波乱相場で存在感、逆襲の好機迫る「ディープバリュー」厳選8銘柄 <株探トップ特集>

投稿:

コラム

―金利上昇継続なら見直し機運拡大へ、希少性高まる「PBR0.5倍割れ」銘柄―

 日経平均株価が過去最高値圏で推移するなか、個別銘柄ごとのパフォーマンスの格差が鮮明となっている。強い銘柄はどこまでも強く、そうでない銘柄は割安に放置される傾向が顕著に表れるようになった。そうした状況に揺さぶりをかけるのが内外金利であり、仮に上昇が続く場合、AI・半導体関連株へ偏在していた資金がバリュー(割安)株に還流するシナリオが具現化する可能性がある。割安な銘柄は割安になった理由が存在するものではあるが、PBR(株価純資産倍率)が1倍を下回る銘柄は、株価指数が高止まりする足もとの相場環境においてかえって希少性が高く、反騰機運の高まりに賭ける投資家の資金の受け皿となる素地を持つ。

●低ROE時に過小評価されがちなPBR

 少し前なら、銀行や商社の大手でもPBR1倍割れが常態だった。しかし、今ではPBR1倍割れ銘柄は珍しい存在となってしまった。日経平均のPBRは1.9倍だ。金融論・証券投資論の世界では、PBRの高低によって割安度(または成長性)を判断する。低PBR=割安株、高PBR=成長株とみなすことが作法だ。東証による「資本コストや株価を意識した経営」でも言及されているように、ROE(自己資本利益率)が資本コストを上回っていればPBRは高く、逆に下回っていればPBRは低く評価されるという理論的背景もある。

 言い換えると低PBR株とは、現在のROEが低く、将来的にも低いままだと市場にみなされている銘柄ということになる。つまり、傷物だから安いということだ。半面、「バリュー株効果」も知られており、実証研究もなされている。単純化すると、低PBR株は高PBR株よりもパフォーマンスがいいということだ。

 この2つの見方をつなぐのが投資家の判断の「行き過ぎ」だ。ROEが低い時にPBRは過少評価され、ROEが高い時にPBRは過大評価されることがある。低PBR銘柄のなかでもディープバリュー銘柄の中には「隠れたお宝」が存在するかもしれない。例えばPBR0.5倍以下ということは、会社の自己資本簿価に対して時価が半分以下で評価されているということだ。PBR1倍まで戻らなくても、0.7倍や0.8倍になれば、大きな利益が得られるだろう。

 もちろん、ディープバリュー株にはそれなりの理由もあるため(いずれも足もとの業績には難がある)、短期的な値動きではなく中期的な再評価狙い、集中投資ではなく分散投資の一環としての組み入れが望ましいだろう。PBR0.5倍を下回る極端な割安銘柄のなかから、物色候補を探求してみる。

●PBR「0.5倍割れ」の自動車・鉄鋼大手

 ホンダ <7267> [東証P]は、二輪車で世界首位。四輪車でも世界大手で、エンジン・発電機や金融サービスに事業展開し、連結収益に占める海外事業のウェイトが9割弱に達する。前26年3月期の業績は、四輪電動化戦略の見直しにともないEV関連損失1.5兆円を計上、赤字に転落した。巨額赤字の計上で自己資本比率は低下したものの、35%台と財務面では一過性の損失への耐性がある。DOE(自己資本配当率)3%という還元方針に基づき、今期の年間配当は70円が維持される予想だ。四輪は厳しい状況が続くものの、二輪は前期過去最高の販売台数を記録。インドやブラジルなど新興国での二輪の需要は強く、ICE(内燃エンジン車)やHEV(ハイブリッド電動車)など四輪の採算改善が確認できれば、PBR0.5倍割れからの脱却が期待できよう。

 JFEホールディングス <5411> [東証P]は、鉄鋼 業で国内2位、世界的にも大手の一角を占める。前期から推進中の中期3ヵ年経営計画では、国内生産体制の再構築とインド合弁など海外事業の拡張を進め、エンジニアリングや商社事業の上乗せも目指している。国内鉄鋼業では高炉を休止する一方、革新電気炉建設に乗り出し、大和工業 <5444> [東証P]やヨドコウ <5451> [東証P]などとの連携・コスト競争力強化も進めている。高炉を休止した京浜地区では土地活用を推進、一部を売却すると同時に、カーボンニュートラル・エネルギー施設への賃貸、港湾・高度物流、電力・データセンターなども計画している。28年3月期の目標は、ROEで少なくとも10%、配当性向30%程度、年間配当80円を下限としている。業績は市況に左右される面が大きいものの、体質強化が確認できれば、PBR0.3倍台という低水準からは評価が改善する可能性もあろう。

 北海道電力 <9509> [東証P]は、北海道を地盤とし、電源構成は同業他社比で石炭火力のウェートが大きい。加えて、本州との連系線容量に限界があるため、電力融通に制約があり、道内で地産地消を図らざるを得ない。その意味では、泊原子力発電所3号機の再稼働が焦点だ。泊3号機は、27年の再稼働が見込まれ、その際には規制料金を11%程度値下げする方針だ。LNG火力の増設計画もあり、当面は投資負担が重い状況が継続する。25年に発表された「経営ビジョン2035」では、自己資本比率引き上げとROE8%の両立を掲げている。原発を再稼働させた電力会社ではPBR水準が切り上がる傾向にあり、同社でもPBR0.5倍割れ脱却の可能性がある。次世代半導体工場や大型データセンターの建設計画もあり、域内の電力需要は拡大が見込まれている。

●金利上昇追い風のかんぽ生命も物色候補に

 かんぽ生命保険 <7181> [東証P]は、日本郵政 <6178> [東証P]グループの生命保険会社で、かつての簡易生命保険を母体とする。過去の営業・募集品質問題によって営業体制を改革したため、新契約と保有契約件数は減少している。契約高の減少と成長性の乏しさが、PBR0.4倍台という低評価の理由であろう。今期からの新中期3ヵ年経営計画では、新契約の増加と保有契約の底打ちを目指している。加えて、市場金利上昇という追い風も吹いている。資産運用面では、運用利回りが予定利率を上回る「順ざや」が拡大し、利益貢献度が高まっている。商品販売面では、金利上昇によって貯蓄性保険の魅力が相対的に向上。学資保険などに強みを持つ同社にはメリットとなろう。総還元性向55%程度、29年3月期の年間配当62円以上という株主還元目標も掲げており、利益水準次第では更なる上乗せも期待できそうだ。

 三協立山 <5932> [東証P]は、富山本拠のアルミ建材大手で、アルミ形材やEV部品などにも事業展開。PBRは0.2倍にとどまる。今年1月に公表された「収益構造改革と将来ビジョンの方向性」では問題点として、「構造改革の遅れ、収益目標の未達常態化、成長戦略の不明確さ」という3要因が挙げられている。収益性の低い建材事業、M&Aに失敗した欧州子会社などで抜本的な構造変革を進め、30年5月期にはROE6%以上を目標とする。本業は厳しい状況だが、直近では希望退職者募集による特別損失を見込むと同時に保有不動産売却益を計上予定であり、市場の信頼回復へ向けた具体的な動きが出てきた点には注目したい。

●小型・低流動性の待ち伏せディープバリュー株3選

 石塚硝子 <5204> [東証S]は、ガラス瓶やガラス食器、「NARUMI」ブランドの陶磁器でも有名だが、包装容器部門が収益の柱となっている。PBRは0.3倍で、収益性の低さと業績の下振れが嫌気されているとみられる。中期3ヵ年経営計画において収益性向上・安定化や段階的な株主還元強化などを盛り込むほか、事業ポートフォリオの組み換えとともに、株式や不動産など保有資産見直しも進める方針で、計画が進展すれば株価評価も変わる可能性がある。今27年3月期の業績は、中東情勢のリスクなどを織り込んで減益見通しながら、構造改革の進捗に注目したい。

 ハークスレイ <7561> [東証S]は、持ち帰り弁当「ほっかほっか亭」の運営会社で、店舗アセット&ソリューション、物流・食品加工、その他に事業展開する。M&Aによって事業領域を拡大、食料の生産、加工、流通、消費に関わるサプライチェーン全体を網羅した企業グループを目指している。28年3月期を最終年度とする現行中期経営計画では、ROE8.3%を目標に、経営基盤強化と利益拡大を進める方針だ。現在の利益の柱は、不動産・店舗リースなどだが、食品加工を成長ドライバーとして重点的に投資している。事業ポートフォリオの変革とともに、収益性の向上が待たれるところ。会社想定資本コスト8%を上回るROE目標が達成できれば、0.4倍台にとどまっているPBR評価が一変する可能性もあろう。

 共栄タンカー <9130> [東証S]は大型原油タンカーを主体に、LPG船やばら積み船などを運航する海運中堅。日本郵船 <9101> [東証P]の持ち分法適用関連会社で、コスモエネルギーホールディングス <5021> [東証P]向けの貸船が収益の大半を占める。中長期契約が主体であるため、市況による運賃変動は限定的であり、燃料油や船費、為替などの費用変動が損益に反映される。企業規模と事業構造からか恒常的に低PBRだが、海運市況、なかでもVLCC(超大型原油タンカー)市況によって人気化することがある。昨年1年間は1000円を中心とした値動きだったが、中東紛争が勃発した後は一気に3000円台の高値をつけた。07年の原油高騰時には3800円台の高値をつけたこともあり、原油高のヘッジとして組み入れる手もあるだろう。足もとPBRは0.4倍程度にとどまる。

株探ニュース

オンラインで簡単。
まずは無料で口座開設

松井証券ならオンラインで申し込みが完結します。
署名・捺印・書類の郵送は不要です。