「骨太」本格始動で物色人気再燃、上昇相場第二波に乗る造船株7選 <株探トップ特集>
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―経済安全保障強化の国策は不変、需給調整一服し出直り局面到来へ― 先日発表された高市政権の「骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針2026)」。“骨太ショック”と言われる副作用を生んだことも事実だが、光明は重点分野に挙げられていた17の成長領域への政府支援が名実ともに始動したことだ。中でも「防衛産業」、「海洋」、「造船」、「港湾ロジスティクス」などの分野が当てはまる、造船関連セクターには大きな恩恵が期待される。経済安全保障強化という政府の大方針も追い風に、4月以降のAI・半導体一極集中相場で調整を余儀なくされていたこのセクターへの見直し機運が高まっている。 ●「高市トレード」の信用期日明け間近 AI・半導体関連株の乱高下によって日経平均株価は高値波乱の様相を呈している。そもそも日経平均が7万円を超えた6月半ば時点でも、全ての投資家がホクホクというわけではなかった。年初来高値を更新した銘柄はむしろ少数派で、更新できない銘柄の方が圧倒的な多数派だった。 造船関連株は1~3月に多くの銘柄が過去最高値をつけたものの、その後は株価急騰の反動を受け、下落幅が特に大きくなった。総じてファンダメンタルズは変わらず良好だが、この間の調整で株価を半値以下に下げた銘柄も散見される。個人投資家が主体となる中小型株では、3月までの上昇局面での信用買いが需給面での重石になったとみられる。 証券取引所が対象銘柄を選定する制度信用取引では、返済期限は最長6カ月と定められている。買い建てたポジションは半年以内に反対売買などで清算しなければならない。この半年という需給の節目を通過することで、造船関連株の上値を抑えていた重石は外れる。国策の追い風が変わらないなか、売り一巡後には株価が再び力強く上昇へと転じる公算が大きい。 ●日本は世界有数の造船関連クラスター 造船業界は世界的な中長期サイクルが上向きで推移しており、造船各社では「先物」と呼ばれる長期受注が積み上がっている。過去のサイクルは約20年ごとにピークをつけており、前回のピークが2010年だったことから考えると、30年ごろまでは好況となる。日本造船工業会によると、30年代から40年代半ばまで、需要の高原状態が続くと予測されている。 造船大手と言えば、三菱重工業 <7011> [東証P]、川崎重工業 <7012> [東証P]、IHI <7013> [東証P]などの総合重機メーカーを連想するのが一般的だろう。だが、これら重工系メーカーは、いずれも祖業の造船は縮小・撤退傾向で、全社業績に占めるウェイトは小さい。いずれもセクターとしては、航空・宇宙・防衛などに分類すべきである。 半面、船を造るには、船舶本体だけではなく、船舶に搭載される多くの機器が必要になる。その点では日本国内には世界でも有数の産業集積がある。実際、国土交通省の資料によると、日本の造船所は資機材の9割以上を国内から調達しているという。遅ればせながら、造船業そのものに対する政策支援に加えて、こうした船舶関連機器への政策支援も始まっている。 ●1月高値から半年経過、中東リスクはすでに払拭か 日本の「造船関連クラスター」を形成する銘柄群の先鋒としては、古野電気 <6814> [東証P]に注目したい。漁船やボートに搭載される魚群探知機で有名だが、レーダーや電子海図など大型商船向けの電子機器でも世界有数で、防衛関連の受注も増加している。1月の高値8900円から6月安値5470円まで下げた後、足もとで戻り歩調が鮮明となっている。先ごろ発表された27年2月期第1四半期(3~5月)決算は前年同期比で21.8%の増収、65.3%の営業増益と業績好調ぶりが確認された。新造船が増えるとともに、電子機器の搭載も増えるという好循環が続いている。すでに下げ幅の3分の2戻しを達成済みであり、今後は昨年10月の1万20円の最高値更新も視野に入る。 船舶用塗料では国内外でトップクラスの中国塗料 <4617> [東証P]も外せない。1月高値4795円から5月安値2894円をつけ、底を打った。中東情勢に起因する原材料調達などの不透明感を考慮し、27年3月期純利益予想は未定とされていたが、7月3日に業績予想の修正を発表。売上高は従来予想レンジ上限の1600億円(前期比14.8%増)、純利益はほぼ前期並みの110億円を見込む。過度な業績悪化リスクは払拭されたと言えよう。新造船向け塗料の拡大に加え、環境規制対応で省燃費が見込める同社の高付加価値塗料の採用が増えている。原料価格上昇はあるものの、数量増加と販売価格引き上げで吸収できそうだ。株価は下げ幅の半値戻しを一時達成しており、7月31日に発表される第1四半期決算で好業績が確認できれば、戻り足が加速する可能性がある。 ●造船専業の上場企業2社にも株価反発の勢いが 数少ない造船専業の上場企業として、内海造船 <7018> [東証S]もマークしたい。時価総額200億円台と小粒ながらフェリーやRORO船(貨物を積んだトラックやトレーラーごと輸送する船舶)などに強く、船種の幅広さに定評がある。1月高値1万9160円から6月安値8150円へと株価は半値以下に調整したが、足もとでは1万円の大台を回復してきた。26年3月期業績は絶好調だったが、中東情勢などのリスクを考慮して今期業績については慎重な見通しを開示している。しかし、前期受注は前年比67%増、受注残高は同34%増を確保しており、高付加価値船へのシフトも相まって収益性向上が見込まれる。四半期決算で良好な実態が明らかになれば、株価の反発に勢いがつく可能性もあろう。 名村造船所 <7014> [東証S]は、2月高値6050円から6月安値3250円をつけ、株価の調整が進みつつある。多くの大手造船会社が造船事業からの撤退や事業縮小をするなかで、造船専業の看板を下ろさず、00年代に入ってからも函館どつくや佐世保重工業などの同業を傘下に収め、艦艇や商船の修繕などへと領域を拡大してきた。造船専業としては内海造と双璧と言われる。26年3月期業績は、新造船は堅調ながら修繕船が端境期で、生産体制整備によるコスト増加もあり、高水準横ばいとなった。今期は増収・増益の見通し。得意とする中型貨物船から大型貨物船や大型LPG船にも領域を拡大、舶用エンジン向けクランクシャフトの増産も図る方針だ。前期末の受注残高は前年比9%増、新造船では3年超を確保しており、コスト上昇はあるものの、増収と生産体制整備の効果が発現する見込みだ。 ●世界シェア3位ジャパンエンにも注目 ジャパンエンジンコーポレーション <6016> [東証S]は、2月高値1万7090円から6月安値6910円へと半値以下に沈んだが、足もとでは戻り歩調をたどりつつある。旧神戸発動機と三菱重の舶用エンジン事業の統合会社で、舶用ディーゼルエンジン専業として世界3位のシェアを握っている。海外でのライセンス生産を更に強化しており、アンモニア・水素燃料など次世代脱炭素エンジンの開発・実装も推進。27年3月期業績は4期連続で過去最高益を更新する見通しだ。前期末の受注残高は前年比26%増に積み上がり、補助金を活用した新工場建設・能力増強投資も進めている。 東京計器 <7721> [東証P]は、3月高値9540円から6月安値4850円をつけ、7月初旬には下げ幅の半値戻しを達成した。防衛・通信機器が主力だが、航海計器を祖業としており、船舶港湾機器セグメントは、売上高で22%、営業利益で25%のウェイトを占める。新造船需要の増加と保守サービスの積み上げにより、利益貢献度は高い。27年3月期営業利益は3期連続で過去最高益を更新する見通し。前期末の受注残高は前年比6%増で、特に船舶港湾機器が伸びている。防衛関連では、航空機や艦艇に搭載される機器が中心だが、マイクロ波応用や慣性センサーなどに技術的優位性を持つ。造船サイクルに加え、防衛省の防衛力整備計画からも恩恵が期待できる。 寺崎電気産業 <6637> [東証S]は、船舶用・産業用の配電制御システムでは国内首位、船舶用の売上高構成比は50%を占める。国内のみならずアジアや欧州にも事業展開しており、機器をシステム製品として納入するとともに保守・更新にも対応している。2月高値4920円から6月安値3180円をつけた後、下げ幅の半値戻しを達成も、PBR(株価純資産倍率)は1倍を下回る。27年3月期業績は原材料高騰・人件費増などを織り込んで減益の想定だが、販売価格の引き上げや円安などの効果も期待できる。前期末のシステム製品受注残高は前年比17%増。船舶用に加えてデータセンター向け非常用電源設備などの産業用も増加している。例年、保守的な見通しを示す傾向があり、期中に増額修正の可能性もありそうだ。 株探ニュース