ノジマのM&A戦略加速で地殻変動、「家電業界」関連株が本領発揮へ <株探トップ特集>
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―量販店・メーカー双方を含めた業界全体の注目度上昇、成長期待内包する企業を追え― かつて世界を席巻した「日の丸家電」も今は昔、現在では中国や韓国メーカーの後塵を拝している――こうした言説が日本経済のバブル崩壊とその後の長期低迷のナラティブのなかで象徴的に引き合いに出されることがよくある。身近なモノが海外製に置き換わっていく様は確かに感覚として国力の低下を連想させやすい。この文脈を更に飛躍させ、日本が依然として強みを持つ製造業全体の否定につなげる向きもあるが、目下の株式市場における半導体関連株の快進撃、あるいは電子部品、素材、機械といった各セクターの業績成長をみれば、そうした見立てが的を射ていないことはすぐに理解できる。それはさておき、では 家電はどうか。もちろん海外勢に押されている点は否めないが、こうしたなかで足もと話題が相次ぎ、業界全体に改めてスポットライトが当たっている。 ●メーカー化に向かうノジマ ノジマ <7419> [東証P]は4月21日、日立製作所 <6501> [東証P]傘下の日立グローバルライフソリューションズ(日立GLS)が手掛ける家電事業を買収すると発表した。日立GLSが家電事業を切り出した新会社を設立し、ノジマがその会社の株式約8割を1100億円で取得する。27年3月期中の取得完了を予定する。日立家電の技術力や海外事業を取り込み、業容拡大につなげる狙いがある。 ノジマによるメーカー買収は今回が初めてではない。2025年に旧ソニーブランド「VAIO」を買収し、関心を集めたことは記憶に新しいだろう。これにより製造分野へ本格進出することとなり、今回の日立家電買収によって更に体制を強化した格好だ。生産から販売まで垂直統合したビジネスモデルで今後の飛躍期到来に期待がかかる。同社は積極的なM&Aで事業領域を多角化し、携帯電話販売やネット関連サービスに進出している点も見逃せない。株価は上場来高値圏を快走している。 単なる販売店に留まらない企業はほかにもある。ヤマダホールディングス <9831> [東証P]はSPA(製造小売り)戦略に注力し、今春に関連ブランドを一新して取り組みを一段と強化する方針を打ち出した。30年3月期にSPA・オリジナル商品の売上高で3400億円を超える規模を目指す構えだ。製造までは手掛けなくとも他社メーカーと共同で企画開発に携わるなどして独自商品を展開する動きもある。ケーズホールディングス <8282> [東証P]は使いやすさを重視したオリジナルモデルの商品を取り扱い、エディオン <2730> [東証P]は自社ブランド「e angle(イーアングル)」を展開。ビックカメラ <3048> [東証P]は今春に新ブランド「ビックアイデア」を始動させた。 ●ソニーはテレビ事業分離 ここまで 家電量販店の動向をみてきたが、一方で 家電メーカーはどうか。直近で動きがあったのがソニーグループ <6758> [東証P]だ。テレビ事業を分離し、中国企業との合弁会社に引き継ぐ方針を今年3月に正式発表した。同社は今や総合エンターテインメント企業として新たな成長路線を歩んでおり、もはや家電メーカーではない。近年の事業ポートフォリオ再構築が奏功した形であり、エンタメ分野における果敢な買収とともに、前述のVAIOをはじめとする事業切り離しを同時並行で実行してきた経緯がある。 こうしたメーカーによる事業売却はこれまでも多々あった。東芝は過去の経営危機のなかで16年に白物家電事業を中国企業に売却。18年にはテレビ事業も中国企業へ売却し、パソコン事業はシャープ <6753> [東証P]へ譲渡した。そのシャープは16年に台湾・鴻海精密工業の傘下に入り、当時大変な衝撃をもって受け止められた。また、NEC <6701> [東証P]は11年に、富士通 <6702> [東証P]は18年にそれぞれパソコン事業を中国のレノボと統合した。我が国で総合家電メーカー大手の看板を守るのはパナソニック ホールディングス <6752> [東証P]と三菱電機 <6503> [東証P]のみとなってしまった。 とはいえ、分野を絞ればプレゼンスを保っている日本企業はまだ残っている。例えばエアコンにおいてはダイキン工業 <6367> [東証P]が世界トップクラスのシェアを誇り、三菱電も高い実績を有する。 美容家電ではパナHD、音響・映像機器ではソニーGがいまだ強さを発揮している。これら大手だけでなく、品質や機能性を追求した高付加価値品で存在感を示す中堅・中小どころの企業も確かに存在しており、株式市場に上場している銘柄もいくつかある。後段ではそうした銘柄も取り上げている。 ●関西地盤の量販店、調理・美容家電メーカーなど 翻って、足もとの家電市場は堅調なようだ。日本電機工業会によると、26年度の白物家電の国内出荷見通しは2兆6637億円と、前年度に引き続き省エネ需要を背景に底堅く推移すると予測されている。安定した市場環境が見込まれるなか、独自の商品開発や経営戦略を強みに頭角を現す銘柄にはマーケットの旺盛な投資マネーが向かうことだろう。 まずは、先ほど名前を挙げたヤマダHDに注目したい。「くらしまるごと」戦略を掲げ、家電事業を軸に積極的なM&Aで多角化を推進。19年に大塚家具、20年にヒノキヤグループを子会社化するなど住宅領域を深耕し、住宅ローンを取り扱う金融事業も手掛けるほか、使用済み製品のリユース・リサイクルを行う環境事業と手広く展開する。前26年3月期は省エネ需要の高まりを追い風に売上高は堅調だったものの、戦略的な在庫処分の影響で利益は急減。一方、今期はその反動で営業利益は前期比3.2倍の515億円と急回復を見込む。株価は年初来高値圏を舞っている。 Joshin <8173> [東証P]は関西地盤の家電量販店大手。社名とブランドの統一を図るべく今年4月に「上新電機」から現在の商号に変更し、新たなスタートを切った。リニューアル1年目となる今27年3月期から3カ年の中期経営計画を開始し、収益力強化に注力する方針を明示。不採算店舗の整理といった痛みを伴う変革を進める一方、プライベートブランド(PB)商品の投入やリアル店舗・ECの融合など成長に向けた施策も打ち出している。最終年度の29年3月期に営業利益100億円以上(今期予想60億円)を達成し、早期にPBR1倍以上を目指す。 象印マホービン <7965> [東証P]は調理家電の大手。「炎舞炊き」で知られる炊飯器や、ステンレスマホービンを主力とする。3月に発表した第1四半期決算は、営業利益が前年同期比28.3%増の43億3300万円で着地。国内の販売好調に加え、円安によるコスト上昇に対応した価格転嫁が奏功した。これを受け株価は急伸したものの程なくして失速し、一転して下値模索の動きに。通期計画(66億円)を据え置いたことが懸念視されているようだが、同社は例年、第1四半期が高進捗でも計画を据え置き、その後に上方修正することが多く、これは念頭に置いておく必要がある。 MTG <7806> [東証G]は「ReFa(リファ)」「SIXPAD(シックスパッド)」で有名な美容機器・健康家電メーカー。最近は「ReD(レッド)」ブランドでリカバリーウェア市場でも攻勢をかけている。高いブランド力を背景に業績拡大が著しく、前25年9月期は通期営業利益を期中に3回も上方修正し、更に決算発表時に上振れ着地という高成長を実現。前の期比3.3倍の106億6500万円で最高益を達成した。今期も既に2回の上方修正を行っており、前期比40.6%増の150億円を計画する。株価もここ数年で1000円台から7000円台へと変貌を遂げている。 ヤーマン <6630> [東証P]は美容家電のパイオニア的存在。独自のLED研究に基づくマスク型美顔器「ブルーグリーンマスク」シリーズを数年前から展開し、その斬新な見た目から脚光を浴びている。会社側では、マスク型美顔器は欧米を中心に新たなカテゴリーとして成長しており、国内市場の創造とグローバル市場のシェア拡大を目指すという。海外展開や構造改革に絡む費用が先行し、前25年12月期(8ヵ月変則決算)は営業赤字に転落したものの、今期は黒字に復帰する見通し。配当も引き続き実施する方針だ。株価は出直り相場到来の期が熟しつつある。 株探ニュース