明日の株式相場に向けて=過剰流動性に踊る半導体株投資の勘所
投稿:
きょう(17日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比497円高の6万9902円と5日続伸、最高値街道をひた走る展開である。前日と同様にザラ場に7万円台乗せを果たし、とりわけ後場の最終盤、クロージングオークションに入るまで7万円トビ台で粘っていたが、土俵際で押し返された。とはいえ、市場関係者からは「この買い気の強さはちょっと異常」(中堅証券ストラテジスト)という声も聞かれた。 前日の米国株市場でNYダウはしぶとく買いが続き4連騰、日本と同様に最高値街道を走っているのだが、一方で半導体関連には売り圧力が顕在化した。個別にインテル<INTC>が8.5%安、マイクロン・テクノロジー<MU>が6.2%安、アドバンスト・マイクロ・デバイシズ<AMD>が7.3%安と結構きつい下げとなっている。この日は半導体銘柄で構成されるフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)も5.7%安と、今月に入ってからのハイボラ相場ではそれほどのインパクトはないものの、5月までの相場であれば慌てる場面である。 東京市場でも直近の日経平均ザラ場7万円台乗せを主導したAI・半導体関連がやや伸び切ったタイミングにあり、元来であればきょうは米半導体株安のリスクオフが伝播して深押しも余儀ない場面であった。実際、半導体関連の主力どころは軒並みウリ気配スタートとなったのだが、寄った後の巻き戻しがまた鮮烈で、出遅れ解消に向けた押し目買いニーズの強さを如実に反映した。個人投資家もネット証券大手の話ではキオクシアホールディングス<285A.T>にオールインして億単位の儲けを上げた猛者もいるらしいが、基本的に今の大車輪相場にフルスロットルで乗ることができているのはごく少数派に属する。リターンリバーサル狙いのバリュー株シフトで待ちぼうけというのが多数派のようだ。 今の東京市場は過剰流動性が渦巻くダンスホールで、音楽が流れているうちは“踊らにゃ損”という相場だ。特に運用手腕が問われる機関投資家はその選択肢しかない印象である。AI・半導体という魔性のテーマミュージックが1990年代初めのジュリアナ東京ばりの熱狂を株式市場に呼び戻し、こうなるとバブル的な匂いを存分に発散していたとしても行くしかない。いきなり場内の照明が点灯して音楽が鳴りやむというようなパターンが絶対ないとは言い切れないが、米国株が崩れない限りは東京市場のAI相場も終演しないであろうという読みはおそらく正しい。ただし、踊りながらも常に出口に視線を向けているイメージである。決して陶酔してはいけない。 米国株市場では直近鳴り物入りでナスダック市場に上場したスペースX<SPCX>が一時マイクロソフト<MSFT>の時価総額を上回ったという。マイクロソフトを超えるということはその前段階でアマゾン・ドット・コム<AMZN>も抜き去ったことを意味する。時価総額でマイクロソフトの上にいるのはエヌビディア<NVDA>とアップル<AAPL>、そしてアルファベット<GOOGL>のわずか3社のみである。スペースXは宇宙関連企業と言うよりはAI関連としての側面が強いが、登場早々に時価総額では米ビッグテックの牙城を揺さぶる存在となっているが、現状は赤字企業でまだ収益は将来のビジョンに過ぎない。いわば思惑と期待をカタリストに時価総額上位5傑に入るという、この事実は今のAI全盛相場の異形ぶりを物語っている。この後に続くのはアンソロピックかオープンAIか。申請で先んじたアンソロピックの上場が先とみられたが、同社は米国防総省との反りが合わず、オープンAIが先に駆け込む可能性も出てきた。いずれにしても佳境入りはこれからといえるが、その祭りの後が怖い印象は拭えない。もし売り方の仕掛けがあるとすれば時間軸的にはそのあたりが要注意かもしれない。 当面、東京市場でAI絡みの半導体周辺株でどこを狙っていくか。10万円台に肉薄するキオクシアは株式分割絡みの材料が取り沙汰されれば、更なる見せ場がありそうだが現状は何とも言えない。あとは復権著しいレーザーテック<6920.T>の値運びに着目。主力どころ以外ではTOWA<6315.T>、マルマエ<6264.T>、ワイエイシイホールディングス<6298.T>、ミライアル<4238.T>、オプトラン<6235.T>などの株価に浮揚力が感じられる。逆張り対象としては、当欄で昨年来何度も取り上げてきたAKIBAホールディングス<6840.T>に仕切り直しの動きが出そうなタイミングだ。 あすのスケジュールでは、週間の対外・対内証券売買契約、国際決済銀行(BIS)国際資金取引統計及び国際与信統計の日本分集計がいずれも朝方取引開始前に開示される。前場取引時間中には5月の白物家電出荷額が発表され、1年物国庫短期証券の入札も予定されている。後場取引時間中には5月の首都圏マンション販売のほか、日銀から実質輸出入の動向が公表される。海外ではインドネシア中銀、フィリピン中銀、スイス中銀、ノルウェー中銀などが政策金利を決定するほか、英中銀の金融政策委員会の結果も開示される。欧州では4月のユーロ圏経常収支が発表される。米国では6月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、5月の米景気先行指標総合指数、4月の対米証券投資、週間の新規失業保険申請件数などにマーケットの関心が高い。(銀) 出所:MINKABU PRESS