驚愕の大発見から20年、新局面に突入する「iPS細胞」関連妙味株6選 <株探トップ特集>
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―商用段階に入り社会実装目指す、次世代医療を支える最先端バイオ技術として再注目― 「iPS細胞」が発見されてから今年で20年の節目を迎えた。再生医療分野での「世紀の大発見」とも呼ばれたiPS細胞を巡る開発競争は新局面を迎えている。iPS細胞は、体のあらゆる細胞に分化できる「万能細胞」であり、次世代医療を支える最先端のバイオ技術となるものだ。iPS細胞を巡る現状を探った。 ●心筋細胞シート「リハート」は9月から保険適用に 世界を驚愕させた「iPS細胞」に関する論文を京都大学の山中伸弥教授が2006年に発表してから20年になる。同教授は、その功績が評価され12年にはノーベル生理学・医学賞に輝いた。時の流れの速さを感じる向きは少なくないだろうが、話題を集めたiPS細胞は商用化段階に入りつつあり、真の実力を発揮するのはこれからだといえる。例えば、クオリプス <4894> [東証G]が開発した重症心不全を対象とするiPS細胞由来の心筋細胞シート「リハート」が9月1日から公的医療保険の対象となる。 対象は標準治療で効果が不十分な虚血性心筋症による重症心不全患者で、移植した細胞が分泌する因子によって状態改善を促す。iPS細胞由来の製品が保険対象となるのは5月に住友ファーマ <4506> [東証P]が開発したパーキンソン病向け再生医療製品「アムシェプリ」に対して適用されたことに続くものとなる。iPS細胞が実際に社会に具体的な価値を提供していく「医療品」へ転じる意味は大きい。 実用化を後押しする製造技術も同時に進化している。例えば、理化学研究所などは、iPS細胞由来の三次元人工心筋組織に高圧・短時間・間欠的な刺激を与える「加圧トレーニング」を開発した。1日1時間を3日間、合計3時間の刺激によって、心筋細胞の整列やミトコンドリア機能、収縮力を高め、胎児型に近かった人工心筋を成人心筋に近い状態へ成熟させた。 ●原因不明の疾患を解明し治療候補を探す創薬基盤に 更に、患者由来iPS細胞から疾患に関係する細胞を作製し、病態の一部を体外で再現する「疾患モデル」としての活用も広がっている。京都大学などは、希少な遺伝性網膜疾患で患者由来iPS細胞を活用し細胞内の不要物を分解するリソソーム機能の低下が病態の中心にあることを突き止め、リソソーム機能を活性化するトレハロースによって沈着物形成や細胞死を抑えられることを示した。iPS細胞は単に失われた組織を補うだけでなく、原因不明の疾患を解明し、既存薬を含む治療候補を探す創薬基盤にもなる。心臓、神経、眼、がん、希少疾患へと広がる研究の厚みは、iPS細胞が単一の治療法という位置づけではなく、次世代医療を支えるプラットフォームであることを物語る。 ただ、米国や中国も巨額の研究開発投資を進めるなか、日本が基礎研究の果実を刈り取っていけるかが問われている。7月28日、iPS細胞の生みの親である山中教授は高市早苗総理と面会し、国の継続支援と民間投資の必要性を訴えた。政府の日本成長戦略でも、バイオや創薬・先端医療は17の戦略分野に位置づけられており、まさに注目の領域の一つだ。以下では「iPS細胞」関連銘柄にスポットライトを当てた。 ●ハートシードやケイファーマ、日産化など注目 クオリプス <4894> [東証G]~大阪大学発のバイオベンチャー企業。iPS細胞技術を活用した再生医療等製品の研究開発・製造販売、及びその周辺技術の産業化を主軸として展開している。25年4月、厚生労働省にiPS細胞由来の心筋細胞シート「リハート」の再生医療等製品製造販売承認申請を行い、26年2月に「条件期限付き承認」を取得、3月には厚労省から日本での条件期限付き承認を正式に取得した。7月に27年3月期の連結最終赤字予想の縮小を発表した。 住友ファーマ <4506> [東証P]~パーキンソン病患者向けにiPS細胞由来の世界初の製品となる「アムシェプリ」について、26年3月に製造販売承認を取得。アムシェプリの具体的な臨床スケジュールとしては、10月にも京都大学医学部附属病院で1例目の移植手術が実施される予定と伝えられている。 ケイファーマ <4896> [東証G]~慶応大学医学部発のバイオベンチャー。iPS細胞を移植する「再生医療」だけでなく、iPS細胞を使って薬の候補を見つける「iPS創薬」という2つのアプローチで中枢神経疾患・神経難病の克服に挑んでいる。 Heartseed <219A> [東証G]~慶応大学発のバイオベンチャー。6月に虚血性心疾患に伴う重症心不全を対象に開発中の他家iPS細胞由来心筋球「HS-001」に関して、安全性及び有効性を評価するために実施した第1/2相試験の解析結果を発表。製造販売承認申請に向けた方針に影響を及ぼす安全性上の懸念は認められなかった。26年中の製造販売承認申請を目指す。 日産化学 <4021> [東証P]~独自の機能性ポリマー(FP)をベースとした、接着非依存性細胞の3D懸濁培養用細胞培養材料を手掛けている。また、23年3月には同社が開発した「prevelexCC1」が、ハートシードによるiPS細胞由来心筋球を製造するための材料として用いられたと発表している。 カネカ <4118> [東証P]~iPS細胞などの多能性幹細胞の大量培養に関する特許を18年に日本で取得。ヒトiPS細胞などの多能性幹細胞を液体培養する際、10億個以上の幹細胞を効率よく、低コストで大量培養することを世界で初めて可能にした。京都大学iPS細胞研究所と共同で、iPS細胞を活用して病態に影響を与える物質を選択するため、自動分化誘導培養装置の開発も行っている。 株探ニュース