明日の株式相場に向けて=チンパンジーのバナナ投げでフジクラ暴落

投稿:

材料

 きょう(14日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比618円安の6万2654円と3日ぶり反落。前日の米国株市場では4月の米生産者物価指数(PPI)が事前予想から大きく上振れしインフレ懸念が重荷となったものの、半導体関連株が相変わらずの強さでフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が2.6%高と気を吐いた。これを受けて東京市場でも追い風が意識されたが、目先高値警戒感は覆い隠せなかった。前場は気迷い気味ながらプラス圏を維持したが、後場はバランスを崩し波乱含みの地合いとなった。

 日本時間午前中から昼過ぎにかけて行われた米中首脳会談は腹の探り合いという印象。経済貿易問題はもとよりイラン情勢や台湾問題などが俎上に載り、緊張感の伴うタイミングでの会談であったが、そこは両国とも表向きは波風を立てず、良好な雰囲気を作り出す意図が感じられた。トランプ米大統領と習近平国家主席の会談は年内あと3回予定されているもようで、それだけに初回からお互い牙を剥いてもメリットはないと考えているようだ。東京市場も現状は消化難という感じで、ニュースフローに振り回されることはなかった。だが、足もとの相場は総論と離れて個別株への資金の流れが先鋭化している。言うまでもなく決算発表を材料にした大口資金の売り買いだ。きょうは決算プレーの嵐の中で売買代金は過去最高を記録したが、地合いも大いに荒れた。

 企業の決算発表は今週14日と15日に集中しており、ほぼ700社ずつ発表(プライム・スタンダード・グロース3市場合算)され、2日間で1400社強に達する。しかし、同時に15日は決算シーズンの終了を意味する。花火大会に例えれば、さながらフィナーレのスターマインに突入したところで、一両日は決算プレーも最高潮だが、来週火曜日以降は静寂が訪れる。いずれにしても、決算跨ぎでの売り買いは超短期の丁半博打的な要素があり、企業の実態を見極めて投資を行うという観点からはバッドタイミングである。

 決算発表直後の銘柄は横殴りの突風に煽られるような時間帯に入る。そして、AIトレードの介入もあってその風速や風向きが非常に読みづらいため、“丸腰の人間トレーダー”ではなかなか勝ち難い面がある。当たればリターンは大きくなるが、総合的にみてリスクに見合っていない。きょうはフジクラ<5803.T>が後場取引時間中に決算発表を行ったが、その直後にフリーフォールの急落に見舞われ、ストップ安ウリ気配に張り付いた。27年3月期営業12%増益予想でここまで売り込まれるのは事前のハードルが高過ぎるということにほかならない。最終減益については、前期の株式売却益の反動が反映されたもので、ここをあげつらうのは的を外しているが、先に発表した同業の古河電気工業<5801.T>と比べて変化率が見劣りしたことは事実で、売りにバイアスをかけた。もし、時系列的に両社の決算発表の順番が逆だったら、こうはならなかったかもしれないが、明暗は紙一重でどう転ぶかは株価に聞くよりない。

 前日好決算を発表したソフトバンクグループ<9984.T>もしかり、花形銘柄の宿命かもしれないが、こういうケースでは「合理に背を向ける瞬間の株の怖さ」というものを目の当たりにする。せっかくの成績優秀株も決算発表が物足りなければ、市場筋いわく「モメンタムチンパンジーが投げるバナナと化してしまう」(ネット証券マーケットアナリスト)。加えてフジクラは日経平均寄与度の高い銘柄でもあり、全体相場も大きく揺さぶられた。日経平均は後場寄りから軟化傾向にあったが、このフジクラの決算が下げを助長する形となり、下げ幅は600円を超え結局安値引けとなった。

 結論として、タイミングをずらして突風に煽られない決算発表済みの銘柄から評価できるものを絞り込んでいく。その方が、リスクを抑えながら果実を得やすい。具体的に好決算発表済みの銘柄では、AIデータセンター関連特需の恩恵を享受している山洋電気<6516.T>や、AIデータセンター向け電源設備で商機を捉える正興電機製作所<6653.T>をチェックしておきたい。また、半導体向け特殊ガス供給装置を手掛け、キオクシア関連株でもあるジャパンマテリアル<6055.T>は目先上ヒゲ形成ながら、週足チャートで見れば2000円台絡みは依然として出遅れている。更に4月下旬に取り上げた銘柄で、急速に水準を切り上げたエノモト<6928.T>も目が離せない。目先上昇一服局面にあるが、ここは再攻して報われる公算が大きそうだ。このほか、収益環境が底入れの兆しを見せる鉄鋼セクターも逆張りの機が熟している。そのなか、27年3月期に営業34%増益を見込み、PBR0.6倍台と水準訂正に向けた伸びしろの大きい三菱製鋼<5632.T>を改めてマークしてみたい。

 あすのスケジュールでは、4月の企業物価指数が朝方取引開始前に公表されるほか、前場取引時間中に3カ月物国庫短期証券の入札が行われる。午後3時以降に4月の工作機械受注額が発表される。国内主要企業の決算ではキオクシアホールディングス<285A.T>が注目されるほか、リクルートホールディングス<6098.T>、荏原<6361.T>、日本郵政<6178.T>、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.T>、みずほフィナンシャルグループ<8411.T>、第一ライフグループ<8750.T>などが予定されている。海外では、米中首脳会談が行われ(~15日)、その内容に投資家の耳目が集まる。このほか、5月のNY連銀製造業景況感指数、4月の米鉱工業生産・設備稼働率などにマーケットの関心が高い。なお、インドネシア市場は休場となる。(銀)

出所:MINKABU PRESS

オンラインで簡単。
まずは無料で口座開設

松井証券ならオンラインで申し込みが完結します。
署名・捺印・書類の郵送は不要です。