生成AI時代で急成長、「コンテナ型データセンター」関連株を総点検 <株探トップ特集>
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―参入企業は続々、全国各地で開発案件が増加し株式市場も熱視線― 株式市場は波乱相場のなか、AI・半導体株への偏重相場から、これまで放置されてきたバリュー株シフトの流れが形成されつつある。ただ、想像を超える速さでAI時代が到来していることには変わりはなく、重要インフラとなるデータセンター(DC)の建設が加速するなか、幅広い分野での関連ニーズを掘り起こしている。こうした状況を受け、短期間で構築でき、設置場所の選択肢も極めて広い「コンテナ型DC」に熱い視線が向けられている。時代のニーズを捉え、急速に整備が進む同関連株のいまを点検した。 ●安・空・短で存在感 デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進や 生成AIの利用が加速したことで、処理するデータ量が爆発的に増加している。膨大なデータを処理するために、DCの建設が急ピッチで進められているが、従来型(ビル型・建屋一体型)では大規模な建築工事が必要なため時間がかかり、急速に進展するAI社会のニーズに間に合わない。そこで登場したのが、建設コストが安く、空きスペースにおいて、短期間で設置できる、「安」「空」「短」のコンテナ型DCだ。 市場調査の富士経済による、「データセンタービジネスの国内市場を調査」でも、コンテナ型DCを注目市場として取り上げている。同調査によると、コンテナ型DCについて「市場は、生成AIサービスの稼働に向けたGPUサーバー設置が進んでいることや、新規参入事業者の増加で拡大している。生成AIの活用ニーズに対してGPU環境が不足しており、今後もサーバー稼働環境の整備が必要になるため、市場拡大が続く」と指摘。「都心部などの主要開発エリアは電力確保や建設コストの課題がある」とし、「電力供給に余力があれば短工期である点がメリットとなり北海道や九州など地方各地で開発が増えている」という。 昨年6月には、さくらインターネット <3778> [東証P]が北海道の石狩DC敷地内でコンテナ型DCを稼働。また、同年10月には、NTT東日本グループのエヌ・ティ・ティ エムイーがコンテナ型DC事業へ参入すると発表し、にわかに株式市場でも注目が集まった。同事業の第1弾として、北海道・石狩エリアに土地を取得し、最短で2027年4月の稼働開始を目指す。将来的には、狭いスペースにおいても1基単位での置局が可能なコンテナ型の特性を生かし、企業や自治体の空きスペースを活用した全国の需要のあるエリアへの構築も進めていくという。これ以降、同事業へ参入する企業も相次いでおり、株式市場においても急速にコンテナ型DCへの関心が高まっている。 ●アクリート、参戦表明で熱い視線 先月25日取引終了後には、ショートメッセージサービス(SMS)配信代行大手のアクリート <4395> [東証G]が、実績豊富なゲットワークス(東京都千代田区)と共同でコンテナ型DCビジネスを開始することを発表。翌日には株価がストップ高し、同事業に対する投資家の関心の高さをうかがわせるものとなった。同社はGPUサーバーの提供だけではなく、その設置環境としてのコンテナ型DCを取得し、事業者などに対してGPUサーバーを含めた各種ソリューションを提供開始する。また、耐量子暗号通信を実現することで市場規模を拡大させ、今後5年間で50億円から100億円の売上規模を目指すという。5月14日に発表した26年12月期第1四半期(1~3月)の連結営業利益は、前年同期比24.1%減の8200万円で着地。通期業績予想に対する進捗率が12%程度にとどまったことで株価も底値圏で厳しい状況にあるが、コンテナ型DC事業への参戦表明で、折に触れてスポットライトが当たりそうだ。 ●PowerX、27年から量産開始へ パワーエックス <485A> [東証G]は系統用蓄電所向けの大規模蓄電システムなどを手掛け、旬なテーマに乗る成長企業として、投資家の注目度が極めて高い。今年2月には、大型蓄電システム搭載の短工期で柔軟な設置に対応するコンテナ型DCを商品化し、27年からの量産開始を目指すと発表。GPUやCPU、配線装置などの構成についても顧客の要件に応じて設計、指定の部材をもとに同社が製品として組み上げ、工場から出荷する。同時にインターネットイニシアティブ <3774> [東証P]と、大型蓄電システムとコンテナDCの活用による電力・デジタルインフラの構築及び拡大を目指した協業検討の覚書を締結したことも発表している。株価は昨年12月に上場して以降上昇一途だったが、5月11日に5576円まで買われ上場来高値をつけた後は、一転して大きく売られる展開に。現在は2000円を挟みもみ合っているが、きょうは9%高に買われるなど調整一巡感も漂う。6月25日には、26年12月期の連結業績予想で、売上高を380億円から400億円(前期比2.1倍)へ上方修正。営業利益は、20億~25億円(前期6億7700万円の赤字)の従来見通しを据え置いている。 ●IIJは8期連続の最高益更新目指す 一方、IIJはインターネット接続事業者の草分け的存在だが、DX投資需要が旺盛ななか、そのリード役として成長ロードをまい進。DCの開発・運用でも高度なノウハウを有しており、PowerXとの強力タッグで更に活躍の舞台を広げようとしている。27年3月期連結営業利益は、前期比10.5%増の385億円を計画し8期連続となる最高益更新を目指す。また、アクティビスト(物言う株主)として知られる香港の投資会社オアシス・マネジメントが、今月1日付で関東財務局に提出した変更報告書で、IIJ株の保有割合が8.04%から9.07%へ増加したことが判明しており、これも株価の刺激材料になっている。全体波乱相場もなんのその、株価は上場来高値圏を舞う展開で、投資家の熱い視線を集めている。 ●水冷式冷却で頭角現す三桜工 自動車用チューブで高シェアを誇る三櫻工業 <6584> [東証P]だが、発熱化対策やDCのエネルギー効率を高める水冷式冷却システムで、関連株の一角として頭角を現している。DC事業では量産受注を獲得し、複数の大型案件受注が視野に入っているという。昨年9月には、コンテナ型DC用水冷モジュール製品の開発と受注を発表。先月8日に公開した決算説明会資料では、コンテナ型について「比較的まとまった規模の引き合いが国内外の潜在顧客から複数ある」とした。現時点では主に試作や評価にとどまっているとしつつも、「市場の動向を見定めつつ、戦略を進めていく」としており、ここからの展開から目が離せない。27年3月期の連結営業利益の予想では、前期比35.0%増の55億円を見込む。株価は、6月9日に1219円まで買われ年初来高値を更新した後は調整局面入り。現在は、800円台まで売り込まれているが、この分野で「冷却」という極めて重要な分野を担っているだけに、いずれ再評価機運が高まる可能性がある。 ●活躍領域広げるFスターズ フィックスターズ <3687> [東証P]は、次世代コンピューティングの切り札とされる量子コンピューター関連の中核銘柄として株式市場でも注目を集めるが、ここコンテナ型DC分野にも活躍領域を広げている。今年2月には、コムシスホールディングス <1721> [東証P]グループのTOSYSとの協業で、次世代コンテナ型DCがサービスを開始。また、昨年にはゲットワークスなどと、水冷GPUサーバーの本稼働環境の整備を開始すると発表している点も見逃せない。26年9月期の連結営業利益では前期比20.2%増の31億円を計画し、5期連続の最高益更新を見込む。株価は、6月5日に3690円まで買われ上場来高値を更新。その後は下値を探る展開が続くが、じわり押し目買いニーズも。 ●目を配っておきたい三協フロンテ 三協フロンテア <9639> [東証S]は、ユニットサイズのモジュールを組み合わせて構築する次世代型の「モジュール型DC」で攻勢をかける。短工期かつ低リスクで導入できるだけでなく、天井高4.2メートル超え(室内有効高4.0メートル)を実現。室内の高さが十分にあることで、次世代冷却システムなど最新設備にもゆとりをもって対応できるという。同社の27年3月期は、連結営業利益段階で前期比10.1%増の88億円を見込んでいる。出来高流動性に乏しいところは注意が必要だが、株価は年初来高値圏でもみ合っており、ここからの一段高に期待もかかっている。 ●電気通信工事大手2社には存在感 また、電気通信工事大手のコムシスHD、エクシオグループ <1951> [東証P]もコンテナ型DCへ注力姿勢を強めている。コムシスHDはグループのTOSYSが、前述のように2月から次世代コンテナ型DCサービスをスタート。商用としては日本初となる、従来の「空冷」に加え「水冷」「液浸」の最新冷却技術を導入している点もポイントだ。同社の27年3月期連結営業利益は、前期比6.1%増の540億円を見込む。一方、エクシオGは6月10日、ゲットワークスと次世代デジタルインフラの実現に向け、コンテナ型DCの提供における協業を開始したと発表。同社の27年3月期は、連結営業利益で前期比7.7%増の560億円を計画。両社ともに、3期連続の最高益更新を予想するなど業績は好調だ。 株探ニュース