酷暑より熱い大商戦!「エアコン2027年問題」関連株に物色の号砲<株探トップ特集>
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―新基準導入で格安機が消滅の危機、市場を席巻する買い替え特需と恩恵株を追う― 日本列島に早くも本格的な「夏」が訪れようとしている。5月17日には東京都心で最高気温が30℃を超え今年初の真夏日を記録。このほかにも福島や名古屋、福岡なども気温が30℃を上回り、真夏日を記録した地点は200カ所に及んだ。昨年は東京都心で初の真夏日となったのは5月20日だったため、3日早い真夏日の記録となる。気象庁は今年から最高気温40℃以上を「酷暑日」とする名称を追加したが、日本気象協会によると、今年の酷暑日の地点数は、直近10年間の平均と同程度か、やや多くなる見込みとしている。 今年も災害級の暑さに警戒が必要となるが、熱中症対策に欠かせない「エアコン」に関して、最近、テレビなどのメディアで「エアコン2027年問題」の特集をよく見かけるようになった。巨大な特需が期待できるだけに、関連銘柄に注目が必要だろう。 ●「エアコン2027年問題」とは 「エアコン2027年問題」とは、省エネ法(エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律)に基づく「トップランナー制度」により、27年4月からエアコンの新たな省エネ基準(27年度基準)が開始され、その基準が最大で35%引き上げられることをいう。またそれに伴い、省エネ基準未満のエアコンは27年4月以降に事実上、製造・販売ができなくなることが、社会的に注目されている。 基準の引き上げは、家庭の消費電力の約3割を占めるエアコンの省エネ性能を向上させることで、エネルギー消費量を抑え、家庭の光熱費の削減や脱炭素への貢献を図るのが狙い。資源エネルギー庁の試算によると、新基準により6畳用エアコンでは年間で約2760円、14畳向けでは同じく約1万2600円の削減効果が期待できるとしており、エアコンの平均使用年数14年での光熱費は、6畳用で約4万円、14畳用で約18万円削減されるとしている。 ●格安モデル消滅で迫る駆け込み特需の足音 新基準を満たしたエアコンによる光熱費の削減が期待できるとはいえ、問題となるのは、その価格だ。 現在、市場に流通しているスタンダード(普及型)モデルの多くは新基準を満たしていない。エアコンメーカーは新基準に適合するために機能を向上させた新モデルへの切り替えを進めているが、省エネ機能を向上させるためには価格帯も上昇することになる。これにより、これまで価格競争でしのぎを削ってきた「格安エアコン」というカテゴリーそのものが消滅、あるいは大幅な値上げを余儀なくされる可能性が高い。 神奈川県内のある家電量販店では、新基準未達のモデルは6畳用で7万円前後の価格帯が充実しているのに対して、新基準を満たすモデルは12万円前後のラインアップとなっており、5万円程度の差がある。 新基準になるとはいえ、家庭にある現行のエアコンを無理に買い替える必要はないが、メーカーにとっては基準値以下のモデルの製造・販売ができなくなるため、26年の製造数量を調整することが考えられる。その結果、現在のスタンダードモデルのエアコンの流通が少なくなるとみられるほか、テレビ媒体などが「エアコン2027年問題」を大きく取り上げることで駆け込み需要が発生することが予想される。 また、これを後押しするのが、政府や自治体が展開する「省エネ家電購入支援事業」だ。一定の省エネ基準を満たした製品への買い替えに対し、ポイント還元を行う東京都の「東京ゼロエミポイント」はその代表例。補助金という「実質的な値引き原資」が投入されることもあり、莫大な買い替え特需が26年から27年にかけて市場を席巻することになりそうだ。 ●「エアコン2027年問題」でメリットを受けそうな銘柄 そこで今回は、「エアコン2027年問題」に関連してメリットを受けそうな企業を、直近発表の決算もあわせて紹介してみたい。 家電量販店はその代表格といえる。エディオン <2730> [東証P]は、5月11日に発表した27年3月期連結業績予想で、営業利益270億円(前期比4.7%増)を予想している。会社側によると、「エアコン2027年問題」のみを特殊要因として区分けして定量的な数値として織り込んではいないとしているものの、「買い替え動向や販売される製品ラインアップの刷新に影響を与える要因の一つと認識しており、エアコン需要は引き続き堅調に推移する」と予想。足もと4月の月次売上速報では、エアコンは前年同月比40.6%増となり、今年に入ってからの大幅増を継続した。 ヤマダホールディングス <9831> [東証P]は、家電量販店からスタートし家具・インテリア、リフォーム、住宅販売、金融サービスへと業態を広げているが、売上高の8割近くはデンキセグメントで占められている。5月8日に発表した27年3月期連結業績予想で、営業利益は515億円(前期比3.2倍)を見込むが、うちデンキセグメントは345億円(同13.8倍)を計画しており、全体を牽引する。会社側によると、エアコンは「当初の想定以上の販売動向となっており、27年3月期業績への押し上げ効果は確かにあるものと捉えている」としており、大幅増益に貢献するようだ。 ケーズホールディングス <8282> [東証P]は、5月8日に発表した27年3月期連結業績予想で営業利益305億円(前期比13.8%増)を見込む。「エアコンのみを取り出して押し上げ効果を公表していない」としているものの、既存店売上高は上期で前年同期比5.2%増、下期で同0.5%増、通期で前期比2.8%増を計画しており、「効果の多くは上期に偏る」と見込む。また、4月度のエアコン実績は前年同月比50.0%増となっており、「上期は高水準が続くものと見込んでいる」という。 ノジマ <7419> [東証P]は、5月7日に発表した26年3月期連結決算で、デジタル家電専門店セグメントの売上高を3398億6300万円(前の期比12.5%増)としたが、その牽引役としてエアコンやパソコンの特需を挙げている。27年3月期は営業利益590億円(前期比1.6%増)を予想するが、エアコン2027年問題に伴う買い替え需要が業績を下支えすると見込む。 ビックカメラ <3048> [東証P]は8月期決算企業で、4月10日に発表した2月中間期連結決算で、ビックカメラ単体、コジマ <7513> [東証P]ともにエアコンの売上高は前年同期比2ケタ増と好調だった。会社側では「エアコン2027年問題」の影響について、中間期決算と同時に発表した26年8月期業績予想の修正へ織り込み済みとし、営業利益344億円(前期比13.6%増)を見込む。 一方、メーカー側にも恩恵は大きい。 ダイキン工業 <6367> [東証P]は5月12日に発表した27年3月期連結業績予想で、営業利益4360億円(前期比5.1%増)を見込む。国内の空調・冷凍機事業で住宅用の販売台数は業界全体を上回る前期比7%増を見込む。省エネ基準値の引き上げに伴う市場ニーズに対応し、シェアアップを目指すとあり、「2027年問題」を好機と捉えて売り上げ増を狙う。同社以外にもパナソニック ホールディングス <6752> [東証P]や三菱電機 <6503> [東証P]、日立製作所 <6501> [東証P]、三菱重工業 <7011> [東証P]など他のエアコンメーカーの商機も拡大しそうだ。 また、岩谷産業 <8088> [東証P]は自然冷媒(R290、R600a)が注目されている。現在は冷蔵庫や医療用フリーザー、ショーケースなどに利用されているが、フロン系冷媒から自然冷媒へのシフトが進むなか、家庭用エアコンへ採用が進む可能性もある。 忘れてならないのは業務用だ。省エネ基準の強化に加えて、冷媒ガス規制の強化もあって業務用エアコンの更新需要が進むとみられる。空調工事の高砂熱学工業 <1969> [東証P]、大氣社 <1979> [東証P]、ダイダン <1980> [東証P]などの受注動向にも注目したい。 株探ニュース