DXは新ステージ突入、「製造AX」が描く未来図と関連株 <株探トップ特集>
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―AI中心の次世代ファクトリー、競争力強化に向け政府後押し― 16日の東京株式市場で日経平均株価は大幅に反落。前日の米株式市場でフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が下落した流れを受け、人工知能(AI)や半導体関連株が売られたことなどが響いた。ただ、企業を取り巻く環境が大きく変化するなかで、その対応は待ったなし。デジタルトランスフォーメーション(DX)によって業務のデジタル化は進んだが、単なるデジタル化を超えたAI中心の経営改革が求められている。そこで次のステージとして注目されているのが、AIを活用して業務プロセスやビジネスモデルを革新し、効率化と生産性を向上させる取り組みであるAIトランスフォーメーション(AX)だ。なかでも今回は日本経済を支える製造業の競争力強化につながる「製造AX」にスポットを当てた。 ●産総研は構築・運営を開始 経済産業省・厚生労働省・文部科学省の3省が5月29日に公表した「2026年版ものづくり白書」では、製造現場のデータを用いたAIモデルを実装した製造プラットフォームを広く展開する「製造AX拠点」構想が打ち出された。同拠点の役割のひとつが製造現場のデータベース整備で、多様なデータを収集・統合することで従来にない規模・種類の製造データベースを構築すること。2つ目の役割は構築したデータベースを活用した製造プラットフォームの開発支援で、製造技術だけでなくAIなど先端的な分析技術に関する知見も備えた専門家集団として、工作機械メーカーやFA(ファクトリーオートメーション)メーカーといった担い手企業を支援するとしている。 この製造AX拠点の構築・運営を担う産業技術総合研究所は7月2日、取り組みを開始したと発表。全国の製造現場に分散する生産設備の稼働データや品質データなどを集約・統合する基盤を整え、生成AIやフィジカルAIの開発に活用することで、製造業のAXを推進する狙いがある。産総研は経産省と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/データエコシステムの構築等に関する研究開発(GENIAC)」を活用。このほどDMG森精機 <6141> [東証P]及びグループのWALCとの共同提案「高精度・高信頼加工を支える生産設備データエコシステムの構築と製造フィジカルAIに資する基盤モデルの研究開発」、コマツ <6301> [東証P]との共同提案「工場の生産計画と実績管理の自動化・自律化を加速するデータエコシステムの研究開発」が採択された。 産総研を核とした製造AX拠点は、日本の製造業全体のDXと価値創出の更なる推進を目指しており、関連銘柄に目を向けてみたい。 ●企業の取り組みも活発化 ビープラッツ <4381> [東証G]は10日、研究シーズの社会実装などを手掛けるクウジット(東京都港区)とAI設計支援基盤の構築業務支援に関する事業提携契約を締結したと発表。レガシーシステム(過去の技術や仕組みで構築されているシステム)のマイグレーション(システムやデータなどを新しい環境に移行すること)を希望している企業などに対し、両社で培ったAI導入のノウハウをサービスメニュー化して提供する。 オリエンタルチエン工業 <6380> [東証S]は9日、子会社のオリエンタルGBが製造業者へのAI活用支援の事業化検討を開始すると発表。テスト事業の実施に向けて外部専門業者との連携協議を開始しており、将来的にはAIの開発・運用ノウハウの内製化も視野に入れているという。 サイエンスアーツ <4412> [東証G]とリコー <7752> [東証P]は7日、現場の音声をAI活用につなぐ新サービス「Buddycom for RICOH」の提供を開始すると発表。これにより、現場の生産性向上と業務品質の標準化を実現するとしている。 ABEJA <5574> [東証G]は2日、経産省とNEDOが進める「製造現場視触覚データ収集によるVTLA基盤モデルに向けたデータセットの構築」に参画することを明らかにした。安川電機 <6506> [東証P]、ファナック <6954> [東証P]、川崎重工業 <7012> [東証P]などと連携し、基盤技術の高度化を担う構えだ。 ●フツパーなどにも注目 このほかでは、NEDOが公募した「製造業データ等のAI-Ready化に関する研究開発」に採択されているフツパー <478A> [東証G]に注目したい。このプロジェクトは製造業データを「AI-Ready」な状態(適切に構造化・意味づけされ、AIによる探索・分析・利活用が可能な状態)へと変換するための研究開発を支援するもので、同社はAIプロダクトの開発・導入支援に取り組んできた実績をもとに技術・手法の確立に取り組むという。 東京エレクトロン デバイス <2760> [東証P]は、半導体やITを中心とする最先端テクノロジーの社会実装を推進している。6月9日には製造業における生成AIの自社製品への組み込みが本格化することを見据え、エッジ環境でのSLM(小規模言語モデル)活用を支援する体制を、SLM評価支援プログラム「Try it! SLM on Edge」を軸に新たに整備したと発表。生成AI活用を試す段階から、評価・検証を経て製品への実装を見据えた検討までをサポートし、製品競争力の強化を支援する。 ピーバンドットコム <3559> [東証S]はプリント基板のネット通販「P板.com」と、BOM(部品表)管理・電子部品調達・在庫管理システム「GUGEN Hub(グゲンハブ)」が2大コアプロダクトとなっている。6月3日には持続的な企業価値向上を目指す中長期戦略の一環として組織変更を実施したと発表。両プロダクトの連携を更に深化させ、設計から調達・製造・在庫管理までをつなぐ「モノづくり支援プラットフォーム」を強化することで、プラットフォームとしての利用価値向上を図る考えだ。 グリッド <5582> [東証G]は電気、海運、サプライチェーンマネジメント(SCM)、スマートシティなど社会の基盤を支える最前線の現場オペレーションを最適化するためのAIソリューションを提供。ReNom APPS for Industry SaaS(リノーム・アップス・フォー・インダストリー・サース)は、現場オペレーションの最適化を実現するインダストリーSaaSで、最適化されたインフラの稼働計画をいつでも、どこでも、迅速に策定できるという。 また、分散する業務データを迅速に集約・可視化するサービスを手掛けるJDSC <4418> [東証G]、各業界に眠る暗黙知(経験や勘に基づいて生じる知識のこと)をデータ化するHEROZ <4382> [東証S]、AXを推進する「Chief AI Transformation Officer(CAXO)」のポジションを新設したSansan <4443> [東証P]なども関連銘柄として挙げられる。 株探ニュース