視界不良のホルムズ危機、奮起する「廃プラ再資源化」関連株に照準 <株探トップ特集>
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―石油由来の原材料不足が表面化、官民挙げての循環経済推進で荒波を乗り越えろ― ホルムズ海峡を巡り米国とイランのせめぎ合いが続いている。二転三転するトランプ砲に振り回され、和平交渉の先行きが見通せないなか原油価格が高騰するなど不透明感が強い。こうしたなかで聞こえてくるのが1970年代に起きた「オイルショック(石油危機)」の再来説だ。ホルムズ海峡の実質的封鎖は石油を原材料とし製造されるプラスチック製品の価格の上昇を招いており、原材料の供給不足が表面化している。供給不足を補うべく廃棄プラの再資源化に熱い視線が向かっている。 ●「白黒ポテチ」登場で危機感増幅 4月後半には米国産原油が日本に到着。今後、追加調達が拡大されるもようだ。更に、今月に入ってホルムズ海峡の封鎖後初となる、「サハリン2」で生産されたロシア産原油の搬入も行われている。ここ資源外交に力を入れる高市早苗首相だが、ホルムズ海峡封鎖の解除なくして、根本的な状況の解決には至らない。 先月13日にTOTO <5332> [東証P]が一部の部材不足により受注システム上での注文が適切に行えないとして、システムバス・ユニットバスの新規受注を一時的に停止すると発表。石油由来の原料不足が表面化したことで、株式市場でも大きな衝撃となって受け止められた。ホルムズ海峡封鎖の影響から、フィルム接着やコーティングに使用される材料に含まれるナフサ(粗製ガソリン)由来の溶剤が不足したことで、受注停止を余儀なくされたという。数日後には、システムバス・ユニットバスの新規受注について、段階的に再開すると発表したことで同社株は冷静さを取り戻してはいる。 しかし、原材料不足に加え食品トレーをはじめとするプラスチック製品の値上げが相次いでおり、これが食料品の価格上昇や医療用品や医薬品の容器不足などに拍車をかけることにつながった。ここにきては、カルビー <2229> [東証P]が中東情勢の緊迫化による一部原材料の調達不安定化を受け、商品の安定供給を最優先する形で「ポテトチップス」や「かっぱえびせん」など合計14品目について、パッケージに使用する印刷インクの色数を従来仕様から2色に変更すると発表。ホルムズ海峡の封鎖が長期化するとの見方も広がるなか、「白黒ポテチ」の登場など身近な製品にも影響が出ており、日本経済にホルムズ危機の暗雲が広がり始めている。 ●30年までに1兆円投資目指す こうしたなか、株式市場で廃プラの「再資源化」に絡む銘柄群にスポットライトが当たり、TOTOのニュースが伝わった辺りから4月後半にかけて関連株が急動意することになった。現在は、関連する銘柄の株価は落ち着きをみせてはいるが、石油不足を背景にまだまだ目が離せない状況が続いている。 4月1日に再生資源の利用を義務付けた「改正資源有効利用促進法」が施行され、サーキュラーエコノミー(循環経済)へ向けた動きが加速している。再生プラなどの利用を促進すべき所定の製品について、一定以上の販売・生産量の企業が報告義務を負うことになった。また同月21日、政府は金属やプラスチックなどのリサイクルを強化する循環経済の行動計画を取りまとめた。再資源化拠点などの構築・ネットワーク形成や技術開発などのために、2030年までに官民で約1兆円の投資を目指すとした点も見逃せない。廃プラの再資源化は研究・開発、産業化への投資など一朝一夕にできるものではなく、それまでの積み重ねがものをいう。まさに積土成山(せきどせいざん)、努力を積み重ね廃プラ再資源化の道を切り開くリーディングカンパニーを改めて点検した。 ●フクビは出光興産などと強力タッグ 廃プラを使用した再資源化の取り組みも加速している。4月10日前場取引時間中に、出光興産 <5019> [東証P]、フクビ化学工業 <7871> [東証S]、竹中工務店(大阪市中央区)など5社が共同で、廃棄・回収された使用済みプラを原料として、再生プラを製造するとともに建設資材への活用に成功したと発表。このなかでフクビは、この再生プラを乾式遮音二重床の支持脚部分へ適用することに成功し、建設資材として導入するための技術的な課題をクリアした。 この発表を受けて、フクビの株価が後場急動意した。ホルムズ危機最中での、廃プラ再資源化への関心の高さをうかがわせるものになった。フクビの株価は4月22日に1347円まで買われ年初来高値を更新し、その後は900円近辺まで押し戻されほぼ往って来いの状況となっている。同社は、5月14日に26年3月期決算を発表し、連結営業利益は、前の期比11.8%増の17億3300万円となった。27年3月期見通しは、合理的に予測可能となった時点で公表するとして開示しなかったが、旬なテーマに乗るだけにまだまだ目は離せない。 ●存在感強める大栄環境 大栄環境 <9336> [東証P]は、ここ株価が急速に上げ足を強め1月以来の年初来高値圏に突入。きょうは売られる展開ながらも株式市場での存在感を強めている。14日に発表した27年3月期の連結営業利益予想は、前期比9.5%増の243億円とし5期連続の過去最高益を更新する見込みだ。同社は、廃棄物の収集運搬から中間処理・再資源化及び最終処分に至るまでワンストップでサービスを提供。4月には、連結子会社のDINS関西が、プラ資源循環の高度化を目的に、プラの高度選別施設及びRPF(廃プラを主原料に、化石燃料の代替となる固形燃料)製造施設の稼働を開始したと発表。同社はグループの連携を強め、廃プラの効率的・合理的な原料化・再商品化を加速させる方針だ。また、同月には他社と共同で建設現場の分別活動で約3倍の再資源化可能な廃プラ回収に成功したことも発表している。 ●三和油化工業、リサイクル施設の稼働率向上へ 溶剤リサイクル(原料収集量)で国内トップクラスの三和油化工業 <4125> [東証S]にも注目したい。リサイクル事業では、使用済み廃溶剤、廃プラ類などの産業廃棄物を中間処分・再資源化することで、重油の代替となる再生燃料やセメント・石灰・鉄鋼の副原料及び副資材としての2次利用を中心に再資源化を進めている。27年3月期の連結営業利益は前期比10.1%増の17億円を計画しており、25年3月期の同利益8億3600万円からの業績復活ロードを軽やかにまい進している。同社は、リサイクル施設の稼働率を向上させるため、新規顧客開拓を進め取扱数量の増加に注力する構えだ。きょうはストップ安に売られたが、社会的要請を背景に活躍期待が高まっているだけに注目は怠れない。 ●注力姿勢強める明和産 明和産業 <8103> [東証P]は化学品を中心とした専門商社だが、環境配慮型樹脂であるバイオマスプラの販売やプラリサイクル事業への注力姿勢も強めている。昨年7月には、合成樹脂の分野に特化し、原料販売、コンパウンド製造、リサイクルの3事業を軸に展開しているタカロクを子会社化。タカロクはリサイクル事業において、使用済みプラ製品の回収、粉砕、溶融、原材料化の過程で開発機能を駆使し付加価値のあるリサイクルプラの開発・製造を行っている。同年6月には、プラ再生事業を手掛けるエコマックス(東京都大田区)との業務提携を発表するなど、高品質なリサイクルプラ原料の安定供給体制の構築を目指す。4月に発表した27年3月期連結営業利益は前期比1.6%増の42億円を見込み、連続で最高益を更新する見通しだ。株価は1月中旬に1041円まで買われ年初来高値を更新。その後は調整するものの、4月30日に直近安値となる752円をつけた後は切り返し急。現在は900円近辺でもみ合う展開にある。 ●エンビプロ、進捗率は94% 資源リサイクル大手のエンビプロ・ホールディングス <5698> [東証S]は、貴金属回収・リサイクル関連として注目度が高いが、昨年8月にはグループのエコネコルが富士工場の第2工場棟にRPF工場を新設。代替燃料として有望視されるRPF市場を見据えた動きを加速させている。また、廃プラ類などを対象とするケミカルリサイクルの実証事業も行うなど、同リサイクルの社会実装に向けたスキーム構築を進めており、事業領域拡大にも余念がない。14日に発表した26年6月期第3四半期累計(25年7月~26年3月)の連結営業利益は前年同期比2.5倍の21億6300万円に急拡大し、通期計画の23億円(前期比2.4倍)に対する進捗率は94%に達している。株価は、好決算期待から上昇していたこともあり、翌日には利益確定売りで急落。きょうは続落歩調ながら、押し目買いも観測されるなか注目場面は続きそうだ。 ●リファバスGはS高、サニックスH、アミタHDにも活躍期待 リファインバースグループ <7375> [東証G]は産業廃棄物の再資源化の雄として投資家の熱い視線が向かう。前週末15日に直近安値の1497円をつけた後、きょうは切り返し急でストップ高に。15日の取引終了後に発表した26年6月期第3四半期累計(25年7月~26年3月)連結決算が、売上高33億3200万円(前年同期比7.0%増)、営業利益2億4500万円(同54.0%増)と大幅増益となり、第3四半期累計として過去最高の業績となったことで物色の矛先が向かった。また、きょう午前11時30分ごろ、自動車のバンパー部分に使用されているポリプロピレンなどを含む樹脂部分のみを、高純度で再生する技術の開発に成功したと発表しており、これも刺激材料になったようだ。同社は、これまでケミカルリサイクル向けの廃プラ原料供給事業に取り組んできた。6月から操業する「蒲郡工場」に新たなポリオレフィンリサイクル設備を導入、7月には「ポリオレフィンリサイクル事業」を立ち上げ、リファインバースイノベーションセンター内にポリオレフィンリサイクル原料の製造ラインを新設すると発表しており、廃プラ再生事業の拡大を加速させている。 サニックスホールディングス <4651> [東証S]は廃プラの回収、燃料化から発電まで一気通貫で手掛けている。日本最大級の廃プラリサイクル処理施設を擁し、全国15カ所に資源開発工場を展開。燃料化したプラは、発電施設のエネルギーとして利用し資源循環型発電を実現している。15日に発表した26年3月期の連結営業利益は、前の期比42.9%減の12億7200万円に落ち込んだが、続く27年3月期は前期比44.4%増の18億3700万円に回復する見通しだ。また、使用済み太陽光パネルのリサイクルが課題となるなか、グループ会社が太陽光パネルリサイクルを手掛けており、同分野でも関連銘柄の一角として注目度は高い。 また、廃棄物リサイクル大手のアミタホールディングス <2195> [東証G]にも注目。同社は「無駄のない循環型社会の実現」を目指し、成長ロードをまい進している。同社は、豊富な実績をもとにプラ循環の新規事業構築支援も展開。昨年11月から今年3月までの約4カ月間は、NTTドコモビジネス(東京都千代田区)と共同で、福岡県大刀洗町で使用済みプラ資源を対象としたトレーサビリティ実証を実施。使用済みプラ資源循環の社会実装に向けた動きを進めており、ニーズを捉えた事業展開が目を引く。 株探ニュース