今期も商品ラインアップの拡充などが予想されている。

 ベルーナ <9997> [東証P]は大手総合通販で、グルメ専門通販「ベルーナグルメ」において提供するおせちは、販売実績31年を数え、累計販売数250万台を超える通販業界トップクラスの実績を有する。1万円台前後のリーズナブルな価格で提供するコスパの高さが評価されリピーターが多いのが特徴。また、早期予約(早割)による早期資金回収システムが確立されており、下期の業績を引き上げる強力なドライバーとなっている。

 オイシックス <3182> [東証P]は、ミールキットや有機・無農薬野菜などの定期宅配大手。同社にとっておせち商戦は、第3四半期(10~12月期)業績を大きく左右する要因となり、例えば26年3月期第3四半期決算では、おせちの売上原価の悪化が営業減益の要因の一つとなったが、25年3月期第3四半期ではおせちの好調が利益押し上げに寄与した。素材の安全・安心にこだわった高価格帯おせちは顧客のリピート率も非常に高く、おせちの予約状況が下期業績の先行指標にもなり得ることから、その動向には要注目だ。

 このほか、業務用食品卸大手で、ホテル・料亭向け高級おせち食材や資材のほか、プライベートブランドで「おせち燦 一段重」や「ムースおせち燦 一段重」などを展開する尾家産業 <7481> [東証S]や、湯葉と豆腐を生かした高級おせちを展開する梅の花グループ <7604> [東証S]、「ディズニー」や「スパイファミリー」などの人気コンテンツとコラボレーションした「キャラクター推せち」を展開する千趣会 <8165> [東証S]なども注目したい。

株探ニュース

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