【杉村富生の短期相場観測】 ─半導体株の対応は? 攻めるのは銀行株!

投稿:

コラム

「半導体株の対応は? 攻めるのは銀行株!」

●好業績だからこそ、株価は急落?

 2026年の前半(1~6月)相場は絶好調だったが、後半(7~12月)相場は波乱の幕開けとなっている。日経平均株価は6月22日に7万2831円の高値を付けたあと、急落に転じた。7月17日の安値は6万2704円(ともにザラバベース)だ。下落率は13.9%となる。この下落率は自律調整の範囲内だろう。

 特に、ビックリするほどのことではない。しかし、昨年来、急騰相場の主役を演じてきたAI(人工知能)、 半導体、 データセンター関連セクターの急落は想定レベルをはるかに超えている。完全に、戻り売りパターンになった。これでは日経平均株価の年内の上値メドは限定される。もっとも、後半相場は各論(銘柄)勝負なのだが……。

 もちろん、主役と悪役の“二刀流”のキオクシアホールディングス <285A> [東証P]の動向次第の面はある。6月22日の11万2700円を高値に、7月21日には瞬間、5万1370円の安値まで売り込まれた。下落率は何と、54.4%に達する。崩壊(ガラ)に近い。わずか1カ月の間に、半値以下の水準である。

 なぜ、こんなに激しい暴落に見舞われたのだろうか。投資家、市場関係者の多くが「好業績なのに」という。そもそも、この認識が間違っている。株価は価値だけで決まるものではない。需給と人気が大きな影響力を与える。特に、需給はすべての材料に優先する、といわれている。その需給が逆回転を始めた。当面は戻り売りパターンになろう。

 確かに、足元の業績は好調だ。2027年3月期の売上高は7兆8500億円(前期は2兆3376億円)、最終利益は3兆8500億円(同5544億円)とのアナリスト予想がある(今期会社計画は非開示)。驚異的な数字である。しかし、筆者はこの高収益こそが今回の株価暴落の要因になった、と考えている。ちょっと、理解不能にみえるが、どういう意味か。

●営業利益率7割強の異常さ!

 実は最近、筆者は名古屋の税理士協会、金沢の石川県工業会の定例会に講師として招かれた。席上、筆者が「キオクシアの営業利益は5兆6000億円(アナリスト予想)、売上高営業利益率は71.3%です。皆さん方の顧問先、自社の利益率と比べて下さい。71.3%の営業利益率について、どう思いますか」と問いかけると、「あり得ない」と。

 そう、エヌビディア、SKハイニックス、マイクロン・テクノロジーなどもそうだが、常識外の利益率なのだ。これは持続可能なのか。その懸念に加え、エヌビディアのGPU(画像処理半導体)新製品「Vera Rubin(ヴェラ・ルービン)」の登場(秋)を控え、歩留まりの悪さ(利益率の低下)、買い控えが起こった、とされている。

 そのタイミングを狙って投機筋が売り叩いた。彼らはバブルの形成と崩落を利用する。まして、マーケットは完全に合理的ではない、株価には常に歪み(誤った認識)がある、とする「再帰性理論」を信奉しているジム・ロジャーズ氏、スタンレー・ドラッケンミラー氏などは「チャンス到来」と小躍りしたのは間違いあるまい。

 さて、この局面での投資作戦・戦術についてはどうか。AI、半導体、データセンター関連セクターは突っ込み買いの吹き値売りだ。「もうダメだッ」と悲観人気が極に達したところを買って、「よ~し、戻りに転じたぞ」と安心感が広がった場面を売る、小すくい戦法である。キオクシアは当面、5万円前後で買い、7万~8万円が売りとなる。

 攻めるのは金融株だろう。時価総額トップの三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]はまだまだ安い。地銀のいよぎんホールディングス <5830> [東証P]には地方創生、シップファイナンス(船舶融資)の切り口がある。岩手銀行 <8345> [東証P]は株高の条件が整っている。もちろん、利ザヤ拡大が見込める。

 岩手県にはトヨタ自動車 <7203> [東証P]の岩手工場、キオクシアの北上工場がある。最新鋭半導体の増産を行う。株価はともかく、キオクシアは兆円単位の利益を上げているだけに、地元は潤っているはずだ。熊本・菊陽町がそうじゃないか。個別銘柄ではGO <581A> [東証G]が大出直りだ。買いゾーンは2700~2800円に設定できる。

2026年7月24日 記

株探ニュース

オンラインで簡単。
まずは無料で口座開設

松井証券ならオンラインで申し込みが完結します。
署名・捺印・書類の郵送は不要です。