明日の株式相場に向けて=「骨太ショック」横目に内需株シフト継続か
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9日の東京株式市場で、日経平均株価は4日ぶりに反発。上げ幅は一時1600円を超えたものの後場に伸び悩み、924円高で終えた。日足は上ヒゲが長い陽線で、5日移動平均線に押さえつけられている。買い意欲が高まったとは言い難い。 トランプ米大統領がイランとの停戦に関して「終了した」と発言し、原油先物相場が再び上昇した。それまでの株式市場におけるピースラリーに冷や水を浴びせることとなったが、半導体関連株は粘り腰をみせつけた。エヌビディア<NVDA>のAI半導体「H200」について、中国が国内企業の購入を限定的に容認する方針だと伝わり、同社株の上昇に連れる形でアドバンテスト<6857.T>に買い戻しが入り、日経平均を押し上げた。キオクシアホールディングス<285A.T>に関しては米投資ファンドのベインキャピタルが全株式を売却したことが明らかとなったものの一時11%高。もっとも同社株の信用買い残は高水準とあって、フシ目の8万円を手前に失速を余儀なくされている。 9日のKOSPIは上昇一服後に一時的に下げに転じるなど、引き続きボラティリティの高さを印象付ける動きとなっている。サムスン電子とSKハイニックス<SKHY>の2社の時価総額が全体の50%を超える韓国の株価指数と日経平均の「連動性」は、かつてほどの激しさではないものの、この日も日経平均の上値を圧迫する要因となった。韓国ではサムスン電子とSKハイニックスの株価に連動する個別株レバレッジ型ETFが人気化している。マーケットの変動を助長しているとして、韓国の中央銀行は監視を強化する方針だと7月に入り現地メディアが報じている。サムスン電子とSKハイニクスの株価に日本株全体が揺すぶられる構図は健全なものとは言えない。半導体株については、きょうは上昇したとはいえ、なお急騰後の需給調整の過程にあるとみる市場参加者は多い。 日本株の上値を圧迫したもう一つの要因となったのが、長期金利の上昇だ。新発10年債利回りはこの日、一時2.900%と1996年9月以来、およそ30年ぶりの水準に急上昇した。スイッチを入れたのは、高市政権である。政府が今月中に閣議決定するとみられている「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」を巡る報道を受け、財政悪化懸念が急拡大した。2040年度まで370兆円超とする官民投資額もさることながら、ロイター通信によると7日の自民党本部での会合では、赤字国債の発行に上限を設けるべきではないとの意見が多く出たという。 骨太の原案の文言から高市政権の金融緩和志向を感じとった投資家も多く、円の信認低下による円安とインフレを懸念する声が上がる。しかし、債券市場を襲う「骨太ショック」の傍らで、株式市場は今のところ財政出動に伴う景気浮揚効果への期待が根強い状態だ。「具体的な財源や官民投資の内訳が出ている訳ではない。AIラリーが再燃した際に取り残されるリスクを考慮すれば、下手にショートには動けない」(国内アセットマネジメントのストラテジスト)という。 あすはETFの分配金捻出目的の売り需要が見込まれている。東証の売買代金が高水準でETF関連の売りを吸収するとの期待感があるものの、半導体株に売買が偏るなかでの活況である。そうしたなかで9日引け後にファーストリテイリング<9983.T>とセブン&アイ・ホールディングス<3382.T>は通期の業績予想の上方修正を発表した。小売関連など内需株への物色意欲を高める方向となるのか、注目されることになる。市場では「実質賃金がプラスを維持する状況で第1四半期の決算発表シーズンを迎える。底堅い決算を示すとの期待感もあって、内需株への資金シフトは当面継続することになりそうだ」(中堅証券ストラテジスト)との見方があった。 あすのスケジュールでは、国内では7月限の日経平均先物ミニ・オプションのSQ(特別清算指数)算出日となる。寄り前に6月の企業物価が公表される予定。海外ではドイツの6月消費者物価指数(確報値)が公表されるほか、欧州連合(EU)経済・財務相(ECOFIN)理事会が開かれる。(長田善行) 出所:MINKABU PRESS