明日の株式相場に向けて=Drカッパー躍動、非鉄株爆騰の原動力に

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 きょう(9日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比126円安の6万5142円と続落。日中値幅としてはそれほど大きくはないが、強弱不明の地合いで、どっちつかずの何とも面妖な値動きに終始した。今週末11日にメジャーSQ算出を控え、きょうは俗に言う「SQ週の魔の水曜日」にあたる。水面下では相応の駆け引きがあったはずだが、表向きはそれを忘れさせる狭いゾーンで日経平均は往来を繰り返した。直近でフーシ派によるサウジアラビアのエネルギー施設攻撃や、米軍によるイランのタンカー攻撃という原油高騰につながる材料はあったが、マーケットでは幸いにも火の手は上がらなかった。前日の米国株市場ではインテル<INTC>が9%高、アプライド・マテリアルズ<AMAT>が4%高に買われるなど半導体関連株が粘り腰を発揮し、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が4日続伸で25日移動平均線をブレイクするという特異な強さをみせたことが、東京市場でも売り方の気勢を削いだ。加えて今回のSQに関してはロールオーバーが進展していることで、振り回される対象のパイが小さかったということもプラスに作用したようだ。

 そうしたなか、今朝方に市場関係者の間で地味に話題となっていたのが日銀から公表された8月のマネーストックである。現金と金融機関すべての預金を合算した「通貨供給量」、いわゆるM3の伸び率は3カ月連続で伸びが鈍化した。ただ、そのなか広義流動性のうち「金銭の信託」が前年同月比12%増と2ケタ伸長を示した。貯蓄から投資へと向かう轍(わだち)がくっきりと刻まれている。

 また、「投資信託」に関しては13.9%増で、残高にして127兆6000億円と過去最高を記録したことも報じられた。個人マネーの在処(ありか)が大移動を始めていることを示唆するものだ。くしくも、足もとではAI・半導体一極集中のモメンタム相場の巣窟から脱し、循環物色の輪が広がっており、これは鉄火場を好まない“普通の投資家層”の参戦を促す土壌が醸成されてきたことを意味する。日銀による利上げ圧力は確実に高まってはいるが、変な恐怖心を持たず無理もしない個人マネーの流入が常態化し、株式市場の支えとなる構図が見えてきたことは福音といえる。

 個別株に目を向けると、プライム市場の売買代金上位を占めるAI・半導体関連は高安まちまちであったが、これは一極集中相場の路線から外れ、ある意味健全な地合いということもいえる。きょうの日経平均寄与度の上位10傑をみると、プラス寄与度とマイナス寄与度いずれもAI・半導体関連の主力株が名を連ねていた。これが全体相場の微妙なバランスを保つ背景となっている。他方、三菱重工業<7011.T>やIHI<7013.T>をはじめ防衛関連株に高い銘柄が目立ったほか、業種別では非鉄株の強さが際立った。業種別騰落で非鉄は33業種中、一頭地を抜く上昇率を記録したが、その理由の一つにここ急速に上げ足を強めている銅市況の動向が反映されている。

 金、銀、銅のメタル市況に関して言えば、一時期は金・銀価格の高騰が株式市場でもテーマ性を発揮していたが、足もとではいずれも調整後の戻り局面で、以前のような喧騒に包まれた状態ではない。だが、これに代わって今は銅市況の上昇に弾みがついており、国際指標であるLME(3カ月先物)の銅価格は週明け7日に史上最高値を更新、前日(8日)も上昇するなど連日で最高値街道を邁進している。銅は建設や自動車、産業機械、電子機器、電力向けなど広範にわたって高水準のニーズがあり、その需給動向は世界経済のバロメーターとなり得ることから、ドクター・カッパーと称されているのは周知の通りだ。ここでも中国の爆食経済が大きく影響しているが、皮肉にも中国を意識したトランプ関税も銅価格高騰のトリガーとなっている。そして、言うに及ばず、近年は生成AIの必須インフラであるデータセンター向けなどで需要が膨張している。金や銀とは背景が異なるが、AI時代の到来で銅市況の上昇は構造的に続く公算が大きい。

 きょうは代表格の住友金属鉱山<5713.T>、三菱マテリアル<5711.T>などが買われたほか、JX金属<5016.T>、三井金属<5706.T>、DOWAホールディングス<5714.T>なども同じベクトルで資金が流入し値を飛ばした。このほか、アサカ理研<5724.T>も銅リサイクル関連として新たなテーマ買いの切り口を持つ。また、銅を中心とするインゴットの製造販売を手掛けるMERF<3168.T>や、伸銅などを扱う専門商社の白銅<7637.T>、継続してアルコニックス<3036.T>あたりもマークしておきたい。

 あすのスケジュールでは、週間の対外・対内証券売買契約が朝方取引開始前に開示される。前場取引時間中に日銀の増一行審議委員が福井県金融経済懇談会で挨拶を行い、午後に記者会見が予定されている。このほか8月のオフィス空室率(三鬼商事調査)が公表される。個別にタイミー<215A.T>の26年5~7月期決算、積水ハウス<1928.T>の26年2~7月期決算が発表される。海外ではECB理事会の結果発表とラガルドECB総裁の記者会見に耳目が集まるほか、トルコ中銀も政策金利を決定する。米国では週間の新規失業保険申請件数、8月の卸売物価指数(PPI)、7月の卸売在庫・売上高、8月の中古住宅販売件数などが注目される。米30年物国債の入札も行われる。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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